KAT-TUN中丸雄一、挫折から7年越し“漫画家の夢”掴むまで「今ならいけるって思った」これまでの芸能活動が糧に<「山田君のざわめく時間」インタビュー>
2023.11.13 07:00
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初の漫画単行本『山田君のざわめく時間』を2024年1月23日に発売するKAT-TUNの中丸雄一(40)がモデルプレスのインタビューに応じた。一度は諦めたものの、長年の夢でもあった漫画家デビューを果たした中丸。そんな彼が考える“夢を叶える秘訣”とは―――連載開始までの胸中、挫折から立ち直れたきっかけ、今年開設した個人のSNSなど、“漫画家デビュー”という夢を掴むまでの道のりを語ってくれた。
“漫画家”中丸雄一が執筆「山田君のざわめく時間」とは
2020年、「ステイホーム4コマ」の執筆を期に本格的に漫画制作に取り組み始めてから3年。ついに「月刊アフタヌーン」(講談社)にて『山田君のざわめく時間』の連載がスタート。細かいことがやたらと気になり、様々なことに内心“ざわめいて”しまう青年・山田雄一(やまだおいち)の日常を、中丸らしいウィットとユーモア、そして癖のある視点で描く日常系ショートストーリーとなっている。単行本化にあたりアフタヌーンでの連載掲載話に加え、新たに80ページ超の描き下ろしを追加収録。また、漫画家を目指していた時代に一人コツコツと描き上げていた習作SFネーム「かぐや」の冒頭19ページを特別収録した電子限定特装版も同時発売する。
中丸雄一「山田君のざわめく時間」の反響実感「内心は心配していました」
― 「月刊アフタヌーン」8月号より連載が始まりましたが、読者からの反響を感じることはありましたか?中丸:イベントで募集していた感想が手元に届いたとき、楽しく読んでもらえているんだなという実感がありました。辛辣な声があってもおかしくないと少し心構えしていたんですけど、「意外とよかった」といったポジティブな反応が多くてホッとしています。
― 連載開始まではドキドキの方が大きかったんですね。
中丸:そうですね。やっぱり内心は心配していました。でも自分の目標達成のためにはなにを言われても、叩かれも、最後までやるつもりでいました。もちろん気持ちはあるのですが、漫画家一本でやっているわけではないので、認めない人もいると思うんです。そういう人たちにどうやったら認めてもらえるのかと、常に考えながら作業していました。
― 実際にコンペに出して、「月刊アフタヌーン」での連載が決定したわけですが、そこを目標にしていたのですか?
中丸:自分の中で考えていたことは、単行本を世に出すことです。コンペに出す、雑誌に掲載してもらうなど、いろいろな方法を考えて、そこに行き着こうとしていました。
― 実際に「月刊アフタヌーン」に掲載されたものを見たときは、どのような心境でしたか?
中丸:子どもの頃の気持ちに戻りました。小学生から中学生ぐらいまで、よく週刊誌で漫画を読んでいて、その頃から絵を描くことが好きだったので、絵を描くことが好きな人だったら誰しもが掲載されたらどんな気持ちなのかと想像すると思います。それが時を経て、“自分のものが載った!”という感動がありました。
中丸雄一、芸能活動が糧に…「今ならいけるって思って本気を出した」
― 一度諦めた夢だそうですが、なぜ再び絵を描こうと思ったのでしょうか?中丸:絵を描くことが本当に好きで、事務所に入る前は漫画家になると思っていたんですけど、この世界に入ったとき、一瞬で挫折して。こんなんできるわけないと思っていたんですけど、それが運良く今までの芸能活動で培ってきたノウハウが漫画に使えると気づくことができました。
1人舞台をたまにやらせていただくとき、0から作っていくのですが、構成とかにも携わっているんです。1つ1つのコーナーにいろんな要素を乗っけていくという作業をしています。例えば、コント要素を入れるなら、コントの台本を書くとか。この作り方と、絵の技術を合わせると漫画になるなと。これに気づいたとき、今ならいけるって思って、そこから本気を出していきました。
― 本気を出したのはいつ頃ですか?
中丸:徐々にです。イラスト連載は10年ぐらい雑誌でやっていたのですが、何年もやっていると、永遠に描いててももったいないから、形にした方がいいと編集部の方とお話していました。じゃあ、この絵はなにになるのかと言ったら、絵本になるわけで、自分の本ができるというモチベーションが生まれてきました。
中丸雄一「山田君のざわめく時間」は自分でできる範囲で挑戦
― 今回、“ざわめいてしまう青年”をテーマにした理由を教えてください。中丸:描きたいものといっても現状描ける能力が限られています。ちゃんと完成させることができる内容はなんだろうと考えたとき、1話完結型で、かつ自分の私生活の範囲で調査ができること。ストーリーが複雑だと経験値が必要だと思うので、“あるある”がテーマだったらいけるんじゃないのかなと、まずは、自分でできる範囲、描けるレベルで挑戦しようということでこのテーマになりました。
― ご自身の体験も反映されていますか?
