「鎌倉殿の13人」千世役・加藤小夏が語る源実朝との“愛”、最期のシーンは「涙が止まらなかった」<モデルプレスインタビュー>
2022.12.04 11:00
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12月18日の最終話に向かって佳境を迎えている小栗旬主演・三谷幸喜脚本のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(毎週日曜よる8時~)。11月27日に放送された第45回「八幡宮の階段」でついに暗殺された鎌倉幕府第3代将軍・源実朝(柿澤勇人)の正室・千世(ちよ)を演じたのが、女優の加藤小夏(かとう・こなつ/23)だ。
後鳥羽上皇の従妹である千世は、実朝から「私には世継ぎを作ることができない」と打ち明けられるが、実朝を大きな愛で受け入れ、夫婦として絆を深めていった様子が描かれた。実朝が暗殺された翌日に出家、享年82歳で生涯を閉じたと言われている。実朝を慕う献身的な愛を美しい佇まいで表現し、キャラクターの濃い登場人物揃いの同作の中でキラリと光る存在感を放った彼女に注目した視聴者も多いはず。
モデルプレスでは第45回の放送直前にインタビューを実施し、実朝と千世の関係性への想い、実朝との最期のシーンの撮影を振り返ってもらったほか、「『ずっと壁だな』みたいな感じです」というこれまでの俳優業やパーソナリティーに迫った。
加藤は、中学1年生の時、原宿でスカウトされ芸能界入り。高校入学後に本格的に芸能活動をスタートさせた。NTT西日本(2015年)やホットペッパービューティー(2018年)などのCMに出演し、透明感溢れる美貌で注目を集め、ドラマ「I”s(アイズ)」(BS スカパー!・スカパー!オンデマンド/2018年)で4人目のヒロイン・麻生藍子役に抜擢されるなど女優として活躍。今作が初の大河ドラマ出演となる。
加藤:クランクアップは9月末くらいで結構経っているのですが、つい最近のことのような気がして、変な感覚です。私は出演する第45回までしか台本をもらっていないので、小栗さん演じる義時さんがこれからどういう風に描かれていくかが、一視聴者として本当に楽しみで仕方なくて、テレビの前で観たいなと思っています。
― 第45回でついに実朝暗殺が描かれます。
加藤:観られないです、私はもう…。実朝さんのシーンは目に焼き付けなきゃいけないと思いながらもちょっと想像しただけで涙が出そうで、観たくないですね。
― そのシーンの撮影は立ち会われていないですか?
加藤:はい。その後ご遺体と対面するシーンだったので、斬られるシーンはどういう風になっているのか知らないんです。私の出演は、実朝さんが残した和歌を政子さん(小池栄子)たちと共有するシーンがあって、それが最後でした。
― 撮影時はどういう心境でしたか?
加藤:笑顔で見送った後に帰ってきたのがもうご遺体だったので、涙が止まらなかったです。実朝さんが残した和歌が本当に“らしい”言葉で、それを詠んでいるときに実朝さんの表情や皆さんの中に残っているであろう実朝さんがすぐに頭に浮かんできてとにかく苦しくて息が詰まりそうでした。
― すごく感情移入されていたんですね。
加藤:そうですね。あんなに感情がワッーと押し寄せるのは初めてなくらいでした。
加藤:私の他の作品を観てオファーをくださったそうです。ただ全然千世っぽい作品はなかったので「何でだろう?」と驚きました。出演決定を聞いたときは、その時代の人のことも全然知らないので、私にできる自信がなかったですし、千世みたいな高貴な生まれ育ちでもないですし…
― それはなかなかいないですね(笑)。
加藤:本当に私は普通の家の普通の子なので、不安とまでは行かないけど「何かの間違いかな?はてさて…」という心境でした(笑)。
― 三谷さんとお話されたことは?
加藤:決まってから撮影が始まる前に顔合わせというか、役についてお話する時間を作っていただいて、千世の生涯についてとか、あのキャラの濃い役ばかりの中で千世はどうしたら印象に残るのかというお話をさせていただきました。
― 出演が始まってからの反響はとても大きかったと思うんですけど、実感されましたか?
