葵わかな「心折れました」救われた高杉真宙の言葉とは…次期朝ドラヒロインが初めて感じた挫折<モデルプレスインタビュー>
2017.07.08 07:00
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NHK大阪放送局制作の平成29年度後期第97作連続テレビ小説『わろてんか』で主演に抜擢された葵わかな(19)が、モデルプレスのインタビューに応じた。朝ドラ放送より一足先に、初のヒロイン役に挑んだ映画『逆光の頃』が8日、新宿シネマカリテにて公開(ほか全国順次公開)。同映画に関する思いや主演の高杉真宙との撮影秘話を聞いた。
映画「逆光の頃」
OL風の女性「フチ子」が腰をかけるフィギュア「コップのフチ子」の原案者であり、ギャグイラストの「バカドリル」 でなどで知られる異才漫画家・タナカカツキの名作を小林啓一氏の監督・脚本のもと映画化した同作。日常と非日常、夢と現実、双方の世界を行き来する少年のゆらめきときらめきが、京都の街を背景に鮮やかに紡ぎだされた原作は、全12編から構成されており、今回はその中から、『僕は歪んだ瓦の上で』『銀河系星電気』『金の糸』の3編に、オリジナル部分を加えて映像化。
京都生まれ、京都育ちの高校2年生の主人公・赤田孝豊(あかた・たかとよ)を演じるのは小林監督の前作『ぼんとリンちゃん』(2014年)に引き続き、高杉。孝豊は思春期ならではの同級生たちとの喧嘩などを経験していくが、そんな孝豊が恋心を抱く幼なじみ・みこと役を演じるのが葵だ。
小学5年生で芸能界入り
葵は小学5年生のときに原宿でスカウトされ、芸能界入り。2009年に「霧島の天然水」CMでデビュー。映画『陽だまりの彼女』(2013年)のヒロイン(上野樹里)の中学生時代役で脚光を浴びる。その後も数々のCMに出演するほか、近年はTBS系ドラマ『表参道高校合唱部!』(2015年)、読売テレビ・日本テレビ系ドラマ『マネーの天使~あなたのお金、取り戻します!』(2016年)、映画『ホラーの天使』(主演/2016年)、映画『サバイバルファミリー』(2017年)と、確実にキャリアを積み上げてきた。
『逆光の頃』では、孝豊の初恋相手として、セーラー服姿でまぶしい輝きを放出。小林監督は「主演の高杉真宙くんやヒロインの葵わかなさんは、原作から飛び出してきたような存在感でした。よく『孝豊』や『みこと』として生まれてきてくれたなと大げさでなくそう思います」と高杉とともに葵を絶賛している。
みことは「現実感がない女の子」
―『逆光の頃』とは珍しいタイトルですよね。どういった作品なんでしょうか?葵:高校生の孝豊が「これからどうしていけばいいんだろう」とか、「何がしたいんだろうな」みたいに悩んでいる時期を描いた内容です。孝豊は、「周りの人の後ろにずっと光があって自分には光が当たってない」と思っていてそれが自分だけ「逆光」という意味。それと同じように映像の中でも最後だけ孝豊に光が当たるシーンがあるので、そこも注目して観て欲しいですね。
― 葵さんが演じられた「みこと」は、どんなキャラクターでしょうか?
葵:原作漫画から設定やセリフをほとんど変えずにそのまま映画になっているので、「現実感がない女の子だな」と私は思っています。極端に言うと「女の子はトイレに行かないんじゃないか」と思っているんじゃないかという男性目線(笑)。それはきっと孝豊の視点から描いているからだと思うんですが、すごくアイコンというか、キャラクターらしい「キラッ」としている女の子です(笑)。
初めて感じた困難「自分の持っているものだけじゃダメ」
― 演じてみていかがでしたでしょうか?葵:現実の女子じゃないから、私が私っぽく演じたらすごくリアルさが出てしまうから良くないんです。あくまで孝豊から見る神聖な女の子の域を超えちゃいけないというのが監督の中にもあって、でも私が演じているからには私らしさも出したい…その加減や塩梅がすごく難しかったです。最初は「(みことと)どこが似ている」とか自分と比べようとしていたんですけど、やっていくうちに「自分と照らし合わせているうちはダメだな」と気づきました。自分との共通点を見つけようとしたら現実っぽい女の子になってしまうんです。
― 確かに、そこだけ切り取ってもうまくいかないですよね。
葵:だから、私が考える女の子というよりも孝豊だったり、原作のタナカカツキ先生も男性なのでそこからの視点を意識して演じようと思いました。でも、最初は上手く掴めなくて、元々リハーサルを沢山やる監督なんですが、心が折れましたね(笑)。
― というのは、撮影の最初の頃?
