「日曜の夜ぐらいは...」清野菜名・岸井ゆきの・生見愛瑠の撮影秘話“リアル”を感じる演出に工夫
2023.07.02 19:00
女優の清野菜名が主演を務めるABCテレビ・テレビ朝日系ドラマ『日曜の夜ぐらいは...』(毎週日曜よる10時~)が、2日に最終話を迎える。同作の演出を担当する新城毅彦監督がモデルプレスのインタビューに応じ、撮影の裏側や最終回の見どころについて聞いた。
清野菜名主演「日曜の夜ぐらいは...」
女優の清野菜名が主演を務める同作は、ABCテレビが新連続ドラマ枠の第1弾として「人生とは、家族とは、愛とは」をテーマにした、岡田惠和脚本のオリジナルドラマ。足の不自由な母を支えるためバイトに励む岸田サチを清野、元ヤンキーで現在はタクシー運転手をしている野田翔子を岸井ゆきの、両親との縁が浅く借家暮らしをしながら祖母と工場勤務を続ける樋口若葉を生見愛瑠が演じている。離れた場所に住み、お互いの存在も知らない3人は、あるラジオ番組のバスツアーきっかけに運命的な出会いを果たし、バスツアーの際に購入した宝くじが1等の3000万円に当選したことで物語が動き出す。その後3人は、それぞれが問題を抱えながらも友情を育み「カフェを開く」という共通の夢に向け奮闘していく。
ABCテレビ・テレビ朝日は今年の春、単独では28年ぶりとなる全国ネットドラマ枠を新設した。本枠のコンセプトである「見る人の背中を押す作品」の第1弾となったのが『日曜の夜ぐらいは…』。本作の脚本を務めたのは、数々の名作ドラマ・映画を世に送り出してきた岡田惠和氏。
そして本作の演出を担当したのが映画『ただ、君を愛してる』(2006年)『Paradise Kiss』(2011年)『四月は君の嘘』(2016年)『ひるなかの流星』(2017年)『午前0時、キスしに来てよ』(2019年)など話題作を生み出した新城監督だ。そんな新城監督から撮影時のキャストの雰囲気や制作時のエピソードについて聞いた。
清野菜名・岸井ゆきの・生見愛瑠、3人の現場の雰囲気は?
― 清野菜名さん、岸井ゆきのさん、生見愛瑠さんは、ドラマの会見でも仲が良い様子が伝わってきましたが、現場での雰囲気や、3人の様子を教えてください。新城:最初はみんな少し人見知りをしていたのですが、撮影が始まり芝居を始めるとすぐに仲良くなりました。ずっと一緒にいる訳でもなく1人の時間もとりつつバランスよく過ごしている印象です。
― ドラマでは、徐々に他人から友だちへと変化していく3人の様子が見られますが、実際の清野菜名さんたちも同じような雰囲気でしたか?
新城:そうですね。初めて本読みで会った時は少し遠慮気味でしたが、撮影が始まるとあっという間に仲良くなった印象です。
― 撮影を通じて距離が縮まったのですね。岡山天音さん、川村壱馬さんは現場でどんな雰囲気でしたか?
新城:岡山くんと3人は劇中のような感じの距離感でしたし、壱馬くんも雰囲気が出来上がった所で撮影に加わりましたので最初は少し戸惑う様子もありましたが、すぐに慣れて馴染んでいました。
「日曜の夜ぐらいは...」映像には繊細なこだわり
― 「日曜の夜に死にたくならない人は幸せな人だと思う」「やっぱりお金なんだな」など印象的なセリフが多い会話劇となっていますが、その中で映像表現のとのバランスでこだわっている点や、印象的なシーンなどはありましたか?新城:やはり岡田惠和さんの脚本ですから行間や繊細さはかなり意識しました。芝居もあまりやりすぎる事なく日常を自然と表現するよう、映像も柔らかくなりすぎないなど、暗くならずに自然と綺麗に感じて貰えたらと思いました。あと、少しサイズを広めに撮り、音楽で語りすぎないなど考えてなるべく静かにゆっくり見てもらえるように意識しました。
印象的なシーンは、やはり1話のおやきを食べる場面でのサチのセリフです。言い出せばキリがないのですが、セリフをしっかりと、でも押し付けがましくなく自然と聞いていただくにはどうしたらいいかなど結構悩みました。ですが、キャストの皆さんの芝居を見て杞憂だったと思いました。
― リアルで自然な会話が繰り広げられていきますが、アドリブシーンなどはありましたか?また、演技面や表現などで演者に驚かされたことがありましたら教えてください。
新城:アドリブはモンタージュ(視点の異なる複数のカットを組み合わせて用いる技法)とかシーン終わりの雰囲気以外はほぼなしです。脚本に表現していただきたい感情が書かれていてそれをどう表現するのかと思いましたが、見事に表現していたので日々驚かされると同時にかなり助けられました。
― 撮影を通して、大変だったシーンや時間をかけて撮影したシーンがありましたら教えてください。
新城:1話、2話の作品のトーンやルックを決めることが一番大変でした。特に1話は頭から殆どセリフもないですし、ネガティブな雰囲気から始まるのでこれで大丈夫なのかと葛藤がありました。腹を括るまで何か余計な事をしそうになるのを我慢するも、逆に何かした方がいいのかと考え込むなど日々悩みの連続でした。でも芝居を見ていくうちにキャストの芝居をそのまま伝えればいいことが分かり、かなり楽になりました。
現実的なことをお話するとサチが自転車、翔子がタクシー、若葉と富士子の軽トラック、あとは観光バス…驚くほど乗り物のシーンが多く大変でした。また、6話では10ページ位の会話のシーンが連続してあり、それを1日で撮影したので参りました。ですが完成したらとてもいいシーンになったので脚本家の岡田さんもそれに応える役者さんも凄いなと驚かされました。
最終回の注目ポイントは“サチの表情”
― 最終話に向けて、注目して欲しいポイントを教えてください。新城:「サンデイズ」がいよいよオープンします。どんなお店なのか、お客さんが来てくれるのか、その時3人はどんな表情を浮かべるのか…。夢が叶う瞬間と、ラストシーンのサチの表情に注目して欲しいです。3人が出会ったことで変化した人生の先に、彼女たちなりの居場所や幸せを見つけた集大成をお見逃しなく。
― 最終話まで楽しみにしています。貴重なお話をありがとうございました。
(modelpress編集部)
新城毅彦(しんじょう・たけひこ)プロフィール
1962年生まれ。東京都出身。90年代から『あすなろ白書』(1993年)、『イグアナの娘』(1996年)などテレビドラマの監督として活躍。1998年には『君の手がささやいている』(1997年)ではATP賞グランプリを受賞した。その後も『ただ、君を愛してる』(2006年)『Paradise Kiss』(2011年)『四月は君の嘘』(2016年)『ひるなかの流星』(2017年)『午前0時、キスしに来てよ』(2019年)など、数多くのヒットドラマを手掛けている。「日曜の夜ぐらいは...」最終話あらすじ
「サンデイズ」オープンが迫った夜、サチ(清野)は翔子(岸井)、若葉(生見)と“一番高いアイス”を食べながら、「お客さんが一人も来なかったらどうしよう」と不安を打ち明ける。みね(岡山天音)は賢太(川村壱馬)と初めて2人で晩酌を交わし、邦子(和久井映見)、富士子(宮本信子)はカフェの成功とみんなの幸せを祈りながら、それぞれに一夜を過ごす。
そして、開店当日。サチたちは「サンデイズ」の扉を開く…。
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