加藤:例えばTwitterで「千世」と検索したら見きれないくらいのすごい数の反応が出てきて皆こんなに色々なことを思ってくれているんだなと、私が思っていた以上に役について考えてくれている方もいたので驚きました。あとは家族、友達も皆喜んでくれたので、すごく影響が大きいなと思います。
― 髪型が全然違うので普段とは全然印象が違いますよね。
加藤:そうですよね(笑)。絶対街でも私が千世をやっていたことは気づかれないだろうなと思います。
加藤:千世の生涯を見たときにあの年代だと珍しく80歳くらいまで長生きされているんですね。それを鑑みて、あの時代風に言うと天に守られているくらいの素敵な女性だったんじゃないかなと最初に捉えました。なので、とにかく千世はまっすぐ、あの鎌倉で清く正しく生きてきたんだろうなと思って、生涯実朝さんにしか嫁がなかったわけですから、本当に人として実朝さんを愛しているんだろうなと思って演じました。
― 実朝さんとの関係は複雑な部分もありました。
加藤:序盤は本当に実朝さんの思っていることが掴めなくて、千世もどうしたら良いんだろうという状況だったんですけど、打ち明けてくれてからはショックがなかったわけではないと思いますが、気持ちが楽になって居心地の良い関係になれました。大切なことを話してくれた実朝さんと、それでもそばにいたいという千世を観ている方にも良い関係だなと思ってもらえたらなと思いながらお芝居をしました。
― 2人の愛はどういったものだと思いますか?
加藤:すごく深いんですよね。表面的なものではなくて、実朝さんが何故千世に話そうと思ってくれたのかとかそういうところまで考えると人間愛でしかないなと思って、もちろん千世は最初は恋愛的な目で見ていたと思うんですけど、最終的には人間愛になっていったんだろうなと思います。
加藤:本当に全部なんですよね。もういろいろな実朝さんが浮かんできちゃって選べないんですけど、力を入れたというか、ここで実朝さんと千世が皆様に応援してもらえるかが決まるというのは、やっぱり「私には世継ぎを作ることができない」と告げられた回で、実朝さんの震える手もすごく印象に残っていますし、私自身もあのシーンは緊張しすぎて手も冷たくなって、変な汗をかきました。
― ご自身で放送を観たときの心境は?
加藤:最初は客観的に観られなかったんですけど、何度か観て「これまで私(千世)だけしか知らなかったことを全国の人に知ってもらえたことによって受け入れてもらえるね、実朝さん良かったね。皆が応援してくれるよ」という気持ちでした。
加藤:実朝さんの喋り方が台本で読んだ時の想像と違うことが多くて「あ、実朝さんはこういう言い方をするんだな」とかそういう面でいつも刺激をいただいていました。現場では役もあったと思うんですけど尊い空気を放っていたので、話しかけるのに緊張してしまいました。撮り終わった後にスタッフさんが何台かモニターを持ってきて下さるんですけど、いつも無言でそのシーンを確認して終わる、という感じであまりお話はできなかったので、今度ちゃんとお話したいですね(笑)。
― お2人でイベントにも出られていましたよね?
加藤:鶴岡八幡宮に行かせていただいたんですけど、そのときも緊張しちゃって「出演されていたテレビ観ました!」みたいなファンみたいなことしか言えなかったです(笑)。
― ベテランの役者さんが沢山出演されていましたが、撮影現場で印象に残っていることはありますか?
加藤:私のクランクインの日は、政子さんと実衣(宮澤エマ)さんに「千世でございます」と挨拶するシーンだったんですけど、あのときの小池さんが忘れられないです。クランクインするまでに放送も観てきてそのときの放送ではまだ尼の格好じゃなかったので「政子さんだ!すごいところに来ちゃったな。鎌倉は今とんでもない状況かな?」と一瞬視聴者目線になっちゃったことを鮮明に覚えています(笑)。
― 普段は加藤さんから共演者の方に話しかけることが多いんですか?
