‘Midnight’ Concept Photo #2(提供写真)

大森元貴「良い意味で裏切りたい」 新たな挑戦に込めた“多様性”への想い<2nd Digital EP『Midnight』インタビュー>

2021.08.25 18:00

Mrs. GREEN APPLEのフロントマンを務める大森元貴の2nd Digital EP『Midnight』が、8月6日にリリース。前作の表題曲『French』とは真逆とも思える鮮やかなコンセプトフォトやMVが大きな話題を呼んでいる。大森が今作で作り上げた世界観や、楽曲に込めた想い、未発表曲を収録した意図までをリモートインタビューで聞いた。

大森元貴「イタズラに近い感覚」

― 前作から約5か月ぶりとなる2nd Digital EPのリリースおめでとうございます!まずは今作に込めた想いからお聞かせいただけますか?

大森:ありがとうございます!収録されている3曲は、すべて“夜”の印象が強いという共通点があります。それと自分と向き合う楽曲でもあるのが共通したテーマになっています。

― “夜”というテーマがあってから、収録曲が決まっていったような流れですか?

大森:むしろ共通する部分は後からついてきた感じです。EPを作るためにテーマがあるというよりは、自然と「この曲を入れたい」と選曲していったらすべての楽曲に“夜”という共通項が偶然にあったようなイメージです。表題曲の『Midnight』は書下ろしですが、残りの2曲は原型がある曲なんです。選曲も悩むことはなく、かなりスムーズに決まりました。

― 新たに書き下ろした表題曲『Midnight』は良い意味で裏切られました!

大森:本当ですか?ありがとうございます(笑)!

― サウンドやMVは今までにはない雰囲気を感じました。同曲に込めた想いを聞かせていただけますか?

大森:すごく意識していたわけではないんですけど、「せっかくだからグループではやっていない楽曲を作りたい」と、どこか思っていて。そう考えた時に思い浮かんだ“ノリのいい楽曲”というアイデアは、本当にただの思い付きでした。ダンスミュージックを作ったのは遊び心というか、イタズラというか。

― 今までにはない楽曲ながらも大森さんらしさも感じました。サウンド面で意識した部分はありますか?

大森:流行っているダンスミュージックを同じように作っても、どこか真似っぽさが出てしまうと思ったんです。「じゃあ自分なりのダンスミュージックってなんなんだろう?」と考えていく中で、アレンジャーさんと一緒に話し合いながら作っていきました。元々ダンスミュージックを作るというよりは、ノリのいい楽曲を作りたいという想いを掘り下げていったら今の形になったというのが近いですね。なのでノリのいいダンスミュージックだけど、僕の癖とかは残っているんだと思います。

― 元々はダンスミュージックがテーマではなかったんですね。

大森:はい。単純にノリの良い楽曲を作ろうと思ったというのが、大雑把だけど一番的を得ているのかもしれないですね。1st Digital EPの『French』はすごく内省的な作品だったので、「大森のソロはそういう方向でいくのね」と思われるのがちょっと嫌だったっというか(笑)。“どこにでも行くし、どこにも行かない”というのを体現するには、よりフレキシブルな楽曲を出してリスナーさんを驚かせたいという子供心が大切なんだと思います。

― 良い意味で裏切られたのは、まさに大森さんの狙い通りだったんですね(笑)!

大森:そうですね(笑)。誰かを驚かせたいというのは、イタズラに近い感覚なのかもしれないです。

― 作詞の面でこだわった部分はありますか?

大森:ノリの良いサウンドなので、歌詞は内省的な部分や影の部分を意識しています。真夜中は色んなことを想像できるし、自分の中でも最高の遊び場だと感じています。その反面、自分と向き合うから孤独をすごく感じるし、どうしようもないやるせない気持ちも同時にある。そんな真夜中が面白いと感じたところから歌詞が広がっていきました。歌詞としては内省的だけど、だからこそサウンドはわかりやすいヒップホップがいいんじゃないかなって。歌詞とサウンドのアンバランスさはすごく意識しました。

― ちなみに歌詞とサウンドはどちらを先に作られるんですか?

大森:僕どっちも同時なんです。なのでサウンドを作りながら思いついたフレーズを同時にメモして、自然と楽曲が完成していきます。

― 今作は英語の歌詞が印象的ですね。

大森:英語の歌詞は共作で入ってもらっている方がいらっしゃるんです。僕が表現したい言葉をどういった言い回しにするかにこだわりました。でも非常にスムーズにいって10分もかからないくらいで完成しました。

― そんなに早かったんですね!

