モデルプレスらのインタビューに応じた浜辺美波(C)モデルプレス

“音大生役”浜辺美波のピアノ練習秘話 Hey! Say! JUMP山田涼介「僕だったら匙を投げていたと思います」<「サイレントラブ」インタビュー後編>

2024.01.19 00:00

映画「サイレントラブ」(1月26日公開)で初共演を果たしたHey! Say! JUMP山田涼介(やまだ・りょうすけ/30)と女優の浜辺美波(はまべ・みなみ/23)が、モデルプレスらのインタビューに応じた。後編では、本作で重要な役を担う野村周平との共演について、浜辺が現場で感じた山田との空気感の違いや、映像美が際立つ本作で印象に残ったシーンなどについて語ってくれた。<モデルプレスインタビュー>

山田涼介&浜辺美波「サイレントラブ」

浜辺美波、山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
浜辺美波、山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
本作は、映画「ミッドナイトスワン」を手がけた内田英治監督によるオリジナルラブストーリー。ある出来事をきっかけに声を発することをやめた主人公の青年・蒼(山田)と、不慮の事故により目が不自由になり夢が途絶えかけている音大生の少女・美夏(浜辺)の“世界一静かな恋”を描く。野村は、美夏が通う音楽大学の非常勤講師で次第に美夏に惹かれていく北村悠真を演じている。

浜辺美波、山田涼介&野村周平との共演に“違い”

野村周平、山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
野村周平、山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
― お2人が蒼と美夏を演じる上で、野村さん演じる北村も欠かせない存在だったと思います。野村さんとは高校のクラスメイトでもある山田さんは、3人でのシーンや共演を振り返っていかがですか?

山田:あいつ最低ですよね!役が(笑)高校の時、名前順で並べられていた席で僕の1個前に野村が座っていたんです。本当に悪ガキで、ずっと授業中に僕の邪魔をして、先生に僕も野村も怒られるみたいな時間を過ごしていたので、“落ち着いた野村周平”を見るのが初めてでした。彼とお芝居をするというのが感慨深かったですし、すごく楽しかったです。「本当に大人になったね」という会話から始まり「不思議な現場だな、不思議な巡り合わせだな」と思いながら美夏を取り合っていました。

浜辺美波(C)モデルプレス
浜辺美波(C)モデルプレス
― 浜辺さんは美夏として取り合われる役柄でしたが、お2人と演じられていかがでしたか?

浜辺:どちらの方といるかで現場の雰囲気が本当に違いました。山田さんとだと、遠くから引きの画で撮影する時も静かに風を感じて同じ方向を見てぼーっとしていることもあったり、私が人見知りである上に今回の役が重かったこともあって閉塞的になっていたところを話しかけてくださったりしていて、皆をまとめる1つの輪に入れてくださいました。

野村さんはピアノ練習もずっと一緒だったので、緊迫した物語が多い中でも、面白いお話で笑わせてくださって救われました。初めて共演させていただきましたが、役とはまた違ったワイルドさがあってとても楽しい方だと感じました。

野村周平(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
野村周平(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
― 美夏が蒼と北村の2人の間で揺れ動く心情に、浜辺さん自身も共感できる部分はありましたか?

浜辺:美夏は最初、絶望の中で視野が狭くなっていたのですが、他人を尊重できるようになったり、人の良さや温かさに改めて気づけたりと手探りで愛を紡いでいったので、色んな人の良さも悪さもすごく見えるんだろうと思いました。

浜辺美波(C)モデルプレス
浜辺美波(C)モデルプレス
― ちなみに山田さんと浜辺さんは、現場ではどのようなお話をされていたんですか?

山田:浜辺さんのiPhoneケースが変というか普通選ばないような独特なケースなんです。なので、どうしても僕が気になって「それはな~に?」と聞きました。

浜辺:片桐仁さんのグッズで目玉のデザインのものを使っています。少し見た目は気持ち悪いかもしれませんがとてもお気に入りなんです。携帯の機種を変えても発注して作っていただいて使い続けています(笑)。

山田涼介&浜辺美波、印象に残っているシーンは?

浜辺美波、山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
浜辺美波、山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
― 台詞が少ない分、映像の美しさが引き立つ作品だと感じましたが、お2人の中で印象に残っているシーンはありますか?

山田:ただただ美夏の通学路を2人で寄り添いながら歩いているシーンは、2人の距離感がすごく出ているし、形はそう見えないけれども気持ちは繋がっているという2人の絶妙な恋の色が、静かなシーンに詰まっているような気がしていて、個人的にはとても好きです。映画や作品はセリフだけが全てではなくて、気持ちが乗っていれば、エンタメとして皆さんに届くと思っているので、この映画を見て、日本映画における新しい発見をしていただけたらと思っています。

山田涼介、浜辺美波(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
山田涼介、浜辺美波(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
浜辺:ポスターにもなっている夕日のシーンは、朝から雨待ちもしていて「今日はダメなのではないか」「ここのために心の標準を合わせてきたところもあったのに」と悲しかったのですが、そこから天気が好転して、途中から夕日狙いになったぐらい、雰囲気も含めてとても恵まれた作品になったと思っています。このピュアなラブストーリーがこの画には収まっているのではないかと思います。