加藤:そうですね。キャストの年が近かったり主演をやらせていただいていたりするときは沢山話しかけますが、今回はあの鎌倉で年齢も上の方ばかりだったり、終盤は緊迫したシーンも多かったので「皆さんどんな状況かな?」と窺っていました。
加藤:やっぱり所作でしょうか。着ていたのがとても長い袴で歩き方も難しかったですし、素敵な着物を着させていただいていたので座っている時の袖が汚く見えないようにとか、ちょっとした動きに毎回苦労しました。あとは、千世はさっきも言ったように高貴な育ちなので、動作が何をするにもおしとやかなんですね。普段の私はこんな感じなので(笑)、そこは意識しましたね。撮影が始まる前日は家で何故か正座して頭の中で「どういう感じかな?ここではこう動くんだろうな」とイメージトレーニングしていました。
― ご自身で演技面において成長を感じることは?
加藤:自分で自分が成長したなと感じることがそもそもないので、「もっとこうしたかったな」とかそんなことばかり思い浮かんじゃいますね。でも、観て下さっている方が千世を好きと言って下さると、そういうお声が自信に繋がっています。でももっと頑張りたいなと思います。
加藤:割と「ずっと壁だな」みたいな感じです(笑)。中学生のときから地道にずっとオーディションを受けていて、高校生になってから少しずつお仕事が決まって。けどやっぱり今でも落ちたりする度に「壁だ」と感じますね。ご一緒した共演者の方や自分より若い子がどんどん私がみてる壁を越えていっちゃうので「皆また越えていった」と感じてしまいます。
― どんどんネガティブになってしまうタイプですか?
加藤:多分ネガティブになっていたら今はここにいないので。ちゃんと嫌な気持ちを感じはするけど、すごく切り替えが早いです。自分の感情を「よっしゃ、やったるぜ!」と結構パチンと前向きに変えられるのでネガティブにならずにずっとちゃんと前を向いて壁を見ています(笑)。「1時間前まですごく落ち込んでいたのに今笑っているよね」と人にも言われるんですけど、メンタルが弱いと思っていたけど復活のスピードの早さがすごいから逆にメンタル最強だったんじゃない?と、2週間前くらいにちょうどマネージャーさんとそういう話になりました(笑)。
― 元々そういう性格なのか、沢山壁を感じてきたから強くなったのか。
加藤:多分それもあるんだと思います。そういう経験が今の自分に繋がっているんじゃないかな。
― 自分としては、女優として何が強みや魅力だと思いますか?
加藤:自分の中で色々なお芝居のパターンを考えることかな…。そこから1つ選んでやっているわけなんですけど、それを「違う」と監督に言われたときに「じゃあこれかな?」と出せるところが強みかなと思います。
― ここでも切り替えが早いんですね。
加藤:つまり切り替えの早さですね(笑)。あとはセリフ覚えが結構早いです。当日に「シーン変わりました」と言われても大変だなと思いつつ、どうにかパパパとできるのは強みかなと思います。
― お仕事を続けている一番のモチベーションは?
加藤:「あの演技が良かった」とか「あの役はダメだった」とかお芝居を評価してくれる人がいること。それが一番モチベーションに繋がりますね。
加藤:小学生のときに大好きだった祖母が目の前で倒れて亡くなったことがありました。それまではすごく元気なおばあちゃんで、自分で言うのもあれなんですけど、私を一番に可愛がってくれていたんです。でも、お正月におばあちゃんの家に行って初詣に皆で行こうと朝起きたときに心筋梗塞のような感じで目の前で倒れて突然死してしまって、それが人生で初めて人間が亡くなる瞬間を見た経験でした。人生で一番悲しかったし、何も味もしないし、涙も止まらなかったんですけど、乗り越えざるを得なかったですね。
― そこからどうやって乗り越えた記憶がありますか?