大森:早かったですね。他の楽曲と比べてもかなり早いです。絶対に使いたい『inside』や『try』、『midnight』などのワードを入れて歌った仮歌と、表現したい日本語の歌詞を共作で入ってくださった方にお渡しして作業を進めていきました。こういった作業は初めてのチャレンジだったんですけど、他の作品と比べても作詞の原型ができる速度はすごく早かったです。

衝撃的なMVに込められた想い

― 『Midnight』のMVは『French』ともガラッと変わって、鮮やかな世界観やフォーメーションダンスが印象的でした。

大森:前作の『French』はコンテンポラリーダンスで、いわば自分から出てくるものを体現する正解のないダンスです。でも今作のフォーメーションダンスは周りと合わせないと綺麗に見えないし、自己流や自分なりという言葉が通用しないダンスになります。そこは少し苦戦した部分ではありますね。

― MVは大森さんのアイデアも?

大森:基本的には全てのプロデュースをさせてもらっています。どういった世界観にするか、ヘアカラーをするにあたって衣装をどうするかなどを話し合いながら進めています。その上でMV監督の方と何度も打ち合わせしてMVが完成しました。

― メイキングも拝見させていただいたんですが、撮影中も振りの確認をされていましたね。

大森:単純に不安になり、何度も振りを確認していました(笑)。ダンスがメインではなく、あくまでMVの世界観を表現するためのダンスではあるんですけど。でもここまでガチガチに踊ることは僕も初めてなので単純に不安だった部分はありますね。

― ダンスはもちろん素晴らしい世界観のMVでした。

大森:ありがとうございます!「日本の音楽はこうでなきゃいけない」という考え方にもどかしさがあり、グループでの活動も歯痒い瞬間がありました。ダンスを踊ってもいいし、髪色を派手にしてメイクをしたら面白いんじゃないかと思って、もどかしさを振り切ってMVを作っていきました。音楽の多様性を表現できればと思っています。

― メリーゴーランドのシーンで雨が降っているようでしたが、撮影は大変でした?

大森:撮影はバタバタでしたね(笑)。メリーゴーランドのシーンで雨が降ったのは予想外だったんですが、雨の中で撮影しました。僕のアイデアでメリーゴーランドのオブジェを入れたんですが、メリーゴーランドの持つ非現実感やネバーランド感は凄まじくて、どうしても撮影したいとお願いしました。確か2回しか撮影できなかったので、かなり集中して踊ったし鬼気迫る感じが映像からも伝われば嬉しいです。

― 濡れた髪も雰囲気があって素敵でした!

大森:本当ですか(笑)!完全にハプニングではありますが、そう言っていただけて良かったです。

― メリーゴーランドの他に特にこだわった部分はありますか?

大森:前作とも表現の仕方がかなり違っていて、特に決まった振りがないフリーの撮影は悩みました。バチバチにダンスしている後のシーンで僕はどういう表情をしていれば悪浮きしないんだろうかとか、どういう動きをしていれば違和感がないだろうかと頭を使っていました。その部分で「僕って何なんだっけ?」と悩みましたね(笑)。でも全てのシーンが初めて尽くしで、とにかく楽しむことを意識しました。月並みではありますが、楽しむことは僕にとっても大事なテーマなので。

― 表現の仕方から違ったんですね。

大森:そうですね。音楽に線引きは必要ないと思っていますが、「これはやり過ぎかな」と考えながら撮影していました。やっぱり今までの毛色とだいぶ違うので、イタズラが意地悪にならないバランスを意識しました。

― そのバランスは難しそうですね。捉える側でも違ってきそうですし。

大森:そうなんです。なので結局は自分の中で納得がいくかだと思います。誰かを意識するより「自分はこれで良いのか?」と自問自答して、今の表現している理由を常に答えられるよう意識しています。とにかく初めてのことばかりで、「初めてのことはやっぱり楽しい」と改めて思えたのは大きな収穫でした。

― そもそもMVより先にコンセプトフォトを拝見させていただいたんですが、そこからかなりの衝撃でした!

