ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono

ちゃんみな「かかってこい世界!」“20歳になった日”に見せた涙と圧倒的カリスマ<ライブレポ/セットリスト>

2018.10.15 18:00

JKラッパーとして注目を集め、2017年にメジャーデビューして以降快進撃を続けるちゃんみな。そんな彼女が10月14日に20歳の誕生日を迎え、Zepp ダイバーシティ東京にてちゃんみなバースデーワンマンLIVE『THE PRINCESS PROJECT2』を行った。

今、日本のヒップホップ界で最も注目されている若手女性アーティストと言えばちゃんみなだろう。日本人の父親と韓国人の母親を持つ彼女。複数の文化の中で揺れ動き、壮絶ないじめを受けていた記憶や非行に走った過去をも赤裸々に告白している。この半生ですでに幾多の試練を乗り越えてきたちゃんみなが、20歳の誕生日、つまり大人になったその日に初のZeppワンマンステージに立った。

和テイストで度肝を抜く…20歳の最初のオープニング

会場に入った途端、目の前に表れたのは遊郭に入り込んだかのような江戸時代風の町並み。ステージの中央には色鮮やかな椿の花が描かれた巨大なふすまがそびえている。すでにスタンディングの観客でフロアは一杯。ヒップホップとはかけ離れた和楽器の音が異様なムードを掻き立てる中、オーディエンスは今日の主人公の登場を今か今かと待った。

ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
突然会場が暗転すると、「皆さま、ようこそ我らがお嬢の20歳のお誕生日にお越しくださいました」とおっとりとした江戸口調のアナウンスが。ショーの始まりを告げる合図に、会場からどっと歓声が湧いた。アナウンスは続く「ついにお嬢も『未成年』ではなくなってしまいます。お嬢の準備が整ったようでございます。では、お嬢の晴れ姿を御覧くださいませ」。

爆音とともに派手派手しいふすまが開き、ついにライブが始まった。舞台中央に真っ赤な階段が出現し、ちゃんみなファンにはおなじみとなった“ジェンダーレス”ダンサーたちが腰掛け踊っている。そしてその一番上には、真っ赤な振り袖風衣装の肩を大胆にはだけさせたちゃんみなが鎮座していた。着物に合わせ、髪は真っ黒なおかっぱのロングウィッグ。花魁のごとく、金の扇子で顔を隠しながら「みんな私を見て…」そう、『未成年(Short ver.)』のハードなラップを繰り広げるちゃんみなに、大歓声が巻き起こる。曲が普段と全く違って聞こえるのは、和楽器の音などを混ぜて和風ロックテイストにアレンジされているからだ。和太鼓の音が響く特別な演出の中、華々しくハタチ初ステージのオープニングを飾った。

ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
その後はすぐに『FXXKER』。ミニ丈の着物にハイヒールというアバンギャルドな姿で舞うダンサーたちを引き連れ、ド派手な着物をはだけさせながら激しいダンス、激しいラップで圧巻のステージを繰り広げる。3曲目『You can’t win me』ではウィッグを外し、いよいよ金髪のちゃんみなが姿を表した。

「本番前涙止まらなくて…」

ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
そ挨拶代わりの最初のMCから彼女はこう打ち明ける。「本番前涙止まらなくて死ぬかと思いました」。何ヶ月も前から決定していたこの誕生日ライブ。彼女にとって、いかほどに大きな意味を持つのかを思い知らされる。

「皆の気持ちが多分、ぐちゃぐちゃになります。いろんな気持ちにさせます。ついて来てください」彼女がそう宣言すると、息を呑むような緊張感とともにさらなる大きな歓声が響いた。

大人の色気にも磨きが…ストレートなエロティック演出も

ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
ちゃんみなといえばストレートな“SEXYさ”も、男女ともにファンを熱狂させるポイントだ。成人になったことを強調するかのごとく、今回はさらにその演出にも磨きがかかっていた。