加藤:それから「死ぬことが怖い」とかそんなことばかり考えるようになって、「おばあちゃん、実はまだいるんじゃないかな?」とか3、4年くらいずっと引きずっていたんです。でも、中学に上がるタイミングで祖父も病気で亡くなっちゃったんです。そこで冷静に考えたらお母さんが一番辛いわけじゃないですか。「私以上に辛いのはお母さんじゃない?」と気づいてからは私だけが悲しいわけじゃないし、皆辛かったと思うようになったことが大きかったです。
― そこで一度メンタルが強くなったんですね。
加藤:無敵になりました(笑)。それを乗り越えたから無敵なのかもしれません。
加藤:プライベートもあるし、仕事もあるし、人生色々なことがあると思うんですけど、私は一番が仕事で、というか他のことがダメすぎてそれしかできないんです(笑)。他のことが極端にできなくてお芝居が好きということでしかなくて。だから一番と思えるものが見つかっていることが大きいのかなと思っています。一番だと思えるものを見つけて夢中で追い続けることができたら良いんじゃないかなと思います。
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)
千世役・加藤小夏、実朝との最期のシーン振り返る「苦しくて息が詰まりそうでした」
― 放送も終盤を迎えていますが、ご覧になっていかがですか?加藤:クランクアップは9月末くらいで結構経っているのですが、つい最近のことのような気がして、変な感覚です。私は出演する第45回までしか台本をもらっていないので、小栗さん演じる義時さんがこれからどういう風に描かれていくかが、一視聴者として本当に楽しみで仕方なくて、テレビの前で観たいなと思っています。
― 第45回でついに実朝暗殺が描かれます。
加藤:観られないです、私はもう…。実朝さんのシーンは目に焼き付けなきゃいけないと思いながらもちょっと想像しただけで涙が出そうで、観たくないですね。
― そのシーンの撮影は立ち会われていないですか?
加藤:はい。その後ご遺体と対面するシーンだったので、斬られるシーンはどういう風になっているのか知らないんです。私の出演は、実朝さんが残した和歌を政子さん(小池栄子)たちと共有するシーンがあって、それが最後でした。
― 撮影時はどういう心境でしたか?
加藤:笑顔で見送った後に帰ってきたのがもうご遺体だったので、涙が止まらなかったです。実朝さんが残した和歌が本当に“らしい”言葉で、それを詠んでいるときに実朝さんの表情や皆さんの中に残っているであろう実朝さんがすぐに頭に浮かんできてとにかく苦しくて息が詰まりそうでした。
― すごく感情移入されていたんですね。
加藤:そうですね。あんなに感情がワッーと押し寄せるのは初めてなくらいでした。
加藤小夏、オファーで決まった千世役・反響の大きさを実感
― 千世役はどういった経緯で決まりましたか?加藤:私の他の作品を観てオファーをくださったそうです。ただ全然千世っぽい作品はなかったので「何でだろう?」と驚きました。出演決定を聞いたときは、その時代の人のことも全然知らないので、私にできる自信がなかったですし、千世みたいな高貴な生まれ育ちでもないですし…
― それはなかなかいないですね(笑)。
加藤:本当に私は普通の家の普通の子なので、不安とまでは行かないけど「何かの間違いかな?はてさて…」という心境でした(笑)。
― 三谷さんとお話されたことは?
加藤:決まってから撮影が始まる前に顔合わせというか、役についてお話する時間を作っていただいて、千世の生涯についてとか、あのキャラの濃い役ばかりの中で千世はどうしたら印象に残るのかというお話をさせていただきました。
― 出演が始まってからの反響はとても大きかったと思うんですけど、実感されましたか?