浜辺美波のピアノ・山田涼介の格闘技…それぞれの練習秘話

― さらに久石譲さんの音楽も、その美しい映像を彩っていました。

山田:内田監督が撮るこのラブストーリーはものすごく画が綺麗でした。浜辺さんも言っていた夕日のシーンは「この瞬間だっていう瞬間じゃないと撮らない」とNGを出せない緊張感もあるほど細部にとてもこだわっていましたし、四季を撮るために「1年は最低でもかかる」と現場でおっしゃっていました。それに久石譲さんの音楽がかかった時、僕は鳥肌が立ちました。一気にその世界に連れていってくれる没入感で、華々しくこの映画を彩ってくださっているという印象がありました。

浜辺美波(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
浜辺美波(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
浜辺:美夏が弾いている楽曲は最初に久石さんの音楽として聴かせていただいて、そこから練習をしていましたが、本当に美夏として自然に生み出したような優しさと、途中からとても明るい音楽が鳴ってきて、脚本を読んで美夏や過ごした時間に沿ったものにしてくださったので、演じていて助けられました。私も、この音楽が鳴るだけで『サイレントラブ』の世界がはっきり見えるような曲だと感じましたし、弾いていても「こんなに映画に合う曲があるんだ」と驚きがあったほどです。ピアノは初心者だったので限界はありましたが、全力で最後の最後まで練習を重ねていました。

山田:すごかったですよ。僕だったら匙を投げていたと思います。

山田涼介、浜辺美波(C)モデルプレス
山田涼介、浜辺美波(C)モデルプレス
― 山田さんも格闘技に挑戦されていましたよね。

山田:(遠慮がちに)格闘技はいいんです…(笑)。プロの方とかが見たら甘い部分がたくさんあるとは思いますが、必要なことはできるだけ準備しましたし、自分ができる最大限のことはできたと思います。

浜辺:今回はアクション部さんではなく、山田さん以外の方も俳優さんがアクションをされていらっしゃったのですが、練習をしていたとしても、地面が濡れていたり、滑りやすかったりと現場の状況で動きが変わることもあって。その時に、先導を切って提案したり、ダメージを受けても穏やかに進められていたりと、本当に達人だと思いました。美夏の全部を守ってくれて、こちらにうっかり痛みが生じていないか、サポーターをどうつけたらいいかまで教えてくださったので、映像で見るよりも丹念を積まれていらっしゃるのだという印象でした。

山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
山田涼介(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
山田:(得意げな顔で)まあまあまあ……嘘です(笑)。座長という立場で立たせていただいているので、どうしても周りが遠慮してしまうと思うんです。でも、そこを遠慮せず来てもらわないと画には出てしまうので、互いに本気でやるために、立場は関係なく同じものを作る仲間として、皆で探り合って同じ目線で物事を進めていくことが大事なことだと思って、動いていただけなので、大それたことはしていないです。レスリングのシーンが1番大変で、相手が本当にとても強くて“マジの人”だったんですよ…。もうギブアップです(笑)。何もできないという感じでした。

浜辺:私もあのシーンを撮っているところを見ていなかったので「あんなに本気でやっていたんだ」と驚きました。

山田涼介&浜辺美波、絶望の中にいる人に届けたいこと

山田涼介、浜辺美波(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
山田涼介、浜辺美波(C)2024「サイレントラブ」製作委員会
― 本作における美夏のように、叶えたい夢があっても「自分には無理なのではないか」「叶えられないのではないか」と希望を失っている人は多くいると思います。もしお2人がそういう人に出会ったとしたら、どのような言葉をかけてあげたいですか?

山田:「とにかく自分を信じて突き進むと意外とたどり着くことができる」というのが僕のモットーであり、曲げない信念としてあるので「とにかく自分がやるんだ、やりたいんだ」ということがあるんだったら、1回そこに突き進んでみてほしいと思います。「頑張れ」というようなエールを人に送るのがあまり得意ではないのですが「何か諦めていることがあるんだったら、諦めずにもう1回立ち上がって自分の限界までやってみるのもいいんじゃない?」という言葉だけ置いておきます。

浜辺美波(C)モデルプレス
浜辺美波(C)モデルプレス
浜辺:私もエールを送るのが苦手で「頑張ってね」というのも軽々しく思えてしまって言えないのですが、私にとってとても大切な人がもし希望を失っていたら、どんなことをしてでも支えたいと思います。もちろん良い言葉が見つかったらかけてあげたいですが、まず「どこにいても味方だよ」ということを言葉よりも行動で見せたいです。

― 素敵なお話をたくさんありがとうございました!

(modelpress編集部)

山田涼介(やまだ・りょうすけ)プロフィール

1993年5月9日生まれ、東京都出身。Hey! Say! JUMPとして2007年に「Ultra Music Power」でCDデビュー。2008年には「スクラップ・ティーチャー~教師再生~」(日本テレビ)で連続ドラマ初主演。2015年3月21日公開の主演映画『暗殺教室』では、「第39回日本アカデミー賞」で「新人俳優賞」を受賞した。その後もドラマ「カインとアベル」(フジテレビ/2016)「セミオトコ」(テレビ朝日/2019)「王様に捧ぐ薬指」(TBS/2023)、映画「鋼の錬金術師」シリーズ(2017・2022)など数々の話題作に出演している。

浜辺美波(はまべ・みなみ)プロフィール

2000年8月29日生まれ、石川県出身。2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションでニュージェネレーション賞を受賞し芸能界入り。2017年公開の映画「君の膵臓をたべたい」で、第41回「日本アカデミー賞新人俳優賞」などを受賞し新進気鋭の若手女優として頭角を現す。2023年はNHK連続テレビ小説「らんまん」のヒロインを演じたほか、劇場アニメ「金の国 水の国」(声優)、映画「シン・仮面ライダー」、映画「ゴジラ-1.0」などに出演している。
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