『1122 いいふうふ』ドラマ公式X(@1122_iFUFU)より

配信ドラマ『1122 いいふうふ』で輝く、俳優・岡田将生“ならでは”の技術

2024.07.11 17:03
提供:ENTAME next

岡田将生と高畑充希がW主演を務めるドラマ『1122 いいふうふ』が6月14日よりPrime Videoにて世界独占配信されている。

同作品は渡辺ペコのヒット漫画『1122』が原作で、岡田将生と高畑充希のダブル主演で実写化。ウェブデザイナーの相原一子(高畑充希)と文具メーカー勤務の相原二也(岡田将生)は端から見れば完全な「いい夫婦」だが、彼らが普通とは異なるのが「婚外恋愛許可制」を選んだこと。毎月第3木曜日の夜、夫は恋人と過ごし、妻にも相手ができる。30代夫婦のリアル・ライフを描き、ハッピーエンドのその先を疑似体験させてくれるようなストーリーとなっている。

原作にもファンが多い作品の中で際立ったのが岡田演じる二也だ。常に一子を思いやり、妻の家族や友人とも積極的に交流する社交性もある。1話では多忙に追われる一子を甲斐甲斐しく世話する姿もあり、柔らかいイメージを持つ岡田と「いい夫」の二也はピッタリとマッチする。

だが、原作と比べると二也のキャラクターは微妙に異なる。原作ではどちらかと言うと“シュッとしたイケメン”タイプだが、ドラマ版では岡田が喋りのテンポや語尾の伸ばし方などを駆使して天然要素の入った男性に。公認不倫をし、自身でも「クズ」を認める二也は視聴者の“敵”にもなりかねないが、岡田自身の役作りによって過度に不快感を与えないキャラクターとなっている。

そのバランス感覚は絶妙で、この作品における重要なシーンの一つである「剣山事件」でも顕著だ。「剣山事件」とは二也が不倫相手である美月とけじめをつけようとする場面で、美月に剣山を股間に突き立てられるというショッキングな“事件”だ。男性にとってはその機能を失いかねない危険な場面だが、二也の「大丈夫」という言葉でかわいそうと感じさせすぎず、かつ因果応報とも思わせない(あるいは両方の感情を持ってしまう)、視聴者の感情を絶妙にコントロールする名シーンとなっている。このように惨めさと優しさを同時に表現できるのは岡田ならではの技術と言えるだろう。

一方で、物語が進むにつれて二也に温もりを感じた人もいたはずだ。夫婦の関係に悩み傷つきながらも、思いを言葉として伝え、一子の反応もしっかりと受け止める。物語の中でキーとなる「婚外恋愛」や「女性用風俗」などを自分事として考えるのは少々難しいが、常に妻と向き合い、時には涙も流しながら夫婦の問題に立ち向かっていった二也に尊敬の念を抱いた視聴者も少なくないだろう。

漫画や実世界で「イケメンの無駄遣い」という言葉がある。秀でた容姿を持ちながら、それ以外の点で評価を下げる、男性における宝の持ち腐れのような状態だ。岡田の俳優キャリアで演じてきた役はイケメンの無駄遣いが多いように思う。映画『告白』での教師役は見た目が爽やかなのに熱血さが空回りしているし、ドラマ『リーガルハイ』ではハイスペックな弁護士にもかかわらず話す言葉すべてが胡散臭い。『大豆田とわ子と三人の元夫』でも弁護士だが、周囲からは面倒くさがられ残念だと思われている。

二也はもう少しスマートだし、「おとやんモテなくないっしょ?」(一子)という言葉からもわかるように、他のキャラクターに比べれば容姿の浪費度は少ない。しかし、「整っているけど、時々残念」とは妻の評価で、実世界で二也と接してみると、彼も“無駄遣い”をしている側の人間だとわかるかもしれない。

いずれにせよ、岡田は欠点があるキャラクターを演じた時に光り輝く才能を持っている。本人は「癖が多い役しかやっていないと思われるのがすごく嫌」とインタビューで話しているが、これからもその美しいビジュアルを積極的に“有効活用”してほしい。

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