モデルプレスのインタビューに応じた磯村勇斗(C)モデルプレス

「ひよっこ」ヒデは最初から相手役に決まっていた 磯村勇斗「言葉が出なかった」「離れたくない」…今振り返る撮影秘話<モデルプレスインタビュー>

2017.09.30 10:14

NHKの連続テレビ小説「ひよっこ」(月~土、あさ8時)が30日、最終話を迎えた。モデルプレスでは、無事クランクアップした“ヒデ”こと磯村勇斗(いそむらはやと/25)にインタビューを実施。撮影での思い出などをざっくばらんに語ってもらった。


みね子(有村架純)と晴れて結婚!ハッピーエンドに戸惑い?

有村架純、磯村勇斗/「ひよっこ」最終話より(C)NHK
有村架純、磯村勇斗/「ひよっこ」最終話より(C)NHK
― クランクアップおめでとうございます。お疲れさまでした。

磯村:ありがとうございます。

― 今、改めて振り返ってみてどうですか?

磯村:やっと「あ、本当に終わったんだな」って実感してきました。最終話の放送が終わっちゃったら、本当にもう「ひよっこ」が終わっちゃうんだなって思うと、やっぱり寂しい気持ちが強いですね。今でもスタジオに行って「すずふり亭」で働かなくちゃって思っちゃうぐらい習慣になっていたので、本当に寂しい。

― そうですよね。私も毎朝「ひよっこ」を観られないのかと思うと寂しくて…。でも幸せな最終話で本当に良かったです。最初に結末を知った時はどう思いましたか?

磯村:僕自身も幸せでした。もう台本を読んだ時、「うわ、本当にこんなに幸せになっていいのか!?」っていう疑いの目で見てしまいましたね。

磯村さんの提案で窓にハートを描いてくれました(C)モデルプレス
磯村さんの提案で窓にハートを描いてくれました(C)モデルプレス
磯村勇斗(C)モデルプレス
― いいですよ(笑)!ヒデはずっと頑張ってましたから!

磯村:(笑)。やっぱりみね子のことを好きな気持ちがありつつ、ずっとそれを抑えて見守ってきたわけで、いざこう“GOサイン”が出ると「え、いいのかな…?」ってちょっと恐縮してしまって(笑)。

― 突然幸せが降ってきて怯えちゃった感じですね(笑)。

磯村:そうですそうです!

― ヒデ派として見守ってきましたが、島谷さん(竹内涼真)が再登場した時はどうなっちゃうんだとハラハラしました…。

磯村:はい(笑)。

― でもすごくヒデらしい行動だなと思いました。

磯村:そうですよね。僕もあそこまで律儀なやつだとは思ってなかったです。でも、よくよく考えたら「ヒデならああいう行動を取ってもおかしくないな」と思いましたし、それほど友達思いでもあるところがヒデの男らしいところなんですよね。ヒデらしい職人っぽさも感じたし、あのシーンは自分の中でも大切なシーンでした。

― みね子と両思いになってからはもう本当に微笑ましいカップルで。毎朝キュンキュンしていました。

磯村:演じていてもすごく幸せでしたね。有村さん演じるみね子とヒデの関係性や現場のスタッフさんの雰囲気もすごく温かくて、心地よかったです。

相手役は最初から“ヒデ”に決まっていた

磯村勇斗/「ひよっこ」最終話より(C)NHK
― 脚本の岡田惠和さんが、相手役は最初からヒデに決めていたというお話も伺いました。

磯村:僕もそのお話を聞いた時、本当にびっくりしました!

― 磯村さんはいつそのお話を伺ったんですか?

磯村:すべての撮影が終わった後に岡田さんとお話しする機会があって、その時です。「実は最初からヒデに決まっていたけど、磯村くんには言わなかった」って聞いて、「そうだったんだ!」って。あれは今年イチびっくりしたかも。

― それは本当にびっくりですよね。

磯村:でも、そう思って台本を読み解いていくと、最初のみね子を見る目からもう細かく岡田さんが描かれていることに気づいて。「ああ、そうだったのか」と納得しました。

― 確かに思い返してみれば、ヒデがみね子を見つめるシーンが度々差し込まれていた気がします。

磯村:そうなんですよ。そうやってちょっとずつレールが引かれていたんだと思うと、やっぱりひとつひとつ大切に演じてきて良かったなと思います。逆に知らされいてたらダメだったかもしれない(笑)。

― それはなぜですか?