『BEST BOY FRIEND』では彼女のクルーの中でも特に人気者だというダンサーを相手役に、レオタードに振り袖を羽織ったような露出度の高い格好で密着しながらパフォーマンス。曲の終盤、2人は真っ赤な階段を駆け上がると、お互いの羽織りを脱がし合いあられもない姿に。そのまま2人が重なり合うようにクライマックスを迎え、会場からは悲鳴に近い大歓声が送られた。

新曲『Doctor』も披露

して9月28日にリリースされたばかりの配信限定シングル『Doctor』も披露。中毒性の高い曲調と、ナースとドクターが登場するコミカルな演出で話題となっている同曲だが、曲の内容にはドキっとさせられる。「見飽きたんだよこのブーム」「この時代は情報が溢れる呪いにかかってます」。20歳、まさに世の中の流行りの中心にいる世代だが、彼女は押し寄せる情報に飲み込まれていく状況をとてもアイロニカルに見ていた。それは彼女だけでなく、実は彼女の世代の多くの若者がそのことにを察知し、葛藤しているのだろうということに気付かされる。

ただライブでは、観客と一緒にインスタで話題となった「#DoctorChallenge」の振り付けをしたり、チャーミングなコール&レスポンスを響かせたりと、最高に盛り上がれる曲にも仕上がっているのだ。

「かかってこい世界!!」20歳の想い

ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
そして「今日をもって20歳になりました。大切な曲を歌います」というセリフに続く『She's Gone』。過去について赤裸々に明かし、当時の痛みと強い信念を歌い上げた歌詞に、観客達はまるで自身を投影させるかのように聞き入る。

また彼女は、この日日付が変わった瞬間、つまり20歳になった瞬間を振り返り「『かかってこい世界!!』って叫びました」と明かした。その頼もしさに歓声が上がるのもつかの間、「情緒不安定みたいでしょ(笑)。情緒不安定なんです。20歳は。それが分かりました」とちゃんみな。彼女は強気な音楽とともに、本当はいつも葛藤し、繊細な自身と戦ってもいるのだろう。

アイドルユニット?「ミス・ペイン」も登場

ライブ中盤には、前回のライブで話題を呼んだ、ダンサーとの3人組アイドルユニット「ミス・ペイン」が登場。普段のちゃんみならしからぬフリフリの衣装で『LIGHT IT UP』『OVER』をキュートに披露した。最後にはモニターに「今のは全てフィクションです」の文字が…。

アクロバティックなフライング演出で魅了

ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
このライブで最も人々を興奮させたのは、ネット状のハンモックを使ったフライング演出だ。まるで水着のようなSEXY衣装を着た彼女は、吊らされた真っ白なネットに絡まるように宙を舞った。観客の頭上で、仰向けのまま宙吊りになったり、足を大きく広げて回転したり、アクロバティックな技を繰り広げながら、『MY NAME』『ダイキライ』を熱唱。その姿を際立たせるかのように、客席のピンクのライトが大きくうねる。まさに20歳になり、この世界に羽ばたいていく彼女の姿が表れたようだった。

質問コーナーでファンが号泣…その意味とは

『LADY』でファンと一緒に飛び跳ねるように高揚感に溢れたまま本編を終えると、客席ではすぐさま「アンコール!」の声が。それがいつの間にかハッピーバースデーの歌に変わり、「みんなありがとう~~」とちゃんみな再登場すると再び歓喜の声が湧いた。

そのままちゃんみなはファンと交流すべく、何か質問は無いかと客席に尋ねる。すると最初に当てられたファンは号泣しながら「応援しています。頑張ってください」とその想いだけを必死に伝えた。次に当てられた少女も、やはり泣いている。そして「初めて尊敬できる人が出来て、いつかちゃんみなと同じ舞台に立つのが夢です」と告げた。そして「うまくいかない時や、寂しい時はどうしたらいいですか」と質問。

ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
ちゃんみなはライブの真っ最中に、少女の悩みに真摯に向き合う。「私も、応援してくれる人々の声以上に、批判の声しか聞こえないときがあった。それでも私には愚痴を聞いてくれる人たちがいたの。そういう人がいることが大事。いなかったら私が聞くし。そうやって気持ちを吐き出せない人が不満を言うんだと思うの。そうやっていろんなことに気がつくのも大事だと思う」。

続けて、彼女は一呼吸おくとこう伝えた「とにかくみんなに言いたいのは、若い子たちが歴史を作るということ。流行りを作ったり、いろんなことを作れる。言うだけじゃなくて、行動すれば叶う。10代の子たちには戦っていて欲しい。それ以上の人たちにも戦っていて欲しい。だから、『私戦ってるよ』っていうのを見せて欲しい」。

決意の新曲『PAIN IS BEAUTIFUL』初披露

ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
そして、11月30日にリリースされる新曲『PAIN IS BEAUTIFUL』をどこよりも早く初披露。過去の辛い出来事を美しく捉えようとした、彼女の20歳の決意が刻まれた曲だ。

ライブ中何度も涙ぐんでいた彼女だが、最後にもやはり声をつまらせてこう話す「20歳になっても、ずっと夢を追いかけたいです。皆も夢持ってください。本当に綺麗なんです。この景色を見せてあげたい」。

ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
傍から見るとただただ強気のラッパー女子にも見えるが、実力とともに彼女が支持される理由となっている“メッセージ”の中には、弱さやコンプレックスと必死に戦おうとする一人の少女の姿が垣間見える。

彼女はこうも話していた。「コンプレックスをプラスに羽ばたいてください」。沢山の傷を抱えながらも、それを隠さずに音楽でメッセージを伝え続けるちゃんみな。質問コーナーで涙を流した2人のように、ちゃんみなの曲を支えに自身も羽ばたこうと戦っているファンがたくさんいるのだろう。同世代のカリスマである彼女が、大人のアーティストとして羽ばたく姿に期待したい。(modelpress編集部)

ちゃんみな初のZeppツアー(東京・大阪)決定

ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
ちゃんみな『THE PRINCESS PROJECT2』/写真:Hiroyuki Dozono
また最後のMCパートでは、「頭が真っ白で忘れてた!」と彼女からビッグサプライズが。来年3月に、自身初のZeppツアー(東京・大阪)の開催が決定。練馬のビヨンセがいよいよ西日本のファンにも会いに行く。

ちゃんみな “PRINCESS PROJECT #3”

2019年3月17(日) 大阪Zepp Namba 開場17:00 開演18:00
2019年3月29(金) 東京Zepp Tokyo 開場18:00 開演19:00

『THE PRINCESS PROJECT2』セットリスト

未成年(Short ver.)
FXXKER
You can’t win me
GREEN LIGHT
BEST BOY FRIEND
TO HATER
PRINCESS
Doctor
WHO ARE YOU
She’s Gone
LIGHT IT UP
OVER
FRIEND ZONE
CHOCOLATE
MY NAME
ダイキライ
LAST NIGHT
LADY
(Encore)
PAIN IS BEAUTY
CHOCOLATE

リリース情報

配信限定シングル 「Doctor」
2018年9月28日(金)発売

ちゃんみなプロフィール

日本語、韓国語、英語を巧みに操るミレニアル世代のトリリンガルラッパー/シンガー。

幼少よりピアノやバレエ、ダンス、歌を始める。作詞作曲のみならずトラック製作、ダンスの振り付けなど全てをセルフプロデュースで行いアーティスト活動をスタート。高校2年生時に制作した『未成年 feat.めっし』『Princess』の楽曲が高く評価され⼀躍注を集めた。2017年2月に「FXXKER」でメジャー・デビュー。同作MVは再生回数が600万回を突破。代表楽曲「LADY」と「CHOCOLATE」では、iTunes HIP HOP / RAPチャート1位 / LINE MUSIC総合チャート1位を獲得している。今年はROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018への初出演、そして2年連続でSUMMER SONICへの出演を果たした。

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