加藤:例えばTwitterで「千世」と検索したら見きれないくらいのすごい数の反応が出てきて皆こんなに色々なことを思ってくれているんだなと、私が思っていた以上に役について考えてくれている方もいたので驚きました。あとは家族、友達も皆喜んでくれたので、すごく影響が大きいなと思います。
― 髪型が全然違うので普段とは全然印象が違いますよね。
加藤:そうですよね(笑)。絶対街でも私が千世をやっていたことは気づかれないだろうなと思います。
加藤小夏が語る千世と実朝の“愛”
― 加藤さんは千世をどういう女性だと捉えて役作りされましたか?加藤:千世の生涯を見たときにあの年代だと珍しく80歳くらいまで長生きされているんですね。それを鑑みて、あの時代風に言うと天に守られているくらいの素敵な女性だったんじゃないかなと最初に捉えました。なので、とにかく千世はまっすぐ、あの鎌倉で清く正しく生きてきたんだろうなと思って、生涯実朝さんにしか嫁がなかったわけですから、本当に人として実朝さんを愛しているんだろうなと思って演じました。
― 実朝さんとの関係は複雑な部分もありました。
加藤:序盤は本当に実朝さんの思っていることが掴めなくて、千世もどうしたら良いんだろうという状況だったんですけど、打ち明けてくれてからはショックがなかったわけではないと思いますが、気持ちが楽になって居心地の良い関係になれました。大切なことを話してくれた実朝さんと、それでもそばにいたいという千世を観ている方にも良い関係だなと思ってもらえたらなと思いながらお芝居をしました。
― 2人の愛はどういったものだと思いますか?
加藤:すごく深いんですよね。表面的なものではなくて、実朝さんが何故千世に話そうと思ってくれたのかとかそういうところまで考えると人間愛でしかないなと思って、もちろん千世は最初は恋愛的な目で見ていたと思うんですけど、最終的には人間愛になっていったんだろうなと思います。
加藤小夏「鎌倉殿の13人」実朝と千世の名シーン振り返る
― 全部だとは思うんですが、一番印象に残っているシーンや、力を入れたシーンは?加藤:本当に全部なんですよね。もういろいろな実朝さんが浮かんできちゃって選べないんですけど、力を入れたというか、ここで実朝さんと千世が皆様に応援してもらえるかが決まるというのは、やっぱり「私には世継ぎを作ることができない」と告げられた回で、実朝さんの震える手もすごく印象に残っていますし、私自身もあのシーンは緊張しすぎて手も冷たくなって、変な汗をかきました。
― ご自身で放送を観たときの心境は?
加藤:最初は客観的に観られなかったんですけど、何度か観て「これまで私(千世)だけしか知らなかったことを全国の人に知ってもらえたことによって受け入れてもらえるね、実朝さん良かったね。皆が応援してくれるよ」という気持ちでした。
加藤小夏、実朝役・柿澤勇人らキャスト陣から受けた刺激
― 千世目線だったんですね。柿澤さんとの共演では、どんな刺激を受けましたか?加藤:実朝さんの喋り方が台本で読んだ時の想像と違うことが多くて「あ、実朝さんはこういう言い方をするんだな」とかそういう面でいつも刺激をいただいていました。現場では役もあったと思うんですけど尊い空気を放っていたので、話しかけるのに緊張してしまいました。撮り終わった後にスタッフさんが何台かモニターを持ってきて下さるんですけど、いつも無言でそのシーンを確認して終わる、という感じであまりお話はできなかったので、今度ちゃんとお話したいですね(笑)。
― お2人でイベントにも出られていましたよね?
加藤:鶴岡八幡宮に行かせていただいたんですけど、そのときも緊張しちゃって「出演されていたテレビ観ました!」みたいなファンみたいなことしか言えなかったです(笑)。
― ベテランの役者さんが沢山出演されていましたが、撮影現場で印象に残っていることはありますか?
加藤:私のクランクインの日は、政子さんと実衣(宮澤エマ)さんに「千世でございます」と挨拶するシーンだったんですけど、あのときの小池さんが忘れられないです。クランクインするまでに放送も観てきてそのときの放送ではまだ尼の格好じゃなかったので「政子さんだ!すごいところに来ちゃったな。鎌倉は今とんでもない状況かな?」と一瞬視聴者目線になっちゃったことを鮮明に覚えています(笑)。
― 普段は加藤さんから共演者の方に話しかけることが多いんですか?
