『クリミナル・マインド』深見梨加、立場が変わったエミリーで得たもの【6】
ついにファイナルとなるシーズン15の放送が始まった大ヒット犯罪捜査ドラマ『クリミナル・マインドFBI行動分析課』。今回、日本でも愛され続けた本作で吹替を務めている、現レギュラー声優8人にシリーズ最終回の収録前に独占インタビューを実施。第6回目は、エミリー・プレンティス役の深見梨加のインタビューをお届け!
――ファイナルを目の前にして今の心境は?
とにかく寂しいですね。終わらないものだと思っていましたので。冷静に考えれば、始まりがあれば終わりがあるものですが、『クリミナル・マインド』に関してはずっと面白かったですし。日本語版キャストもベテラン揃いでチームワークも良く、そういう意味でも寂しいですね。一ファンとしても、新しい『クリミナル・マインド』が見られないというのが寂しいです。
――印象深いエピソードやシリアルキラーはありますか?
共感できないシリアルキラーがいっぱいいる中で、同情してしまうキャラクターがいたことが印象に残っています。シーズン3の第14話「20年目の決着」で知的障害を持つ息子が犯罪を犯してしまい、お父さんがその子を守ろうとする姿は胸が痛かったです。"もし自分だったら..."と思うと、心揺さぶられて考えさせられるものがありました。
それと、事件に巻き込まれたり、色々な経験をしてプレンティス自体が2回いなくなっているんですよね。
――シーズン6で大きな展開がありましたね。
一度は、"あ〜、終わっちゃったー"って思いました。それからシーズン7でインタポールの仕事をするためにBAUを離れた時はカムバックするとは思っていなかったですね。実は声優チームに送別会までしてもらっていて、誰一人戻ると思ってなかったんです。
ファンの方たちがエミリーを演じるパジェット・ブリュースターさんの復活を望んだこともあって、戻ってこられた時はすごく嬉しかったですね。私も彼女が大好きなので。
――満を持してカムバックを果たしたエミリーの魅力とは?
とにかく弱みを見せないところですね。弱みがないわけではなく、絶対見せない。その一方で、弱みを指摘されても「そうよ」って肯定できる強さも持っている。
それから、例えば潜入捜査で自分が鉄の心でいなきゃいけない時に、とても耐えられないだろう瞬間でも耐えきる凄さはありますよね。伊達にこの地位にいないなって思えるところです。エミリー自身は子どもを産み育てていないですけれども、根底に母性と母の強さがある。そんなところも魅力だと思います。
――演じる上で意識していることは?
仕事とプライベートの微妙なしゃべり方の違いはありますね。BAUチームはみんな仲良しなので、仕事とプライベートのスイッチはあると思うんです。ここはディレクターさんにもよく指摘されるところです。「もうちょっと仕事モードにピシッとしてほしい」とか、「ここは微妙にプライベート感を出してほしい」とか言われますし、そのさじ加減は気をつけていますね。
――リードに対して、「あんた」「リード」など呼び方が違うのは?
基本、台本がそうなってるんですが、たぶん年下のかわいい弟分という関係性で、すごくプライベートなシーンでは「あんた」って呼ぶのだと思います。
――シーズン7の最終話でBAUを去り、何度かゲスト登場したのち、シーズン12で正式にカムバックを果たしましたが、何か変化などはありましたか?
ホッチが去ったので戻ってきたわけですけれど、立場が変わったことでプライベートなシーンが少なくなった気がします。チームに指示する立場となったので、どうしても仕事モードの彼女が強くなった感じがありましたね。なので、そんな中でも少し温かみのあるセリフを一つでも見つけるようになっていました。
――参加された当時、すでに本作は人気シリーズでしたが、どのような気持ちで挑まれましたか?
吹替キャストの皆さんもすでにチームワークができていましたが、色んな作品で活躍されているベテランの方が多くて、個人的にも知っている方ばかりでしたので、すごく入りやすい現場でしたね。
不思議なんですけど、『クリミナル・マインド』のような、物語が暗くて怖い作品は割と現場は明るいんですよ。自分がレギュラーで初参加した時もそうだったんですけど、犯人とか現地の警察官とか、毎回ゲストの声優さんを、「今日の犯人役はこの方! 今日の被害者はこの方!」って華々しく紹介して、その方たちにもなるべく会話に入っていただいて、みんなで笑い合っていましたね。
吹替版は、一人3回まで出演できるチャンスがあるんですよ。犯人、被害者、現地警察や関係者などの3回。(※編集部調べ:ロッシ役の菅生隆之、シモンズ役の中川慶一、ルイス役の塩田朋子、ルーク役の阪口周平もレギュラーを務める前に複数回出演)
――すでに仲の良さが伺える話をお聞きしているんですが、印象深いエピソードがあれば教えてください。
エミリーが取調室で相手を脅したりするシーンで、私は向こう以上に怖くなるらしいんですよ(笑) 現場では「プレンティエス」って呼ばれていて、「プレンティエスが出た」ってよく言われます(笑)
――命名はどなたですか?
ガルシア役の(斉藤)貴美子ちゃんか、ディレクターの清水さんだったかな?