大森:そうですよね(笑)。音楽は衣食住ではないし、聴いてくださる方がいかに楽しめるか、ワクワクできるかが大切だと思っています。それは同時に僕がワクワクできるかという部分に繋がっていきます。楽曲のリリースが全てではなく、その前の助走から全てがエンターテイメントであるべきだと強く思っています。なのでコンセプトフォトを見て驚いてくれると嬉しいですね。

― 今作はソロだからこそ表現できた部分も大きいですか?

大森:タイミングとしてはそう思います。ただグループで活動している時も僕が楽曲を制作するので、ソロだからという明確な線引きをしているわけではないですね。Mrs. GREEN APPLEが再開する時に色んな多様性が認められる様な橋渡しをしている部分もあるのかもしれません。

― 意識せず次に繋がっている部分も?

大森:あると思います。意識している部分もあれば、していない部分もあるので。

‘Midnight’ Concept Photo #4(提供写真)
‘Midnight’ Concept Photo #4(提供写真)

2曲の未発表曲を収録

― そこからガラッと変わって2曲目は『メイプル』。王道のバラードですよね。デュエットソングなのも印象的でした。

大森:『メイプル』は2013年頃に制作して、1番のワンコーラスしかなかった曲を再編集しました。ド直球な歌詞だったので、どう扱えばいいか悩み今までお蔵入りしていたんです。今回改めて聴いてみたら、「『メイプル』はこのタイミングでしか表現できない楽曲なんじゃないか」と焦燥感に駆られてフルにしようと思ったんです。1番は高校生の時に書いた歌詞のままで、2番を新たに書き下ろしています。過去の曲を書き下ろすという体験も面白かったし、最初は想像していなかったデュエットソングになったのも面白い体験でした。

― 最初はデュエットソングではなかったんですね。

大森:楽曲を詰めていく中で「女性もいた方が絶対いい」と思って、そこからポンポン話が進んでいきました。レコーディングの時はゲストボーカルに入っていただいた元松美紅さんの歌声を最大限に生かすよう考えていました。『メイプル』は女性の声が非常に大切だと思っていて、だからこそ僕は男らしすぎず、女々しすぎないフラットな男性像を思い浮かべながら歌うようにしました。

― フラットな男性像は抑揚などの歌い方で表現を?

大森:そうですね。「どれぐらい優しく語りかけてるべきだろうか」と声質も意識しました。カップルのリアル感を大切にしたかったし、この曲が持つ微笑ましさを最大限引き出せるように意識しましたね。

― 2番以降の新たに書き下ろした歌詞は、高校時代の自分へのアンサーのような内容も?

大森:ありましたね。どストレートな歌詞に対して、その続きの歌詞を書くのは非常に勇気がいることだったので1週間くらいは時間がかかりました。正直なところ、「当時の自分がなんでこういう楽曲を作ろうと思ったのか」を覚えていなくて(笑)。過去の自分の想いを探ることから始めたので、とても不思議な体験でした。

― 1番の歌詞を変えたいとは思いませんでしたか?

大森:「今考えると変だな」と思うところは正直あります(笑)。ただ、その部分を変えてしまったら改めて過去曲を引っ張ってきた意味がなくなってしまうと思うんです。当時の楽曲を肯定しつつ、今の自分のエッセンスも入れることに重きを置いて書き下ろしました。きっとこの表現に至った意味が絶対にあるので、その意味をなるべく汲むようにしています。

― 大森さんの楽曲の中ではかなり歌詞がストレートなので理由が気になっていたんですが、高校生の頃に作った楽曲ということですっきりしました!

大森:ただ当時の自分としても、この歌詞を書いたのは不思議なんです(笑)。3曲目の『ヒカルモノクラクナル』も同じ時期に作った楽曲なので、この曲を書いたことは大きな出来事だったと思うんです。『メイプル』は異質さが際立つ楽曲だからこそ、その時のニュアンスは大事にしました。

‘Midnight’ Concept Photo #1(提供写真)
‘Midnight’ Concept Photo #1(提供写真)
― 3曲目の『ヒカルモノクラクナル』は、一転してかなり内省的な楽曲ですよね。羽音や雨音をバックに響く大森さんの声が印象的な楽曲でした。

大森:深く沈んでいきそうな繊細で脆い部分を歌うことが、僕のコアな部分だと思っています。『Midnight』と『メイプル』の2曲だとその想いが正しく伝わらないこともあるだろうと思い収録しました。僕が大切にしたい「憂い」「寂しさ」「人を思う気持ち」というような想いを自分自身が肯定してあげないと辛くなってしまうこともあって。『ヒカルモノクラクナル』が『Midnight』『メイプル』と並んで収録されていることが、僕にとってはすごく大事なことなんです。7~8年くらい前に作った曲なのに、聴いているといまだ胸がギュッとなるのは、同時に僕が大切にしてきたものが壊れずに活動できていることの証明でもあるのかなと。

