『だが、情熱はある』(日本テレビ)公式サイトより

『だが、情熱はある』に見る、実在する人物を演じることの難しさと高橋&森本の覚悟

2023.04.23 07:03
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若林正恭&山里亮太の半生を描くドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ系)の第3話が23日(日)に放送される。本作は高橋海人(King & Prince)演じるオードリー・若林正恭と、森本慎太郎(SixTONES)演じる南海キャンディーズ・山里亮太のユニット「たりないふたり」が主人公。負の感情を燃料に変え、ネガティブを没頭でつぶしてきた2人がおくる、友情物語でもサクセスストーリーでもない、青春サバイバルストーリーだ。

23日放送の3話には、山里の元相方として九条ジョー、清水尋也がゲスト出演予定。予告では南海キャンディーズ・しずちゃん(富田望生)の姿もあったため、さらに期待が高まっている。今回は、実在する人物を演じる難しさと高橋・森本の演技から伝わる“情熱”を探ってみたい。

若林・山里の2人はそれぞれ10代から芸人を目指すも、なかなか日の目を見ずに月日は流れる。人見知り、自意識過剰、ネガティブ、劣等感などの感情が渦巻く2人は、努力の末にそれぞれのコンビでブレイクを果たした。ブレイクしてもなお、周囲の目や相方への嫉妬などネガティブな感情の中でもがく2人は、それぞれのコンプレックスを活かすユニット「たりないふたり」を結成し活動を開始。2021年5月に開催した無観客配信ライブをもって活動は終了した。

第1話はこの「たりないふたり」の解散ライブ、さらにさかのぼってユニットが誕生した2009年から始まった。若林(高橋海人)と山里(森本慎太郎)を引き合わせたのはプロデューサーの島(薬師丸ひろ子)。自意識過剰で人見知りの若林と妬み嫉みにまみれた山里は、お互いうまく話せなかった。そんな2人が芸人を目指したきっかけは学生時代のそれぞれの経験だ。

ストーリーはさらに2人の高校時代にさかのぼる。若林と同級生の春日(戸塚純貴)は、若林の面白さにいち早く気づいていた。だが“クラスで一番面白い人”を決める投票の当日、春日以外にも若林のことを面白いと思っているクラスメイトがいたことを知る。クラスは若林が面白い・面白くないに分かれ、乱闘が始まってしまう。いてもたってもいられなくなった若林は「俺は全然面白くないから!」と叫んだ。

若林より一つ年上の山里はその頃、「面白い人がタイプ」だという好きな女子に振り向いてもらうため、面白くなろうと奮闘していた。相手が彼氏とデートをしている喫茶店に乗り込み、過去話で笑いを取った。お笑い芸人を目指す気持ちが大きくなり、「俺は自分のことを面白いと思っているんです!」と両親に必死で訴えた。

芸人を主人公にした作品はそこまで珍しいものではない。Netflixでドラマ化、さらには映画化・舞台化までされた又吉直樹の小説『火花』や、同じくNetflixで映画化された『浅草キッド』などがある。今も実在する人物を他の人が演じる実録として、本作は『浅草キッド』に近い部分があるだろう。本作はオープニングで「友情物語でもサクセスストーリーでもない」という注釈が入り、誰かに生き方を指南するようなものでもないらしいが──。

1話からライブ会場のセットや衣装、若林と山里それぞれの著書やラジオで語られたエピソードが盛り込まれ、彼らのストーリーが見事に描かれていた。実在する人物を演じるにあたり放送前には期待と不安が入り混じる声があがっていたが、第1話放送後は視聴者から「若林、山ちゃん、まんまじゃん!」「最初は無理があると思ったけど、完全に憑依している」など驚きの声が多数あがった。高橋・森本だけではなく、春日を演じる戸塚も「めっちゃ春日だった」と好評だ。

オープニングの漫才の挨拶から、2人はもう若林と山里だった。見た目はもちろん違うのだが、話し方、振る舞い、しぐさ……まるで画面に若林・山里をみているようだった。本人と連絡をとりながら役づくりをしているという高橋・森本の意気込みと覚悟がひしひしと伝わってくる。

第1話で2人の演技を観た時に、『浅草キッド』の柳楽優弥をふと思い出した。普段のアイドルオーラを消して挑む高橋と森本。モデルとなる2人をよく研究しているのが伝わってくる演技に、柳楽を観た時と同じ気持ちになったのだ。

『浅草キッド』の柳楽もまた、北野武という今も実在する人物を演じた。モノマネだなんて決して言えない、憑依しているようにもみえるほどだった。

森本は『ZIP!』(日本テレビ系)内のミニドラマ『泳げ!ニシキゴイ』では錦鯉の長谷川を演じた。脚本や演出など共通のスタッフが多くいることから、今回の森本の抜てきは『泳げ!ニシキゴイ』での功績が関係しているのだろう。長谷川を演じる際はスキンヘッドのかつら、今回は山里のトレードマークであるフレームの小さい赤いメガネの力を借りつつ、しっかりと役をつくりこんでいる。高橋は見た目で寄せることが難しいながらも、雰囲気とオーラ、話し方、しぐさなどで見事に若林をつくり上げている。

実在する人間を演じるのは、視聴者にもある程度共通のイメージがあるからこそ容易ではない。批判がくるのも覚悟のうえだ。そんなプレッシャーもあっただろう本作で、演技にとどまらないさまざまな経験を積んだ若手俳優たちが、めきめきと演技力をつけてきていることが明らかになったのではないか。高橋・森本に期待をかけたスタッフ陣と本人たちの力が相まって、もうこの2人しか「たりないふたり」は考えられないようになってしまった。

第3話目前だが、2話までですでにこのドラマがキャストやスタッフの“情熱”でつくられていることがわかる。1話のオープニングで「ほとんどの人においてまったく参考にはならない」とナレーションがあったが、高橋や森本の演技から何かを感じ思いを受け取って、過去の自分と重ねてみたり、若林や山里への愛が深まったり、何かしら心を動かされている人が多いのではないか。

それは、やはり若林・山里の半生が“情熱”に満ちたものであったからなのだろう。自分の半生を演じる俳優がいる、それで心を動かされる人がいる。それだけで、2人の半生には答えが出ている気がする。

※高橋海人の高は正しくは「はしご高」

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