肉まんを愛しすぎた2人が『肉まん研究所』をオープン!本場の中国修業を経て誕生した、三河島の名物専門店
2020.09.21 18:00
オープンと共に早くも話題沸騰! その名も『肉まん研究所』
ホカホカと湯気を立てる白いまんじゅうの中にうまみたっぷりの肉餡がじゅわ~っ。老若男女、皆が大好きな中華まん!その中華まんを愛しすぎて、本場中国で修業した二人が開いた中華まん専門店『肉まん研究所』が、2020年4月にオープン。評判を聞きつけ、遠方からも人が訪れるほどに大ヒットしていると噂だ。
JR常磐線「三河島」駅から徒歩3分、東京メトロ千代田線「西日暮里」駅または「町屋」駅から徒歩15分。仲町商店街から路地に入るとすぐに店がある。ヒラヒラとはためく「豚まん」ののぼりが目印だ。手描き風ののれんにほっこり和む。
平日は朝7:00から、土日祝は朝9:00から営業している同店。店先のショーケースの中には、蒸したての中華まんがずらり。
当初は店内で簡単なイートインスペースを設けていたが、あまりの人気に急遽作業スペースを広げたため、現在はテイクアウトのみの営業。
本場中国の一級点心師に弟子入りして修業
『肉まん研究所』の二人のオーナー、田川健太朗さん(写真上・左)と尾﨑皆美さん(同右)。もともと肉まんが好きであちこち食べ歩いていたという二人だが、実はコンサルティング畑出身で企画会社を共同経営している。同店も、その企画会社に所属する“研究所”という位置づけのため、『肉まん研究所』と名付けたという。
「飲食関連のコンサルティングをしているとき、これからは質の良いものを手軽に食べる、上質な“ファストカジュアル”のスタイルが流行るんじゃないかと考えたんです。そのときに、『馴染みがあるけど、実は本場の味を知っている人が少ない』と思ったのが中華まんでした」と尾崎さん。
「専門店を作るなら、本場の味を学んだうえで、自分たちの味を作っていきたい!」と、本場中国の四川省重慶市で名人と謳われる一級点心師に弟子入り。日々修業に明け暮れた。
一番苦労したところを尋ねると、
「皮の生地の発酵ですね。中国では、ほとんどの生地を自然発酵で作ります。そのため、最初から最後まで人が温度や湿度を管理しないといけません。温度が1℃違ってくるだけで、全く違うものになってしまうんですよ。ベストな発酵具合を見極めるようになるまでが大変でした」と田川さん。
自分たちが納得のいくものを作り上げるまでに、朝から晩まで何百個も中華まんを作り続けたそうだ。
中華まん作りの修業をしつつ、二人が取り組んだのは中国各地の中華まん巡り。地域毎に、さらには店毎に具材や味付けに様々な個性がある。食べ歩きながら、気に入った中華まんを作っている店には飛び込みで修業させてもらうなど、本場の中華まんの味を研究し続けた。
ふかふかもっちり、ほんのり甘い皮が絶品!
『肉まん研究所』の中華まんを食べた人が真っ先に口にするのが、「皮がおいしい!」という言葉。本場中国ではむっちりと固めの生地が主流だが、同店では少しやわらかくしている。3段階に分けて発酵させる皮は、日々の温度や湿度の管理だけでなく、包む具材によって包み方や具材と皮の割合まで変えるこだわりよう。
できあがった皮は、手指にしっとり馴染み、つやつやのビジュアル。割ると、きめ細かい断面が現れ、口に含むとモッチモチ、しっかりとした歯ごたえがある。小麦由来のほんのりした甘さも優しく、中に包まれた様々な具材を引き立てる包容力抜群の皮だ。
本場の味をお届け! 中国で人気の中華まんをアレンジ
もちろん、おいしいのは皮だけではない。具となる肉餡はラード作りから始めて、一つひとつ手間と時間をかけて作りあげる。素材そのものの特徴が生きていて、毎日食べてもあきないおいしさだ!まずは、定番メニューの5品を紹介しよう。
▲豚まん150円(税込)
定番人気の「豚まん」。豚まんといえば、餡からジューシーな肉汁がこぼれるイメージだが、『肉まん研究所』の「豚まん」の特徴は“肉々しさ”。肉感をしっかり感じられる餡を噛みしめると、じわ~っと肉のうまみが湧いてくる。
ひとたびかぶりつけば、豚肉ぎっしりの肉餡のうまみとモチモチの皮が一体化していく口福感がたまらない…。細かく刻まれたレンコンが、シャキシャキと心地よいアクセント。
▲四川味噌肉まん160円(税込)
同店一番のおすすめ「四川味噌肉まん」。四川と聞くとピリ辛味を想像するが、辛さは後口でほんのり感じる程度。
四川省の代表的な肉まん「醤肉包(ジャンローパオ)」をアレンジした一品で、角切りにした豚肉とタケノコを、甘辛くスパイス香るジャン(中華味噌)で味付けしている。
こっくりした味噌が絡んだ肉やタケノコは、ほんのり甘い皮と相性抜群。ひと口食べれば、またひと口…と止まらなくなるおいしさ!