磯村:わかんないんですけど、意識してカッコつけたり計算高くなってしまったら、それはヒデじゃないですよね。

磯村勇斗(C)モデルプレス
― 確かにそうですね。計算高いヒデはちょっと想像できません…(笑)。

磯村:だから、知らずに演じさせていただけてすごくありがたかったですね。

― そういう磯村さんの心配を見越して、岡田さんはあえて伝えていなかったんでしょうか。

磯村:どうなんだろう!?自分が最初はカッコつけるだろうと想定した上で脚本を作っていただいていたとしたら、岡田さんは神様なんじゃないかな(笑)。

― 岡田さんとはなにか他にお話されましたか?

磯村:まず「ありがとうございました」と感謝を伝えたんですが、やっぱり自分が至らないところも多かったので「本当に足らない部分があって、申し訳なかったです」ってお話ししたんです。そしたら、岡田さんが「いや、最後にこうやってみね子とくっついて幸せになっていく展開は、ヒデ自身が自分で勝ち取ったものだから誇りに思いなさい」というふうにおっしゃって下さって。もうグッと来ちゃって、言葉が出ませんでした。そんなお言葉をいただけるとは思ってもいなかったので、自分の心の中にずっと残っていますね。1個1個丁寧に大切に演じていくことが大事なんだということは、岡田さんから改めて教えていただいたと思っています。“前田秀俊”という役を生んでいただいたことを本当に感謝してますし、幸せだなと思いました。

夢だった朝ドラ出演 “自分の甘さ”が見えた

磯村勇斗(C)モデルプレス
― 今、改めて撮影を振り返ってみていかがですか?

磯村:長い間ちゃんと役と向き合って、役を深くしていくというのは長期間やる作品の醍醐味だなと思いました。役とともに自分自身もいろいろ成長できたと思いますし、すごく貴重で素敵な経験をさせていただきました。

― あれほどの先輩方に囲まれた現場というのもなかなかないことですよね。

磯村:朝ドラを経験させていただいた中で、それが一番大きいことでもありますね。宮本信子さんや佐々木蔵之介さんとご一緒させていただくという緊張感と、なにか学ばせていただけるものがあるんじゃないかという思いで現場に立っていたので、同じシーンに立たせていただけただけで、もうすごく良い経験をさせていただいたと思っています。お芝居ももちろんそうですけど、皆さんの人柄っていうんですかね。これまでも多くのお仕事をされているにも関わらず常に謙虚で、礼儀を大切にされているところもすごく勉強になりました。

指輪…/クランクアップ取材会より(C)モデルプレス
指輪…/クランクアップ取材会より(C)モデルプレス
― クランクアップ取材会の時も、「自分が未熟すぎて作品と一緒に走れているのか不安だった」とおっしゃっていましたよね。やはりそれも先輩方から感じることが大きかったからでしょうか。

磯村:大きかったですね。同じ土俵というか、同じ場所で演じさせていただくとすごくわかるんですよ。自分の芝居の「まだまだ足りないな」っていう部分が。もっと皆さんいろいろ考えていらっしゃるし、もっといろんな演じ方や考え方があるんだなということを知りました。もっともっと台本読み込まなきゃいけないし、役と向き合わなきゃいけない。そういう自分の甘さをすごく感じていました。

― そうだったんですね。でも、磯村さんのヒデは少ないセリフの中で繊細な心の動きを見事に表現されているように思いました。

磯村:台本上、ヒデはみね子に対して特に「…」が多いんですよ。その「…」こそ岡田さんの世界観でもあるし、そこをしっかり演じないとダメだなと思っていました。いろいろ考えてはいたんですけど、言葉なしで伝えるというのはやっぱり難しくて。監督と「ここはどんな思いで見ていたらいいのか。優しく見ているのか、心配して見ているのか」とか結構相談しながら演じていましたね。

― 一番悩んだシーンはどのあたりですか?

磯村:基本的に結構悩んでたんですけど、一番はテレビ局で世津子さん(菅野美穂)に会おうかどうか迷っているみね子の背中を押すシーンかな。あのあたりから長台詞やみね子と会話する場面も多くなったんですけど、ヒデがちょっとずつ男らしくなっていく展開でもあったので、その変化をどう表現していくか、監督と何回も確認していました。「ちゃんと掴めきれたのかな…」という後悔だったり、「こういうふうにもできたな」とか、後々気づくことも多くて、あのシーンの前後は特に悩んでましたね。

有村架純との思い出「すずふり亭は家族」

「ひよっこ」半年間ありがとう/クランクアップ取材会より(C)モデルプレス
「ひよっこ」半年間ありがとう/クランクアップ取材会より(C)モデルプレス
― 有村さんと一緒のシーンも多かったと思いますが、思い出に残っていることはありますか?

