卵の量を減らすとどうなる?プリンで大検証【お菓子作りの基本 #9】
“お菓子作り大好き!”なmacaroni 料理家えもが、お菓子作りに必要な基本の知識やコツをテーマごとにご紹介します。第9回目は、卵の性質について。卵の熱凝固性に着目し、割合を変えて卵の量を減らすと仕上がりや食感はどう変わるのか、プリンを使って解説します。
自分好みの固さのプリンが作りたい!
こんにちは。macaroni 料理家のえもです!この連載ではお菓子作りが大好きな私が、写真付きで丁寧にお菓子の基本を解説しています。8月に入り、毎日暑い日が続いていますね。夏休み中のお子さんがいるご家庭も多いのではないでしょうか。今年の夏もあまり外出できそうにないので、私は近所に住んでいる夏休み中の姪っ子とアイスやフルーツゼリーなどのひんやりスイーツ作りに挑戦しようと思っています♪
さて、みなさんは喫茶店風の固めプリンとなめらかなプリン、どちらがお好きですか?「本やネットのレシピを参考にプリンを作ってみたけど、思っていた固さじゃない……」なんて思ったことがある方もなかにはいらっしゃるのではないかと思います。でも、自分好みの固さになるまで材料を調整して何度も作るのはちょっと面倒ですよね。
そこで今回は、お菓子作りにおける「卵の役割」についてご紹介します。卵の性質をお伝えしながら、卵の割合を変えてプリンを作ると仕上がりにどのような違いが出るのかを検証していきますよ!前回の記事はこちら▼
ゼラチンの代用には何が最適?コーヒーゼリーで大検証【お菓子作りの基本 #8】
卵の大事な3つの役割
お菓子作りに欠かせない材料のひとつである卵。いつも何気なく使っている食材ですが、お菓子作りにおける大事な役割が3つあるんです。この役割や扱い方のコツをしっかり覚えておくことで、よりおいしいお菓子を作ることができますよ。1. 乳化性
卵黄に含まれるレシチンという成分には、水と油をつなぎ合わせて中和する「乳化性」という働きがあります。バターなどの油脂をなじませることで生地が分離することなく安定し、しっとりとしたなめらかな食感に仕上がります。
バターケーキやアイスクリームが乳化性を活かした代表的なお菓子です。
2. 起泡性
卵白のたんぱく質には、水の表面張力を弱めて泡立ちやすくする「起泡性」という性質があります。泡立てた気泡が空気に触れてたんぱく質が硬くなることで気泡が安定。そこに熱を加えることで空気が膨らみ、生地をふっくらとさせることができるのです。
起泡性を利用してしっかり泡立てることで、スポンジ生地やシフォンケーキがきれいに膨らみます。
3. 熱凝固性
卵には加熱することでたんぱく質が固まる「熱凝固性」という特性があります。凝固の温度や状態は卵白と卵黄それぞれで異なり、卵白は58℃で固まり始め、80℃で完全に固まりますが、卵黄は65℃で固まり始め、70℃で完全に固まります。
たまご焼きや茶碗蒸しなどの卵料理だけでなく、プリンやカスタードクリームも熱凝固性を利用したものです。
卵の割合を変えてプリンで大検証
卵には3つの性質があり、それぞれの性質を活かしたお菓子があることがおわかりいただけたでしょうか。では、実際に卵の割合を変えて4種類のプリンを作り、風味や食感はどのくらい変わるのか、仕上がりにどのような違いが出るのかを調べてみたいと思います!〈基本のレシピ〉(プリンカップ約3〜4個分)
・卵……2個
・牛乳……200cc
・グラニュー糖……50g
・バニラオイル……適量
〈カラメルソース〉
・グラニュー糖……30g
・水……小さじ2杯
・熱湯……大さじ2杯
プリンの黄金比といわれている牛乳:卵:砂糖=2:1:0.5の比率のレシピです。これを基準に卵の量は変えず、牛乳と砂糖の量を300ccと75g、150ccと35g、100ccと25gに変えて作ってみました。
見た目を比較
プリンの黄金比といわれている200ccで作ったプリンはスッとスプーンが入り、持ち上げてみるとふるふると少し揺れました。しっかりと形は保っているものの、「固めプリン」という印象はありません。150ccと100ccのプリンはどちらも固く、スプーンを入れたときに抵抗がありました。すくってみると形もしっかりと保っています。
卵の割合がもっとも少ない300ccのプリンはスプーンですくってみると一番やわらかく、とろっとしていました。崩れてしまうほどではありませんが、型から外すのはむずかしそうな固さです。牛乳の割合が多いせいか、ほかのものと比べると色が少し薄かったように思います。
食感と味を比較
牛乳300cc、砂糖75g
牛乳200cc、砂糖50g
牛乳150cc、砂糖35g
牛乳100cc、砂糖25g
300ccのプリンは口の中に入れるとスッと溶けてしまいそうなくらい、とろける食感でした。卵の風味よりも牛乳のミルク感がしっかりと味わえ、やさしい甘さに仕上がりました。200ccのプリンはとろけるほどではありませんが、なめらかな食感でした。舌で軽く力を入れると簡単に崩れるほどのやわらかさに仕上がりました。卵と牛乳のバランスもちょうどよく、まさに「王道のプリン」という感じです。
150ccのプリンは表面はツヤがあってぷるんとしていますが、食べてみるとしっかりと弾力があり、むっちりと固い食感に仕上がりました。ミルク感はあまり感じられず、卵の風味が強く濃厚なプリンになりました。
100ccのプリンは噛みごたえがあり、しっかりと咀嚼する必要がありました。かなり固いプリンに仕上がったのではないかと思います。牛乳の割合が一番少ないので、卵の風味がかなり強く、甘さも控えめでした。この割合にするならもう少し砂糖を増やしてもよかったかも?とも思いました。
卵の割合を変えると固さだけでなく風味にも影響する!
卵の割合を変えたことで、固さだけでなく色や風味にもかなり違いが出ましたね!検証の結果、希釈度が高ければ高いほど卵の熱凝固性が強まることが判明。型から取り出して器に盛り付けられる固さにしたいなら卵と同量〜2倍の牛乳を。型に入れたままスプーンですくって食べるのであれば3倍の牛乳を入れて作ってみてください。また、これ以上牛乳の割合が多くなると卵の風味が薄れて、プリンとは別物になってしまう心配があるので、卵黄のみを加えて卵の風味を足すなどの工夫が必要だなと思いました。
今回は卵の割合を変えて実験をおこないましたが、砂糖の量だけを変えてみたり、牛乳と生クリームを使ってみたり、卵黄を加えてみたりしても仕上がりに違いが出てくるのではないかと思います。
固めのプリンが好きな方、なめらかなプリンが好きな方、それぞれ好みがあると思います。卵の性質や検証結果を参考に、ぜひ自分好みのプリン作りに挑戦してみてください♪
次回は「クッキーの生地に使う卵」について詳しくご紹介していきます。お楽しみに!
これまでの連載はこちら▼
ゼラチンの代用には何が最適?コーヒーゼリーで大検証【お菓子作りの基本 #8】
粉ゼラチンに合わせるベストな水分量とは?ゼリーで大検証【お菓子作りの基本 #7】
仕上がりが違う理由を徹底解説!お菓子作りの基本 - macaroni [マカロニ]
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