― ファンの方の反応を見ていると、そのコアの部分がしっかり伝わっているように感じます。

大森:ありがたいですね。『ヒカルモノクラクナル』が僕のコアな部分だと理解してくれている方が多いと感じます。だからこそ「正しく伝わってるんだ」と思うと同時に、音楽には色んな可能性があって色んな表現ができる多様性があるということも大切にしたいと感じます。僕のコアな部分を聴く方に強要はしたくはなくて、自由に自然に音楽を楽しんでくれたらいいなと思っているんです。

― 未発表曲を今のタイミングで入れたのは何か深い意味があるのかと思ったのですが、ちょっと深読みのしすぎですか(笑)?

大森:どうなんですかね…。自分ではあまり意識していなかったですね。ただ、ソロの今のタイミングで入れた意味はきっとあるんだと思います。リリースしてからファンの方の声で気付くこともありますし。自分の箸の持ち方って自分じゃ気にしていないけど、他の方に言われて初めて気付く。そんな感覚に近いのかもしれないです。

大森元貴「良い意味で裏切っていきたい」

― コロナ禍はアーティストとしても辛い時期だと思います。今の時期を通し改めてアーティストとして感じたことはありますか?

大森:「たかが音楽でありながら、されど音楽なんだな」と強く感じました。エンターテイメントが持つ力はとても膨大だと思ったし、ただ音楽だけでは解決しないこともあるんだと。音楽は衣食住ではないけど、それを僕は前向きに捉えています。

― 衣食住ではないというのは、いわゆる娯楽として?

大森:そうです。生活に必要かと言われると必ずしもそうではない。音楽は生活を彩るコンテンツだと思っていますが、その音楽に対して僕は魂を注いでいるんですけど(笑)。例えば音楽で勇気付けられたり一歩踏み出すきっかけにはなるけど、音楽にゴールがあるわけではないと感じます。だからこそ音楽は自由であるべきだし、エンターテインメントや娯楽を選ぶ権利は誰にでもある。音楽はもっと多様化してもいいんじゃないかと思っています。

― 厳しい生活が続く中で、少しでも音楽で彩ることができればと。

大森:そうですね。我慢する生活が長く続いていて、僕自身も本当はもっと楽曲をリリースできたらなと思っています。音楽は気を紛らわせてくれるものだし、僕も音楽を作ることが気を紛らわすことに繋がります。「気を紛らわす」という言葉がネガティブに感じる方もいるかもしれませんが、僕としてはすごく前向きな意味で『Midnight』でも「紛れればいいんだ 忘れるまで」という歌詞が入っています。なので『Midnight』も実は僕のコアな部分がたくさん入っていて、「結局は楽しいことをすること」が生きる糧になっているんだと感じます。

‘Midnight’ Concept Photo #3(提供写真)
‘Midnight’ Concept Photo #3(提供写真)
― それでは最後に今後の展望を教えていただけますか?

大森:発表させていただいている通り、2022年にMrs. GREEN APPLEのフェーズ2が始まります。それは間違いないので、楽しみに待っていただければと思います。またみんなと一緒にワクワクできるものを作っていきたいと考えています。今回の『Midnight』で皆さんは裏切られたと思いますが、さらに良い意味で裏切っていきたいと思います。日本では見たことがないようなアプローチをしようと思っていて、とにかく面白いことが待っているので楽しみに待っていてほしいです!

― 今後も結構衝撃的な内容が続くと。

大森:そう思っていただいて大丈夫です。僕自身もこれからに対してドキドキワクワクしています。

― やはり大森さんのベースはワクワクすることなんですね。

大森:それは間違いないです。そこは絶対にブレることがないですね。僕も今の状況にストレスや寂しさを感じています。だからこそ一緒に楽しんでいけるエンターテイメントを届けていければと思っています。

― ありがとうございました。

(modelpress編集部)[PR]提供元:ユニバーサルミュージック合同会社

2nd Digital EP『Midnight』

2nd Digital EP『Midnight』
2nd Digital EP『Midnight』
2021.08.06 Release

1.Midnight
2.メイプル
3.ヒカルモノクラクナル

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