加藤:そうですね。キャストの年が近かったり主演をやらせていただいていたりするときは沢山話しかけますが、今回はあの鎌倉で年齢も上の方ばかりだったり、終盤は緊迫したシーンも多かったので「皆さんどんな状況かな?」と窺っていました。
加藤小夏、初大河を振り返って
― やっぱり緊迫されていたんですね。改めて初めての大河出演で一番苦労したことは何ですか?加藤:やっぱり所作でしょうか。着ていたのがとても長い袴で歩き方も難しかったですし、素敵な着物を着させていただいていたので座っている時の袖が汚く見えないようにとか、ちょっとした動きに毎回苦労しました。あとは、千世はさっきも言ったように高貴な育ちなので、動作が何をするにもおしとやかなんですね。普段の私はこんな感じなので(笑)、そこは意識しましたね。撮影が始まる前日は家で何故か正座して頭の中で「どういう感じかな?ここではこう動くんだろうな」とイメージトレーニングしていました。
― ご自身で演技面において成長を感じることは?
加藤:自分で自分が成長したなと感じることがそもそもないので、「もっとこうしたかったな」とかそんなことばかり思い浮かんじゃいますね。でも、観て下さっている方が千世を好きと言って下さると、そういうお声が自信に繋がっています。でももっと頑張りたいなと思います。
加藤小夏、女優業は「ずっと壁」それでも乗り越えられてきた理由
― ここからはこれまでの女優業についてお伺いします。芸能界に入られてから一番壁にぶつかったと感じた経験や、ここがターニングポイントだったなという経験はありますか?加藤:割と「ずっと壁だな」みたいな感じです(笑)。中学生のときから地道にずっとオーディションを受けていて、高校生になってから少しずつお仕事が決まって。けどやっぱり今でも落ちたりする度に「壁だ」と感じますね。ご一緒した共演者の方や自分より若い子がどんどん私がみてる壁を越えていっちゃうので「皆また越えていった」と感じてしまいます。
― どんどんネガティブになってしまうタイプですか?
加藤:多分ネガティブになっていたら今はここにいないので。ちゃんと嫌な気持ちを感じはするけど、すごく切り替えが早いです。自分の感情を「よっしゃ、やったるぜ!」と結構パチンと前向きに変えられるのでネガティブにならずにずっとちゃんと前を向いて壁を見ています(笑)。「1時間前まですごく落ち込んでいたのに今笑っているよね」と人にも言われるんですけど、メンタルが弱いと思っていたけど復活のスピードの早さがすごいから逆にメンタル最強だったんじゃない?と、2週間前くらいにちょうどマネージャーさんとそういう話になりました(笑)。
― 元々そういう性格なのか、沢山壁を感じてきたから強くなったのか。
加藤:多分それもあるんだと思います。そういう経験が今の自分に繋がっているんじゃないかな。
― 自分としては、女優として何が強みや魅力だと思いますか?
加藤:自分の中で色々なお芝居のパターンを考えることかな…。そこから1つ選んでやっているわけなんですけど、それを「違う」と監督に言われたときに「じゃあこれかな?」と出せるところが強みかなと思います。
― ここでも切り替えが早いんですね。
加藤:つまり切り替えの早さですね(笑)。あとはセリフ覚えが結構早いです。当日に「シーン変わりました」と言われても大変だなと思いつつ、どうにかパパパとできるのは強みかなと思います。
― お仕事を続けている一番のモチベーションは?
