ドラマ「風間公親-教場0-」の主題歌を手掛けるUru

“月9”主題歌を手掛けるUru「“今日を生きる希望”という部分は、最初から浮かんでいたもの。この曲の軸にもなっていると思います」

2023.05.01 17:00
ドラマ「風間公親-教場0-」の主題歌を手掛けるUru

画面から自分の歌が流れてくるときは、胸の鼓動がほかの人にも聞こえるんじゃないかというくらい、ものすごくドキドキしていました

柔らかで愁いや慈しみを感じさせる歌声が魅力のシンガー・ソングライターUru。これまで、映画「罪の声」やドラマ「テセウスの船」(TBS系)など、数多くのヒット作の主題歌を手掛け、作品に彩りと深みを与えてきた。

最新シングル「心得」は、ドラマ「風間公親-教場0-」(フジテレビ系)のために書き下ろしたものだ。SPドラマ“教場シリーズ”は警察学校を舞台に、木村拓哉が主人公の教官・風間公親を演じる人気作。風間の刑事時代を描く今作がフジテレビ“月9”で連続ドラマ化されるとアナウンスされるやいなや、放送前から大いに話題を集めていた。また、完成披露会見で木村自身の口から主題歌が初めて作られることが明かされ、「耳にしたとき、ここにいる全員の顔が浮かんで目頭が熱くなった」とコメント。その会見では誰が担当し、どんな楽曲なのかは一切触れられなかったため、SNS等で主題歌への期待を込めた憶測が飛び交い、大いに盛り上がった。そうしたバズをUru自身は密かに目にしながら、大変恐縮したと振り返る。

「会見の席で、木村拓哉さんが主題歌について触れてくださったことで、SNS上でドラマ主題歌に対する期待や想像をたくさん投稿しているのを目にしました。中には、これまで木村さんが主演したドラマの主題歌を担当したことがある、そうそうたるアーティストの方の名前も挙がっていて…。恐縮するような、申し訳ないような気持ちになりました。

ドラマの初回放送は、『心得』にとっての初お披露目でもあったので、マネージャーさんとリアルタイムでやり取りをしながら、かたずをのんでドラマを見ていました。画面から自分の歌が流れてくるときは、胸の鼓動がほかの人にも聞こえるんじゃないかというくらい、ものすごくドキドキしていました」

これまでにも数々の大型タイアップソングに取り組んできたUruだが、今回はことさらだったようだ。フジテレビ“月9”の主題歌を初めて担当するということもそうだが、彼女が生まれて初めて鑑賞したコンサートはSMAPだったという。それから何年もの歳月を経て、木村が主演するドラマの主題歌を担当するとは、運命もなかなかに粋な計らいをするものだ。

「コンサートを初めて観たときは、大きな会場だったこともあり木村さんの姿は爪の先ほどでしたが(笑)、それでもすごくキラキラして輝いて見えました。憧れの存在で、自分にとっては遠い世界のようにも感じていましたが、今回、ドラマの主題歌を作らせていただけることになり、信じられないような不思議な気持ちになりました。

『教場』はもともと好きで、楽しみに拝見していたドラマでもあったので、私のようにドラマのファンが聴いて納得できる主題歌を作らなければと思い、背筋がすっと伸びる思いがしました」

“今日を生きる希望”という部分は、最初から浮かんでいたもの

製作期間として与えられた猶予は約2カ月。ドラマ側からは「教場」シリーズを見た感想や、新たにはじまる連ドラの台本を読み、それらの感想を楽曲に投影してほしいということ以外リクエストはほぼなかったという。ドラマのタイアップソングといえば、時に具体的なキーワードや曲のテンポ感までアーティスト側に細かく要望を伝えるケースもあると聞く。そうした制限による難しさを感じるという話を耳にするが、今回のように、Uruというアーティストの感性を信頼した依頼もまた、自由度の高さゆえに大いに悩ましかったようだ。

「はじめに、私の受け取ったものを形にして欲しいと、委ねていただけたことはありがたいことだと思いました。ただ、私の受け取り方がほかの人と大きく変わっていたり、感性が全然違うところにあったらどうしよう…。私の曲は共感していただけるのかなという不安は、すごくありました。

たくさんの方に愛されているドラマですし、私自身もファンなので、そこに突然、異質のものが入ってきたらすごく違和感があって嫌だなと思うんです。なので、新しいドラマの脚本を何度も読み、過去の映像作品を繰り返し見て、体の中に作品を染みこませていきました。ドラマの温度や世界感を私と響き合わせるために、そうした事はとても大切だったなと思います。過去の映像を見ながら、どんな曲がエンディングで流れていたら素直に耳に入ってくるだろう…とか、そういう感覚的なところを大事に制作しました。

脚本を読むうちに、今回のドラマで組むバディの新人刑事や、風間が(SPドラマ『教場』シリーズで)指導してきた生徒たちへ示しそうとしている姿は一貫していると感じました。多くを語らず一歩引いた場所から、しっかりと見守っているというか。そうした佇まいが、まるで雲間から差し込んでくる光が作り出す“天使のはしご”のようだなと。普段は雲に隠れていても、必要な時は雲がパッと開いて温かな光のような手を差し伸べる…。そんなイメージが浮かんできました」

柔らかに揺らぐ歌声やサウンド感から、光に包まれるような安心感や神々しさが伝わってくる「心得」は、ドラマの緊迫感から観る者を解き放ち、癒やしてくれるような感覚すら覚える。歌詞の中の「蕾に刺す雨のように/射す陽のように」という一節は、そうした厳しい現実とひとときの安らぎの鮮やかなコントラストを描くばかりか、ドラマの世界に深く潜り込みぴったりと寄り添ったUruだからこそ生み出せた言葉に違いない。