▲きのこまん150円(税込)
女性に大人気という「きのこまん」。美食の町として知られる四川省雅安(ヤーアン)にある人気中華まん専門店『田包子(ティエンパオズ)』のキノコを使った「香菇包(シャングーパオ)」をアレンジしたもので、椎茸とエリンギをたっぷり使用している。
ひと口食べれば、2種類のきのこの香りがふわっと漂い、きのこの滋味豊かなうまみがあふれる。きのこだけとは思えないコクの秘密は、豚の脂身から丁寧に作った自家製ラード。ニンニクもしっかり効かせているので、奥深い味わいになっている。
アイデアあふれるオリジナルレシピには、おいしさの工夫がいっぱい
「一般的な中華まん店の場合、『肉まん』と『餡まん』、あともう1種類くらいのメニュー構成だと思うんですが、研究所と名乗るからには、オリジナルの中華まんをもっと増やそうと思いました」(尾崎さん)▲チーズ麻婆まん180円(税込)
オリジナルメニューの中でも自信作の「チーズ麻婆まん」は、二つに割ると花椒(ホアジャオ)特有のしびれるような香りが広がる。
試作段階では、ホアジャオとチーズの相性に課題があったそう。そこで、数種類のチーズを試した結果、コクがあるチェダーチーズをチョイス。餡にもトッピングにもたっぷりと使用している。
自家製の豆板醤と市販の豆板醤をブレンドした深みのある辛みに、ホアジャオのしびれを効かせたスパイシーな餡。そこにチェダーチーズのうまみが加わり、チーズ好きも満足のおいしさだ。
▲さつまいもまん150円(税込)
もう一つのオリジナルメニューが「さつまいもまん」。さつまいもの甘露煮をペースト状にし、口当たりをなめらかにしている。
さらに、甘露煮にカツオだしを加えることで、味に深みを出すひと工夫を忘れない。焼き芋を食べているかのようなホクホクした甘さは、心をじんわりと癒してくれる。
2週に1度、新作を発表! 期間限定メニューも目が離せない
『肉まん研究所』では、2週間に1度、期間限定の中華まんを発売している。同店の一番の目標は、朝食などで日常的に中華まんを楽しむ中国のように、日本の食卓でも親しんでもらうこと。たまに訪れるのではなく、「限定まんを楽しみに足を運んでもらえれば」という想いが込められている。
「外でご飯を食べていても、『これは中華まんにならないかなあ』としょっちゅう考えてます」(田川さん)と、日々アイデアを練っているという。
▲アラビアータまん(260円/期間限定)(税込)
「アラビアータまん」は、夏バテした二人が「これなら食べられる!」と思いたって生まれた一品。
1時間半以上炒めて甘みを出したタマネギに、唐辛子を加えてピリ辛にしたトマトソース。そこに牛肉のミートボールを詰めたフルーツトマトを合わせ、皮で包んだ創作メニュー。作る以上は徹底的にこだわる、研究所ならではの自信作だ。
▲オレンジガナッシュまん(280円/期間限定)(税込)
この他にも、自家製のオレンジピールを忍ばせた自家製チョコレートクリームを包んだ「オレンジガナッシュまん」といった、まるで洋菓子のような一品も販売されている。中華のジャンルにとらわれない自由な発想がなんともおもしろい。
「師匠が知ったら、『あなたたち、何を包んでるの!?』と怒られてしまうかもしれませんね(笑)」と尾崎さん。この遊び心も同店の魅力の一つかもしれない。
さまざまなおいしさを包み込む、独創的な「中華まんワールド」を楽しみたい
中華まんを包む紙には、「包羅万餡(ほうらばんあん)」の文字がある。これは、宇宙の全てを包むことを意味する「森羅万象(しんらばんしょう)」をもじった言葉で、さまざまなものを包み込む中華まんをイメージして作った造語だという。
「四川で出逢ったおいしい食材をもっと紹介したいですし、上海の肉まんも四川とは違った特徴があるので、そちらも作ってみたいですね」と、新しいアイデアをフカフカ生地で包む気満々のお二人。
現在は、店頭だけでなくネットストアでの販売も行なっている。心までをホカホカ温めてくれる肉まんを、店先や自宅で、思いっきり頬張ってみてはいかがだろう。
【メニュー】
豚まん 150円
四川味噌肉まん 160円
きのこまん 150円
チーズ麻婆まん 180円
さつまいもまん 150円
アラビアータまん(期間限定商品) 260円
オレンジガナッシュまん(期間限定商品) 280円
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税込です
※予約や通販に関しては、店舗のHPを参照してください
肉まん研究所
〒116-0002 東京都荒川区荒川3-46-11火曜~金曜7:00~18:30、土曜・日曜、祝日9:00~18:30
月曜(月曜が祝日の場合は、次の平日に振り替え)
https://baozi-lab.stores.jp/
https://r.gnavi.co.jp/mbnkvcfk0000/
この記事の筆者:小田中雅子(ライター)
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