原作コミックは2021年に発表され話題に。『ルックバック』(藤本タツキ著/集英社刊)

勢いが止まらない映画『ルックバック』クリエーターたちへのすごさを痛感、尊敬できると大絶賛される理由

2024.07.20 16:03
提供:ENTAME next

6月28日から公開された映画『ルックバック』。本作は漫画『チェンソーマン』(集英社)の作者・藤本タツキ氏が手がけた、漫画配信サイト『ジャンプ+」で2021年7月に公開の読み切り漫画が原作となっている。原作が公開された時の反響はすさまじく、公開から1日で閲覧数250万を記録。その年の漫画賞『このマンガがすごい!2022』のオトコ編で第1位を獲得した。

 大きな注目を集めた漫画が映像化されるということで、公開前から期待感は多かった本作。6月28~30日の国内映画ランキング(全国週末興行成績・興行通信社提供)2位にランクインして、7月5日~7日に集計されたランキングでは首位を獲得した。公開1週目で2位、2週目で1位に浮上したことを鑑みると、口コミの影響が大きかったことが伺える。実際、公開後は『ルックバック』を鑑賞したという人達からの賞賛の声がSNSに溢れており、とりわけ漫画家をはじめとしたクリエイターからの声が目立っていた。

 本作は漫画制作に取り組む藤野と京本という2人の少女を描いており、漫画を描き続けることの葛藤や喜びが丁寧に表現されている。そのため、自分自身と登場人物を重ねて胸を打たれるクリエイターが多かったのだろう。ただ、決して『ルックバック』が心を揺さぶる相手はクリエイターに限らない。創作活動に携わっていない人も十二分に感動できる映画だった。

 作中に藤野がハッキリと漫画制作に挫折する瞬間は、京本との埋まらない画力の差を突きつけられた時くらいだ。ただ、それ以降も漫画を描くことを諦め、友達と放課後に遊んだり空手の稽古に励んだりなど、“普通に生きる”という選択肢が頭をよぎったことは少なくないだろう。それでも、漫画を描くことが好きで、自分の才能を信じて描き続けられたからこそ、アニメ化する作品を誕生させられるまでに至ったように思う。

 今現在、漫画アプリやSNSの普及により、気軽に漫画を楽しめるようになった。ただ、気になる漫画が次から次へと目に飛び込んでくるため、読みたい漫画がどんどん溜まってしまい、続きが更新されてもどこか消化するように読んでいた部分は否定できない。ただ、藤野の歩みを見ていると、今手に取っている漫画は諦念や葛藤、嫉妬など、様々な感情と漫画家が徹底的に向き合ったうえで絞り出された結晶であることに気付く。漫画家に対する尊敬、さらには「諦めずに描き続けてくれてありがとう」という感謝を持って今後は漫画を読みたいと強く抱いた。

 また、映画の入場者特典として原作ネームを全ページ収録した『Original Storyboard』がついてくる。つまりはネームと映画を見比べることが可能。そもそも、『ルックバック』はネームだけでも十分面白い。“ネームは漫画の設計図”と言われるが、設計図の時点で面白い作品が映像化されればそれは面白くて当然と言って良い。とはいえ、効果音やセリフという音が入り、登場人物の心情に合わせたBGMやアニメーションがいずれも作品の雰囲気を彩り、設計図をベースにした五感をフルに楽しませてくれる巨大テーマパークを制作陣が建築していた。

 中でも、メインキャラの声優を務めた河合優実と吉田美月喜の演技は圧巻の一言。河合が演じた藤野はどこか調子が良く、自信過剰な女性であるが、その雰囲気を見事に演じていた。週刊誌の漫画賞を受賞して大金を獲得したことを受け、藤野が京本を遊びに誘うシーンがある。その誘い方がまさに、藤野の“調子の良い地元のツレ感”が出ていて最高だった。一方、方言が強く、内気な京本という役を演じ切っていた吉田も見事。印象的なシーンで言えば、やはり藤野が京本の家に卒業証書を届けに行ったシーンである。憧れの“藤野先生”に対面して、同級生ということも忘れて興奮して取り乱す姿はまさに“推し”と対面した小学生そのもの。京本に愛らしさを覚えないことは不可能だった。

 ネームの良さを汲み取り、制作陣がより良いものを作り上げている過程が想像でき、クリエイティブ業界で働く人のすごさを容赦なく痛感させてくる映画『ルックバック』。エンターテインメントの力強さを改めて実感できる作品だ。

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