磯村:僕の中では全部思い出深いし、とにかく学ぶことが多かったですね。お芝居も人柄も、同い年なのにこんなにも違うんだなっていう。すごく努力家で真面目だし、自分が一番大変だろうに他のキャストの皆さんやスタッフさんを気遣う優しさを持っていて。有村さんがヒロインとして輝いている作品でご一緒できたこと全部が思い出ですし、「僕も頑張ろう!」と励みにもなっていますね。

元治先輩、最高/クランクアップ取材会より(C)モデルプレス
元治先輩、最高/クランクアップ取材会より(C)モデルプレス
― 素敵な関係性だったんですね。私は“ヒデみね”はもちろん、元治先輩(やついいちろう)さんとのコンビもすごく好きでした。

磯村:ありがとうございます(笑)。

― 元治先輩とのかけ合いも回を追うごとにナチュラルになっている気がして、おふたりのリアルな関係性の変化なのかなと思っていました。

磯村:まさにそうだと思います。最初は自分も間の取り方とか、お笑いのツッコミやテンポがわからなかったんですけど、やついさんがすごく間とかテンポを大事になさる方だったので、現場でたくさんアドバイスをいただきながらやっていました。プライベートでもご飯に一緒に行かせていただいたり、前室ではすごいイジられたりして(笑)。そういう毎日を繰り返していくうちに、やついさんとの関係性が自然と出来上がってきて、ヒデと元治先輩のやり取りにも表れたんだと思います。最後に近づくにつれ、何も気にせずポンポンってやり取りできるようになって、そういうところもやっぱり長い期間やる作品の醍醐味だと思いました。

― 本当にそうですね。磯村さんが現場で本当に愛されていたんだろうなと思います。

磯村:いやいや…(照)。すずふり亭の皆さんには本当の家族のように温かく接していただいて。いろんなことをお話させていただきましたし、やっぱりもう今すぐにでも戻りたいと思いますね。本当にお世話になりましたし、大切なものを教えていただいて…。なんか、うまく言えないんですけど、離れたくないなと思いました。

ヒデとみね子はどうなっている?勝手に予測

磯村勇斗(C)モデルプレス
― ヒデとみね子については婚姻届を書くところで終わりましたが、磯村さん的にはその後2人はどうなっていると思いますか?

磯村:結婚した後か…。ヒデはいずれ自分の店を持つという目標があるので、みね子と2人で店を出すところまでは想像できているんですよ。でも、そうなるとすずふり亭は誰がやっていくんだろうっていう不安もあって(笑)。

― 私もそこをすごく考えているんですよ。「すずふり亭が回らない…!」と真剣に考えました。

磯村:浮かばないですよね。料理人が足りないんですよ。どうしたらいいんでしょうね?ホールは由香(島崎遥香)とかもいるからなんとかなると思うんですけど。

― ヒデの穴が。

磯村:そうなんですよ、あそこの万能タイプ(笑)。ホールもキッチンもできる人がいるといいんですけど…。

磯村勇斗(C)モデルプレス
磯村勇斗(C)モデルプレス
― ヒデはどこに店を出すんでしょうか。東京?沼津?

磯村:沼津ですか(笑)。赤坂には出さないだろうしなぁ。でも、地元でひっそりやっていくのも幸せかもしれないですね。2人には赤坂みたいなにぎやかな場所よりゆっくりした空気の流れを感じる場所のほうが合いそう。でもやっぱり東京でやりたいなぁ(笑)。

― そのスピンオフすごく見たいです!幸せな家庭を築いてお店を皆で回して…みたいな。

磯村:ああ、めちゃくちゃ良いですね!

― ちょこちょこすずふり亭の画も入ってきて(笑)。

磯村:元治先輩が相変わらずサボってたりとか(笑)。楽しそうだなぁ。もしそういう機会があったらやりたいですよね。僕もヒデの将来を演じてみたいですし、まだまだ終わりたくないという思いがあります。「ひよっこ」大好きです。

― そういう夢が広がる作品に携われて良かったですね。

磯村:本当に宝物ですね。

今一番やりたいことは?「刺激が欲しい」

刺激が足りない…(C)モデルプレス
刺激が足りない…(C)モデルプレス
― クランクアップした今、一番やりたいことはなんですか?