加藤:「あの演技が良かった」とか「あの役はダメだった」とかお芝居を評価してくれる人がいること。それが一番モチベーションに繋がりますね。
加藤小夏が悲しみを乗り越えた方法
― 今、さまざまな不安を抱えているモデルプレスの読者に向けて、加藤さんのこれまでの人生の中で「悲しみを乗り越えたエピソード」もしくは「怒りを乗り越えたエピソード」を教えてください。加藤:小学生のときに大好きだった祖母が目の前で倒れて亡くなったことがありました。それまではすごく元気なおばあちゃんで、自分で言うのもあれなんですけど、私を一番に可愛がってくれていたんです。でも、お正月におばあちゃんの家に行って初詣に皆で行こうと朝起きたときに心筋梗塞のような感じで目の前で倒れて突然死してしまって、それが人生で初めて人間が亡くなる瞬間を見た経験でした。人生で一番悲しかったし、何も味もしないし、涙も止まらなかったんですけど、乗り越えざるを得なかったですね。
― そこからどうやって乗り越えた記憶がありますか?
加藤:それから「死ぬことが怖い」とかそんなことばかり考えるようになって、「おばあちゃん、実はまだいるんじゃないかな?」とか3、4年くらいずっと引きずっていたんです。でも、中学に上がるタイミングで祖父も病気で亡くなっちゃったんです。そこで冷静に考えたらお母さんが一番辛いわけじゃないですか。「私以上に辛いのはお母さんじゃない?」と気づいてからは私だけが悲しいわけじゃないし、皆辛かったと思うようになったことが大きかったです。
― そこで一度メンタルが強くなったんですね。
加藤:無敵になりました(笑)。それを乗り越えたから無敵なのかもしれません。
加藤小夏の夢を叶える秘訣
― モデルプレス読者の中には今、夢を追いかけている読者もたくさんいます。そういった読者に向けて、加藤さんの「夢を叶える秘訣」を教えてください。加藤:プライベートもあるし、仕事もあるし、人生色々なことがあると思うんですけど、私は一番が仕事で、というか他のことがダメすぎてそれしかできないんです(笑)。他のことが極端にできなくてお芝居が好きということでしかなくて。だから一番と思えるものが見つかっていることが大きいのかなと思っています。一番だと思えるものを見つけて夢中で追い続けることができたら良いんじゃないかなと思います。
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)
加藤小夏(かとう・こなつ/23)プロフィール
1999年6月26日生まれ、東京都出身。趣味はカメラ、ダンス、編み物。特技はダンス(ジャズヒップホップ歴11年)。ドラマ「I”s(アイズ)」(BSスカパー!・スカパー!オンデマンド/2018年)で4人目のヒロイン・麻生藍子役に抜擢され、連続ドラマ初出演を果たす。2021年、ドラマ「取り立て屋ハニーズ」(ひかりTV)にて、高橋ユウと乃木坂46掛橋沙耶香とともに主演を務める。他の主な出演作にドラマ「ドラマW 父と息子の地下アイドル」(WOWOW/2020)、「年下彼氏」(ABC・テレビ朝日/2020)、「メンズ校」(テレビ東京/2020)「禍話」(ABC/2021)「警視庁 捜査一課長 season6」(テレビ朝日/2022)、「二十四の瞳」(NHK/2022)、「最果てから、徒歩5分」(BSテレ東/2022)、映画「高台家の人々」(2016)、「踊ってミタ」(2020・ヒロイン)、「20dB」(2020・W主演)、「おばあさんの皮」(2021・主演)、「君たちはまだ長いトンネルの中」(2022・主演)など。出演映画「私の知らないあなたについて」が12月2日より公開中。女優業の他にもアパレルブランド「ForWe」をプロデュースするなど多岐に渡り活動している。小栗旬主演「鎌倉殿の13人」第46回あらすじ
新たな鎌倉殿を迎えようと朝廷に伺いを立てる北条義時(小栗旬)、大江広元(栗原英雄)たち。実衣(宮澤エマ)が野心を燃やし、三浦義村(山本耕史)が暗躍する中、京では鎌倉への不信感をさらに高めた後鳥羽上皇(尾上松也)が、藤原兼子(シルビア・グラブ)、慈円(山寺宏一)と共に今後を見据え、鎌倉への圧力を強めていく。一方北条家では、思い悩む泰時(坂口健太郎)をよそに、のえ(菊地凛子)が愛息・政村(新原泰佑)を……
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