葵:はい。もうしつこいんですもん!監督が全然OKしてくれなかった(笑)。でもどこがダメともはっきりおっしゃってくれる方では無いので、「何か違う、何かそうじゃないんだよなー」という感じで。でもたまに演じてみたものが「あ、それそれ。ちょっともう1回やってみて」となって、もう1回やると「あれ、何かちょっと変わっちゃった」となることもあって、「何が違うんだろう?」って(笑)。それが初めてのリハーサルだったんですけどポッキリ心が折れてしまって、「もう何が正解なのか分からない」という状況になりましたね。
― 今まであまりそういった経験は無かったのでしょうか?
葵:無かったですね。今までは自分の経験とか自分が「こうだ」と思うお芝居を一生懸命やっていたら乗り越えられていたんですが、今回は「自分の持っているものだけじゃダメだ」と思いました。「自分が考えるお芝居だけが正解じゃない」ということをすごく感じて。それで戸惑っていたら高杉(真宙)さんが「心折れた?自分も何回も折れているから大丈夫だよ」と言って下さって(笑)。
― 高杉さんは小林監督とは、2度目のタッグですよね。
葵:はい。それで「皆そうなんだ」と思って、それからは「分からなかったら分からないなりにやるしかない」と踏ん切りがついて楽しめるようになりました。「もっと監督と話をしてみようかな」とか「高杉さんと話をしてみようかな」とか、自分が積極的に作品に入っていったらもっと楽しく出来るようになるかなと思って、最終的にすごく楽しめましたね。
― 沢山の作品に出演されてきた葵さんが、今回ヒロイン役が初めてというのは意外でした。今まで恋愛ものや、こういった立ち位置の役柄はなかったのでしょうか?
葵:主人公はあったんですが、主演の男性の方がいてそのヒロインというのは初めてですね。
― ヒロイン役をやるにあたって、今までとは違う気持ちで作品にのぞみましたか?
葵:今回は恋愛の色は微かにある程度だったので、台本を読んでほっとしたんです(笑)。なので、気負わずにじゃないですけど、自然に出来たと思います。恋愛ものというよりは役自体に苦戦したのでそれについて考えることの方が多かったですね。
幼馴染との恋愛は「オシャレ」
― 高杉さんとお2人のシーンは、どのシーンもとても印象的でした。葵さんの中で一番印象的だったシーンやセリフはありますか?葵:青紅葉がいっぱいの道を2人で歩いているシーン。長い紅葉の道をワンカットで割らずに撮ったんです。
― そうなんですか!
葵:最初から最後まで止めないで。ずっと一連でやるので、ちょっとでもテンポがズレたら最初からやり直して。いつも何度もやり直す監督なんですが、あのシーンは数回で上手く行ったんです。結構後半に撮ったので、自分でも演じていて孝豊との距離感が分かってきたというか、2人のリズムにも京都のリズムにも慣れてきていてすごく気持ちよく出来た。そういう意味で印象に残っています。
― 孝豊とみことのような幼馴染から恋愛に発展していくという関係性は、葵さん自身は経験はありますか?
葵:私、幼馴染みも女の子しかいなくて、高校時代も女子校だったので…。少女漫画みたいで憧れます。こういう恋って不器用だけどオシャレだなと思います。
― オシャレというのは?
葵:オシャレじゃないですか?こんな上手い塩梅に行かないだろうって思うんですけど(笑)。この不器用加減がすごく可愛いなと思うし、「眩しい!」ってなりました。
高杉真宙と盛り上がった共通の趣味「こんな熱く語れるんだ」
― 高杉さんとの共演自体はいかがでしたか?葵:同じ作品に出ていたことはあったんですが、お会いするのは初めてでした。お互い漫画やアニメが好きなヲタク同士だったのでそういった意味では話がすごく盛り上がって。撮影現場では演技の話を勿論していたんですけど、それ以外のときはずっと漫画の話をしていましたね(笑)。
― 楽しそうな現場ですね。
葵:監督も一緒になってお互い自分の好きな漫画を熱烈に語って読ませました。学校でも同じ趣味の人がなかなかいなかったので、「こんなに熱く語れるんだ」と、すごく楽しかったです。
― じゃあかなり仲良くなられて?