中丸:めちゃくちゃ入っていますね。エッジが効いた話になると理解できないんじゃないかという心配もあったのですが、わざわざ友達に話すことでもないが、話してみたらめちゃくちゃ盛り上がるというネタを選びました。
― 現在グループでの活動のほか、個人でも各地に行ってロケをしたりと多忙な生活を送っていますが、どんなときに描いているのでしょうか?
中丸:朝、早起きして描くことが多いです。あとは仕事の空き時間。時期にもよるのですが、週刊や月刊を担当されている漫画家さんって、考えて描いて、考えて描いて…というサイクルになると思うのですが、僕の場合は例えば考える期間が2ヶ月あって、そのあとペン入れの作業があったので、ほかの方とは進め方が違うのかなと思います。ひたすら手を動かしているときもあれば、ひたすらネタを考えて、思い浮かんだらメモしています。
― 今回新たに“漫画家”という作業があったわけですが、大変と感じることはありましたか?
中丸:それが全くないんですよね。どんなに忙しくても自分の時間ってあるじゃないですか。それをうまく使えば、どうにかなるって思っています。
中丸雄一、エゴサは「めちゃくちゃします」
― 「山田君のざわめく時間」を描くにあたって、誰かにアドバイスをもらうことはありましたか?中丸:作業は基本的に1人ですけど、ネタを出すときは、いろんな人にちょっとヒントをもらったり、“あるある”を聞き出したりすることはあります。自分の体験が主ですが、知人のネタもなくもないって感じです。ヒントをもらって自分も確かにそうだなと思ったら、膨らませていったり、編集の方に相談して、その話だったらこういう展開の方が面白いかもしれないといったみなさんの意見を聞きながら、自分の中で形作りしています。
― 今年、個人でSNSを始められましたが、そこから情報を得ることはありますか?
中丸:あるかもしれないです。何年か前にKAT-TUNのあるあるネタを歌詞にしたことがあったのですが、実はそれもSNSで検索して、みんなどう思っているのかなと、ファンの声を反映させました。
― SNSでエゴサーチもすることはあるんですか?
中丸:めちゃくちゃしますね。テレビに出演したときもですが、みんなの反応を知っておかないと、修正ポイントがわからず、また同じことをやりかねないので。そういう意味で調査します。
― ネガティブな意見もあると思いますが。
中丸:様々な意見があるのは承知で見ています。本当にいろんな人がいるので、SNSをただストレスのはけ口にする人もいる。そういうのはもちろん目を通す必要はないと思っていますが、意見や批判もいい意味で参考にします。でも、やっぱり9割5分は応援してくれるファンの方のコメントが多いので、気分良く読んでいます(笑)。
― SNSを始めて、さらにファンの方との距離の近さを感じるんですね。
中丸:コミュニケーションのツールとしては、インスタライブやスペースをしたり、いろんなことができるので、そう感じることが多いです。
中丸雄一の夢を叶える秘訣
― 漫画連載が決まって“7年越しの夢が叶った”と情報解禁時にコメントされていましたが、中丸さんにとっての夢を叶える秘訣を教えてください。中丸:僭越ながらですけど、行動力です。動いたもんがちだと思います。やりたいことが1つでもあるなら、そこまでなにが必要なプロセスかを整理して、モヤモヤ考えてもしょうがないので、行動するのみだと思います。
― 漫画家になる夢を一度諦めかけたともおっしゃっていましたが、挫折したときはどのような方法で立ち直ろうとしますか?
中丸:僕の場合はラッキーだったというか、偶然が重なった部分が結構大きかったです。僕も自分に言い聞かせているのですが、心が折れそうなときって多分ほかの人も折れている。だから、ここで踏ん張ったら競合相手が少なくなるって。理屈で自分のメンタルを立て直すことをやっています。
― 迷ったときは?
中丸:また別の理論になるんですけど、迷ったときはこっちで正解を決めちゃう。そしたら、その方向に進む、より良くするための努力にしか使わない方がいいと思います。あっちの方がよかったとか、余計なことは考えないで、これでいくと決めたら、それを最大限良くするために、気力と時間を全部使うことだと思います。
― たくさんのお話ありがとうございました。
(modelpress編集部)
中丸雄一(なかまるゆういち)プロフィール
1983年生まれ。2001年にKAT-TUN結成、2006年にメジャーデビュー。現在は、音楽活動、バラエティ番組出演等に加え、日本テレビ系列『シューイチ』のコメンテーター、ABCテレビ系列『朝だ!生です旅サラダ』生中継コーナーのリポーターを務める。イラスト・マンガ関係の活動としては、2006年の『24時間テレビ29』でのスタジオジブリとのTシャツデザインの原案を手掛けることになり、それをきっかけにイラスト制作を開始。2012年から雑誌『WiNK UP』(ワニブックス)で「中丸雄一の絵本作家への道」、「中丸雄一のイラスト勉強会」を約9年間にわたり連載。2020年、新型コロナウイルス感染拡大に対して立ち上がったプロジェクト『Smile Up! Project』で、公式SNSに4コマ漫画をアップした。
PHOTO:矢沢隆則
スタイリスト:河原歩
メイク:豊福浩一・KOICHI TOYOFUKU
【Not Sponsored 記事】
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