あとは、JJ役の(園崎)未恵ちゃんは自分がしゃべっていない時に物語に入り込みすぎて、自分のセリフの時にマイクの前にいない時がありましたね。「未恵ちゃん」「あ~、ずっと見ちゃってた」っていう感じで(笑) 自分もごくたまにありますが、未恵ちゃんの場合は1話に1回ぐらいあって、「また未恵ちゃんがいない!」って。物語への集中力が凄いですよねー。
ルイス役の塩田(朋子)さんは役柄同様に常に冷静沈着でみんなが頼っていて、感情的になっているところは見たことがないですね。すごくストイックな方でもあります。(ロッシ役の)菅生隆之さんは、めちゃくちゃお茶目な方なんですよ。
森久保(祥太郎)君はリードにぴったりですよね! リードがすごく早口で難しいカタカナをいっぱい言わなきゃいけないからいつも苦労していましたけど(笑) 彼の声と雰囲気がキャラクターにピッタリだったと思うし、リードは何回も日本に来てくれていて、直接森久保君も会っていることもあるのか、どんどんリンクしていっていましたよね。私もリードに2回会わせていただきました。
クリミナルマインド 最終シーズン記念に、アイコンを変えました
リード @GUBLERNATION にもう会えないなんて
ルイス役の塩田朋子様 @shishiotamoto と、懐かしのスリーショット#matthewgraygubler#来日 pic.twitter.com/enyylV81Fq
――リード役のマシュー・グレイ・ギュブラーさんはどんな方でしたか?
サービス精神旺盛な方ですね。私たちが英語わかるわからないお構いなしにずっとしゃべってきてくれるんです。フレンドリーでかわいい方でした。モーガン役のシェマー・ムーアさんとリードのマシュー・グレイ・ギュブラーさんには会っているんですけど、女性陣にお会いできなかったのは残念ですね。一度どなたか来日する予定だったらしいんですけど、災害などで日本に来られなくなったみたいです。
とにかく悔しいのは、最終シーズンなのにこの状況下なので、みんなで一緒に収録ができないことですね。これまでだと新しいシーズンが始まるタイミングでパーティーがあって、毎話みんなで一緒に食事に行って。特に今回は最終シーズンなので、収録が終わったら大々的に打ち上げパーティーをやる予定だったので、コロナ禍でできなくて寂しいですよね。
1シーズンが終わる度にキャストとスタッフで旅行にも行くんですよ。最終シーズンなので、みんなで「どこに行く?」って盛り上がっていたんですが...。仕方ないことなんですが、せっかく仲いいのに最後ほんとに離れ離れになってしまう時に一緒に楽しめないのが寂しいですね。
――海外ドラマは打ち切りなどある中で、本作は15シーズンも製作されました。深見さんが考える本作の魅力とは?
やっぱりクオリティが高い作品で、面白いとこんなに続くんだなって。ただ面白いだけじゃなくてよくできているし、事件を解決した時の爽快感、途中はドロドロしていますが、解決した後の水戸黄門的な流れですね。
あとは、キャストが魅力的ですねよね。個性があるし、女性陣も四者四様で、JJはめちゃくちゃかわいくて、プレンティスは同性からも好かれるタイプで、ガルシアは万人にかわいがられる、ルイスは冷静沈着でみんなのつなぎ役みたいな、みんなが大好きなキャラクターですね。
――間が空いた時もありましたがシーズン2からシーズン15までエミリーを演じられて、思いを伝えるなら?
気高い女性を演じさせていただいて幸せな12年でした。バジェット・ブリュースターさんにもすごくお会いしたいです。もしそんな機会があったら、めっちゃ高いスーツ着て、髪の毛サラサラにして臨みますよ!(笑)
彼女の別の作品があったら、またぜひやってみたいですね。
――エミリーのファイナルシーズンのみどころは?
エミリーに関しては、珍しく恋愛模様に注目です。あのボーイフレンドと果たしてどうなるのか? 女性としてのプライベートに迫っています。
――最後に『クリミナル・マインド』吹替版のファンの方にメッセージをお願いします。
最終シーズン、かなりクオリティが高いです。最後までしっかり見届けてほしいなと思います。そして、昔の出来事を回収するところもあったりするので、終わってからゆっくり1から見直す時間を作っていただけたら幸いです。私もシリーズ第1話から見直してみたいと思っております。
吹替版チームは状況がイレギュラーですが、15年間培ってきたものがあるからこそ気持ちのところで一致団結しています。かつての吹替レギュラーキャストが色んな役で登場しています! 最後まで楽しんで見ていただけたら嬉しいです。
ついにフィナーレを迎える『クリミナル・マインド FBI行動分析課』シーズン15(全10話)は、WOWOWプライムにて放送中。残り4話! そして、毎週火曜日に吹替キャストの本作への思いをたっぷりと語っていただいたインタビュー記事を掲載していきますので、そちらもお楽しみに。
■『クリミナル・マインド』声優インタビュー
【1】 ジェニファー・ジャロウ役 園崎未恵
【2】 マット・シモンズ役 中川慶一
【3】 タラ・ルイス役 塩田朋子
【4】 ルーク・アルヴェス役 阪口周平
【5】デヴィッド・ロッシ役 菅生隆之
(海外ドラマNAVI)
Photo:
深見梨加
『クリミナル・マインド15 FBI行動分析課 ザ・ファイナル』(c) ABC Studios
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