葵:オールロケで、チーム全体で「仲良くしよう」という良い雰囲気だったので、皆でご飯を食べに行くことも。夕飯のときもひたすらアニメと漫画の話で、最後の方にちょっと次の日の撮影の話をする、みたいな感じでした(笑)。
朝ドラとの共通点も
― 今回の役のために、京都弁をかなりレッスンされたと伺いました。葵:そうですね。感情を爆発させるというよりは、普通に喋っているシーンを撮っていたので、細かいところまで見えちゃうんですよね。だから、ちょっと語尾がズレただけでもそれが目立ってしまう。監督も「本当の本当に京都の子になって欲しい」とおっしゃっていて。だから大体言葉稽古ってクランクインの前にやって、撮影中ってあんまりなかなか出来ないものなんですけど、今回は稽古の時間を撮影中もずっと作ってくれて、クランクアップの前日までずっと稽古して下さいました。
― クランクアップの前日まで!すごいですね。
葵:そうなんですよ。で、言葉のイントネーションだけじゃなくて“京都タイム”みたいな時間の流れがあるんです。その時間の感覚に入りこまないと、京都弁が喋れないんだっていうのが分かって。
― 東京と比べるとゆっくりしているんでしょうか?
葵:標準語が早口に聞こえるのかは分からないんですけど、東京の人って比較的早口らしいんです。歩くのも東京の人すごく早いじゃないですか?だから一瞬仕事で東京に戻ると東京のリズムになっちゃう。それで京都に戻るとまた京都弁のリズムが出来なくなってという…。その辺はすごく苦戦しました。
― 朝ドラ『わろてんか』も京都弁ですね。『逆光の頃』の経験は活かされていますか?
葵:活かされているところはすごくあります。京都弁に懐かしさを感じますね。『逆光の頃』の撮影は1日1シーンだったので、空き時間にしょっちゅう祇園の方に行ったり、1人で京都をふらふらしたりしていたので、今『わろてんか』の撮影中も「あのとき通ったところだ」と思うことが意外とあって。今帰ると心地よく感じます。共通点がたまたまあってラッキーだったなと思います。
― ありがとうございました。
今年4月には慶應義塾大学総合政策学部に進学。大阪での『わろてんか』の撮影と学業を両立しており、多忙を極めているが、両立は「大変ですね」と打ち明けた葵。
6月30日に19歳になったばかり。「19歳は1回しかないのでその時期にお仕事もちゃんとしたいし学生でもありたい。仕事でも色んな役をやらせて頂きたいし、学校に行って友だちと遊んだりもしたい。本当に『時間足りないな』って思います。でも大学は本当に自分が選んで、行くことも自分で決めたことなので、責任を持ってちゃんとやろうと思っています」とまっすぐな目で語ってくれた。
女優として順風満帆なキャリアを歩んでいる中でも等身大の学生生活はしっかりと送りたいという真面目で貪欲な姿勢は、きっと3度目のオーディションで朝ドラヒロインを勝ち取ったことにも繋がっているだろう。これから国民的ヒロインの道を歩んでいく葵の今しかない輝きを、スクリーンで目に焼き付けて欲しい。(modelpress編集部)
葵わかなプロフィール
生年月日:1998年6月30日血液型:A型
出身地:神奈川県
趣味:宝塚観劇、猫を愛でること
特技:歌
1998年6月30日生まれ。神奈川県出身の18歳。小学5年生のときに原宿でスカウトされ、芸能界入り。2009年に「霧島の天然水」CMでデビュー。ケイ・オプティコム「mineo(マイネオ)」、「アート引越センター」、「地盤ネット」など数々のCMに出演。主な出演作に映画『陽だまりの彼女』(2013年)、『くちびるに歌を』、『暗殺教室』(2015年)、TBS系ドラマ『表参道高校合唱部!』(2015年)、読売テレビ・日本テレビ系ドラマ『マネーの天使~あなたのお金、取り戻します!』(2016年)、映画『ホラーの天使』(2016年)、『サバイバルファミリー』(2017)など。BS朝日スペシャルドラマ『女優堕ち』(2016年)で初主演を務めた。また、2016年冬にはロングヘアをばっさりカットし、ショートヘアにイメチェン。2017年4月に慶應義塾大学総合政策学部に進学。平成29年度後期の第97作連続テレビ小説『わろてんか』(10月2日スタート)のヒロイン。公開待機作に『ミッドナイト・バス』(2018年)がある。
映画「逆光の頃」7月8日(土)新宿シネマカリテほか全国順次公開
ストーリー:日本の歴史を感じさせる古都、京都。京都生まれの京都育ちの赤田孝豊。どこにでもいるような平凡な高校二年生の孝豊は、同級生たちとの友情やケンカ、幼なじみの女の子への恋などを経験していく…。思春期ならではの人生に対する漠然とした不安を抱えながら、一歩前に進みだそうとする。脚本・監督:小林啓一(映画『ももいろそらを』『ぼんとリンちゃん』)
原作:タナカカツキ「逆光の頃」(講談社「モーニングKC」所載)
出演:高杉真宙・葵わかな・清水尋也・金子大地・田中壮太郎ほか
http://gyakko.com/
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