「まず、メロディーから作り始めたのですが、風間が持っているどっしりとした居住まいを表現したくて、あまり細かな譜割りをせず音数も必要最低限にとどめ、余白を感じていただける曲にしたいと思いました。

歌詞の中で、“今日を生きる希望”という部分は、最初から浮かんでいたものです。命の重さや尊さを描くドラマでもあるので、この曲の軸にもなっていると思います。他の部分は試行錯誤を重ねましたが、“蕾刺す―”の部分は、自分が花が好きなことがヒントになりました。花を見ていて、強い雨に打たれると折れてしまったりしてうまく開けなくなるんじゃないかって、すごく心配になってしまうんです。でも、晴ればかりでも枯れてしまうので、蕾にとって雨も陽射しもどちらも必要なんだなって。そうした気付きのようなものを、風間もきっと周囲に促しているのではないかと思いました。また、ドラマの中でも花を育てることは1つの象徴的なエピソードかなと思うので、この詞が書けて良かったなと思っています。

あまりに曲作りに没頭したせいで、現実では絶対にありえないのですが…、木村さんから『そんなんじゃダメだ』と叱られる夢を見たことも(苦笑)。それほど制作にのめり込んだし、レコーディングでは体に沁み込んだドラマの世界観を頭に浮かべながら曲に導かれるように感情のまま歌っていきました」

他者を尊重する姿勢、凜とした優しさがドラマの風間と遠くないと感じました

ドラマのために、この「心得」を含めて3曲制作したという。中でも「個人的にイチオシしていたこの曲を、ドラマ側の皆さんも選んでくださったときは、とても嬉しかったです」と、とびきりの笑顔を見せた。

今回、俳優・木村拓哉が作り出すドラマの世界観に、主題歌として彩りを添えたUruだが、実は、それ以前にアルバム『Go with the Flow』(2020年)で「I wanna say I love you」「サンセットベンチ」の2曲を楽曲提供。アーティスト・木村拓哉とコラボレーションをすでに果たしていた。その時の経験もまた、今回の楽曲制作によい影響を与えたようだ。

「アルバムに収録する楽曲を作らせていただくにあたり、木村さんのインタビューなどをたくさん読ませていただきました。そうした言葉から、木村さんは“木村拓哉”という大きなものを背負って歩いてこられたんだなと。あるインタビューで、『逃げたくなる時もあったけど、腐らず、絶対中身を腐らせずに歩んでいきたい』というような話をされていて、確固たる覚悟や決意を自身で抱えながら歩むという感情とは、いったいどんなものなんだろうとすごく考えさせられましたね。

誰もが知る大きな存在でありながら、私が作った曲に対してはデモ音源の雰囲気を最大限に生かしてくださいました。そうした他者を尊重する姿勢やインタビューなどから感じた木村さんは、ドラマの風間公親と決して遠くないんじゃないかなと思いました。うまく言えないのですが、凛としていて…、ドラマほど冷徹ではないけど木村さんが木村拓哉であるために、風間公親が心の中にいるんじゃないかなと。過去の“教場”シリーズでは、わざと相手をかき立てるように厳しいことを言ったりしますよね。でも、卒業の瞬間に『あの時は悪かった』と言って握手をする。そういう場面が、すごく好きなんです。そうした優しさは、パーソナルな木村さんに重なる部分があるんじゃないかなと感じています」

心の動きが創作の原動力になっているのかなと感じます

本日配信リリースされた「心得」をはじめ、2023年のUruは精力的に活動している。2月にサードアルバム「コントラスト」をリリースし、4月にはテレビアニメ「地獄楽」(テレビ東京系ほか)のエンディングテーマ曲「紙一重」の配信リリースをしたばかり。現在は、自身最大規模となる全国ホールツアー「Uru Tour 2023『contrast』」の真っただ中でもある。さらに、6月7日には、「心得」「地獄楽」が収録されたCDをリリースすることも決まった。彼女を旺盛なクリエイティブな活動へ誘う原動力は、一体どこにあるのだろうか。

「どんなタイアップソングも、制作過程は基本的に同じで、期待に全力で応えたいと思いながら作っています。『地獄楽』も原作漫画などを読むところから始めましたが、自分からは手に取らないであろうタイプの作品で、1ページ目から衝撃を受けましたし刺激的でした。読み進めていくと、登場人物の一人ひとりに人間くささや愛情も感じられ、そうした部分を描ければいいのかなと。タイトルは、地獄か極楽かもわからない、それらが一緒くたになった世界を表現できるものを考えました。『表裏一体』と最後まで迷いましたが、裏と表がある世界なら、それらが接した紙1枚の部分を描きたいと思い、『紙一重』に決めました。

この『紙一重』もそうですが、自分の範囲外にある世界と出会えることはタイアップならではの醍醐味だと思います。触れるまでは自分にない感情だったとしても、出会った瞬間に気持ちは動くし、感情移入もします。私はドキュメンタリーを見て、それに触発されて曲が一気にできることがあるのですが、そういう心の動きが創作の原動力になっているのかなと感じますね。

木村さんのアルバムに楽曲提供したときは、この音域で木村さんが歌う声が聴きたいなとか、こんな歌詞を歌ってもらえたら素敵だなという、自分への曲作りとは違う視点で作る楽しさを感じることができました。また、2月に出したアルバムでは、優里さんやYOASOBIのコンポーザーとしても活躍するAyaseさん、wacciの橋口洋平さんが楽曲を提供してくださり、自分は作らないメロディーラインなどを歌うことで、たくさんの刺激をいただきました。そうした、自分とは異なる感性との交流にもっと取り組んで、音楽性を深めていけたらいいなと思っています」

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