磯村:うーん、なんだろう?ほとんど毎日「ひよっこ」の撮影をしていた時はずっと動いている感じだったんですけど、それがなくなった今、自分の時間はあるんですけど刺激がないんですよね。

― なるほど。

磯村:体を休めたりすればいいんでしょうけど、なんかすごいこう…刺激的なものを味わいたいんですよね。

― 例えば何でしょう?

磯村:バンジージャンプとか。

― おお!刺激的ですね。というか、忙しい日々がようやく終わったのにまだ刺激を求めるんですか?ゆっくりしたいとかはないんですか(笑)?

磯村:ゆっくりしたいと思ったんですよ!最初は。自分の時間が欲しいなとも思ってたし。でも、いざ時間ができると「何しようかな?」って…。まだ体にあのリズムがあるので。

バンジージャンプかリオのカーニバルに参加したらぜひお知らせください(C)モデルプレス
バンジージャンプかリオのカーニバルに参加したらぜひお知らせください(C)モデルプレス
― 体がついていかない感じなんですね。

磯村:そうなんですよ。どうしたらいいのかわからない状態。外に出かけるんでもいいですけど、やっぱりそれだけじゃなにか足りなくて。刺激が欲しいんですよね。リオのカーニバルで踊るとかそれぐらい極端なやつ。

― すごいですね。バンジージャンプにリオのカーニバルって。

磯村:それぐらい今までやったことないことを味わいたいんです。

― (笑)。「ひよっこ」とお別れして、また新たなスタートになります。意気込みを聞かせてください。

磯村:大先輩に囲まれて半年間「ひよっこ」という大きな作品に出演させていただいて、自分はまだまだ足りないなと思いました。「もっとこうしたかった、ああしたかった」という思いがあるので、これからはそういう思いをどんどん減らせるようにしていきたい。ひとつひとつのお仕事にまっすぐ、丁寧に取り組むことが大事だと思うので、そうやってまた頑張っていきたいと思います。

― ありがとうございました。これからも応援しています!

オーディションでヒデ役を射止めた磯村に初めてインタビューしたのは、5月のこと。半年間に及ぶ撮影を終えた彼の表情は充実感に満ちていて、以前よりグッと男らしくなったように見えた。この先どんな役に出会い、どんな役者になっていくのか。楽しみでならない。

インタビューこぼれ話 “肩幅ネタ”の原点を探る

「あさイチ」にて肩幅47cmと判明(C)モデルプレス
「あさイチ」にて肩幅47cmと判明(C)モデルプレス
― 「あさイチ」に出演された時も、肩幅の広さが話題になりましたが。

磯村:そうですね(笑)。井ノ原さんにメジャーで測っていただいて、47cmということが判明しました。

― でも、ファンの方は結構前から注目されてますよね?原点はどこなんでしょう?

磯村:どこなんですかね!?でも“肩幅イジり”は結構前からありましたね。衣装さんから「肩パット入ってる?」とか「ハンガーラックみたいだね」って言われたり(笑)。そうやって随分前から肩幅が広いことをいろんな人からイジっていただいてたので抵抗はなかったんですけど、まさかの「ひよっこ」でも(笑)。そこでやっぱり思ったのは「朝ドラの影響ってすごいな」ってことです(笑)。

― “肩幅ネタ”が一気に知れ渡りましたもんね。

磯村:本当にこんなに広がるんだっていう。これ以上肩幅は広がってほしくないですけど(笑)。

― (笑)。ヒデの衣装だからこそ目立っていた気がします。真っ白だからより広く見えるというか…。

磯村:そうかもしれない。コック着はもしかしたらそういう効果があるのかもしれないですね(笑)。

― どうでもいい話を力説してすみません。

磯村:いえいえ(笑)。

― ありがとうございました。

磯村勇斗(いそむらはやと)プロフィール

「ひよっこ」お疲れさまでした!(C)モデルプレス
「ひよっこ」お疲れさまでした!(C)モデルプレス
生年月日:1992年9月11日
出身地:静岡県
身長:176cm

2015年、「仮面ライダーゴースト」で仮面ライダーネクロム/アラン役を演じ注目を集める。NHKの連続テレビ小説「ひよっこ」に、ヒロイン・有村架純が勤める洋食屋「すずふり亭」の見習いコックの前田秀俊役で出演。11月25日より映画『覆面系ノイズ』の公開を控える。2018年カレンダーも発売中。

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「ひよっこ」総集編も放送

【総合】10月9日(月・祝)
午後3:05~前編(1週~13週)
午後4:33~後編(14週~最終週)

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