映画『君たちはどう生きるか』

有村昆が選ぶ2023年映画ベスト10「今年は宮崎駿監督からすごいお題を与えられた」

2023.12.27 18:03
提供:ENTAME next

映画コメンテーターの有村昆が、2023年の個人的年間ベスト10を発表!あの話題作から、意外な名作まで…アリコンが選んだ作品は!?(前後編の前編)

アリコンの2023年公開映画ベスト6位〜10位

6位 『シック・オブ・マイセルフ』7位 『グランツーリスモ』8位 『福田村事件』9位 『君たちはどう生きるか』10位 『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』

2023年の映画界、傑作から問題作までいろいろあったので10本に絞るだけでも大変でした。どれも差はないんですが、主旨に従ってどうにか順位を決めたので、さっそく解説していきたいと思います。 

10位は『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』。これは個人的にインディ・ジョーンズシリーズが大好きで、そんなインディの新作がハリソン・フォード主演で2023年に観ることが出来たというだけで感動的でした。

そういう意味では9位の『君たちはどう生きるか』も、引退宣言までされていた宮崎駿監督の新作ということで奇跡的な1本だったと思います。この作品は、考えても駄目なんですよね。ただ、感じる。僕は「わからない」から面白いということに、改めて気づきました。

最近は、考察して答えを出すことが正しくて、わからないものはつまらないという考えをする方が多いですけど、それはもったいないと思うんです。わからないからこそモヤモヤして、あれは何なのかといろいろ思いを巡らせるのが醍醐味じゃないですか。今回は、宮崎監督からすごいお題を与えられたと思うので、これからもゆっくり楽しませてもらえそうです。

また別の意味で、深く考えさせられたのが8位の『福田村事件』です。関東大震災のときに、実際に起こった事件を元にした作品で、デマによって恐ろしい行動を取ってしまう人々が赤裸々に描かれています。

100年前の話ですが、その本質はいまも変わらないのではと思いました。原発処理水の問題で中国が水産物の輸入を禁止したとか、事実ではないことで物事が動いてしまうことは今もたくさんあって、僕たちも噂やデマやフェイクニュースに踊らされている。情報化社会と言われているけど、大正時代の人々と令和の僕たちはあまり変わってないようにも感じる。時代に警鐘を鳴らす、意義のある映画だと思いました。

7位は『グランツーリスモ』。これも実話ベースで、クルマのゲームが得意な青年が、本物のレーサーになるという、エモくて夢のある王道のスポーツドラマです。

僕が好きなシーンが、ドライバー候補生たちが争っていて、1位になったものだけがプロになれるという最後のレースで、主人公がホントにギリギリでトップを取る。でも、チームの広報担当は、2位の候補生のほうがイケメンでコメントがうまいから、合格にしようと画策する。そこでコーチとモメるんですけど、あのジャッジというのは、すごくリアルだなと思いましたね。

それと主人公と、その父親の確執も響きました。父親からしてみたら、ゲームばかりしていた子供を信じ切ることができないわけですよ。僕も父親ですけど、とつぜん子供が「ゲームで生きていきたい」とか、「youtuberになりたい」とか言いだしたら戸惑うと思うんです。心配ですけど、あんまり頭ごなしに否定せず、子供の可能性を伸ばしてあげなきゃいけないなということを心に刻みましたね。

6位『シック・オブ・マイセルフ』は、まさに今の時代を表しているので、いま見ておいたほうがいい作品だと思います。

主人公の女の子は、彼氏がアーティストとして注目されはじめたことに刺激を受けて、自己承認欲求をこじらせていくんです。通販で買った謎の薬を飲み始めたり、見た目もイジったりしてどんどん変わっていく。SNSで「いいね!」をもらうことが何よりも快感で、そのためにはなんでもするという、現代的でかなりシニカルなコメディなんです。

これは他人事ではなくて、僕がやっているTikTokとかyou tubeが、「ほんとに怖い映画3選」とか、「グロ映画3選」とかばかりになってきてるんですよね。もちろん「泣ける映画」とか「コメディ映画」の動画も出してるんですけど、あんまり観られない。僕はジャンルに偏らず、満遍なくいろいろな作品を取り上げたいんですけど、結果的にエロ・グロ・ホラーみたいなテーマの動画がよく回るので、そういう動画をたくさん作ってしまう。求められると、そちらに偏ってしまうというのは僕のシック・オブ・マイセルフなんです。

自分がやりたいものではなく、人から求められるモノを出してしまう。なぜなら、「いいね!」の数が多いから。でもそれって本末転倒で、TikTokなんて、本来は自分のやりたいことを、自分らしく表現するためにやるもの。その結果として「いいね!」がついたってだけの話なんですけど、いつの間にか「いいね!」に合わせに行ってしまう。『シック・オブ・マイセルフ』は、そんな今の時代を写した、本当にすごい作品だと思いました。

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