東京女子プロレス“真昼の決戦” 2冠女王を狙う荒井優希、鈴芽&遠藤有栖「絶対防衛します!」
東京女子プロレスが7月20日、後楽園ホールで夏のビッグマッチ『SUMMER SUN PRINCESS’24』を開催する。
例年は大田区体育館で開催されてきたが、今年は同会場が改装工事のために使用できず、後楽園での開催となったが、あくまでもビッグマッチ仕様。試合数も多いため、異例の午前11時試合開始という「真昼の決戦」となった。
すでにメディアで話題となっているのが、荒井優希のタッグ王座挑戦。この春、SKE48の選抜に復帰した荒井はアイドルとしてハードスケジュールをこなす中、リングではインターナショナル・プリンセス王座に君臨。それだけでも前代未聞の活躍なのだが、さらにタッグ王座獲りを表明し、2冠女王を狙うというのだから、話題にならないはずがない。
荒井のパートナーは宮本もか。じつは昨年まで荒井は赤井沙希との『令和のAA砲』で活動し、一時はタッグのベルトも巻いていた。そして宮本は女優で空手家の長野じゅりあとのコンビ『真拳空勝』でタッグ戦線をにぎわせてきたのだが、赤井と長野が相次いで引退、卒業したため、正パートナーが不在となっていた。それを受けてのタッグ結成となったわけだが、まったくの急増ペアではなく、2022年には2人でタッグトーナメントに出場し、準決勝まで進出した実績もある。その後のそれぞれの実績を考えたら、かなりベルトに近い存在だといえる。
ただ、忘れてはならないのはチャンピオンチームだ。
知名度的には荒井優希には敵わないものの実力は折り紙つきで、見た目もキュートなペアが後楽園ホールのリングで待ち構えている。
現在、プリンセスタッグ王座を保持しているのは「でじもん」(でいじーもんきーの略称)こと鈴芽(すずめ)&遠藤有栖(えんどう・ありす)。3.31両国国技館でベルトを奪取したばかりで、これが2度目の防衛戦となる。
鈴芽が152㎝、遠藤が150㎝と小柄ではあるが、いざタッグを組むとこれがまったくマイナス点に感じられない。スピーディーな動きと小気味いい技の数々から紡がれる連携プレーは「タッグの名手」といっても過言ではない。
本人たちも「まだまだシングルでは“私のここを見て!”と力強くアピールできないんですけど、タッグでなら自信あります!」(鈴芽)「お互いに信用し合っているし、もうこの2人じゃないとダメ!というレベル」(遠藤)と、タッグチャンピオンとして堂々と胸を張る。
実際、早い段階から高い評価を受けており、2023年中にはタッグのベルトを巻くだろう、とも言われていた。しかし、なかなかチャンスをつかみ取ることができないまま2024年に突入。ぐるっと遠回りをしてしまった。
「たくさん悔しい思いをしたし、たくさん泣いたけど、そのたびに鈴芽との絆は強まっていったし、いまではすべてが自信につながっている」(遠藤)、「ベルトに手が届きそうになっても、寸前で逃すことが続いて、私たちも悔しかったけど、応援してくださるみなさんの期待を裏切ることがなによりもしんどかった。でもファンのみなさんも応援するだけでなく、私たちと一緒に悔しがってくれたんですよ。そんなみなさんのためにも、しっかりとベルトを防衛して、今度は一緒に喜びたい」(鈴芽) そんな想いがあるだけに、今回、チャレンジャーが話題になりがちなタイトルマッチには、いささかピリピリしているのかと思いきや、試合について語るふたりからは笑顔があふれ出していた。
「絶対にこのふたりと防衛戦をしたい、と思っていたんですよ! タッグでもシングルでも負け続けてきた相手でもあるので。だからタイトルマッチが決まったときは、もううれしすぎて。いまはとにかくワクワクしかないですね」(遠藤)「せっかくベルトを巻いたんだから、もっと防衛戦をガンガンやりたいなって考えていたときに、もかが挑戦表明してくれて。どうせならパートナーは荒井ちゃんになってくれないかなって思っていたら、本当にそのチームになって。もううれしくって笑顔が止まらないです」(鈴芽)
そこには好勝負になる手ごたえがしっかりとあった。この4人はデビューの時期こそバラバラだが、全員が1998年生まれ。これまでは上の世代に挑むシチュエーションが多かったが、同世代でベルトを争い、夏のビッグマッチのセミファイナルを飾る……まさに新しい時代の幕開けである。ちなみにメインイベントでプリンセス・オブ・プリンセス王座の防衛戦をおこなう渡辺未詩は1999年生まれ。この世代が令和マット界の主軸になってきた。
「荒井ちゃんが参戦してから、まだプロレスを知らない人たちにも知ってもらえることが増えました。とても嬉しいことだし尊敬しています! そんな初めて見る方にも東京女子プロレスを好きになってもらえるアツイ試合がしたい。この4人ならできると思っています!その上で防衛したい。秋に有栖の地元で試合があるんですよ(9月14日、福島・会津若松市鶴ヶ城体育館)。有栖は凱旋興行にベルトを持って帰りたいってベルトを獲る前からずっと話していて。それも叶えるために絶対防衛します!」(鈴芽)
とはいえ、けっしてチャンピオンチームが有利とはいえない。そもそも、今回のタイトル戦が実現するきっかけとなったのは、6・23浜松での6人タッグマッチで宮本もかが遠藤有栖に勝ったこと。つまり直近の戦績ではチャンピオンの分が悪い。
そして半年間、インターナショナル・プリンセス王者として防衛を重ねてきた荒井優希が、久々にチャレンジャーの立場に回ることで、これまでにない勢いと破壊力を発揮する可能性も大いにある。ちなみに荒井優希はこの翌日にSKE48の札幌でのライブに出演する、というなかなかな弾丸スケジュール。札幌のファンに「昨日、プロレスのリングで2冠女王になりました!」と報告できたら、かなりエモいことになる。
やっぱりタイトルマッチはこれぐらい勝負が予測できないほうがおもしろい。98年組の夏。新世代の夏。東京女子プロレスのリングは真昼間から熱帯夜クラスの激アツ空間となる。
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