クリエーションにも考え方にも変化をもたらした金継ぎとの出会い ファインジュエリーブランド【ミラモア】稲木ジョージさんインタビュー
ニューヨークでデザインし、日本の職人が形にしていくニューヨーク発日本生まれのファインジュエリーブランド【ミラモア】。2024年4月にデビュー5周年を迎えたことを記念し、【ミラモア】5周年記念ポップアップイベントを2024年4月29日(月・祝)まで六本木ヒルズで開催しています。コロナ禍で経験した大きな転機をはじめ、その出会いから生まれたジュエリーをブランドヴィジョニアの稲木ジョージさんに話してもらいました。
コロナ禍で出会えた輪島の金継ぎでクリエーションに変化が
●――デビュー5周年を迎えた今の気持ちを教えてください。デビュー翌年からコロナ禍に見舞われたので大変だったのではないですか?
稲木 大変だったかもしれないですが、僕はニューヨーク在住で現地では当初、3カ月で収束するって言われていて、それを信じて楽天的なところがあったかも。ブランドを立ち上げたばかりで、前を向くしかない時期でしたしね。
稲木 コロナ禍中は時間があってクリエーションを見直し、深堀りできる時期でもありました。その中で輪島の金継ぎ職人さんにお会いすることがありました。これが転機に。僕はシングルマザーに育てられ、9歳でフィリピンから来日して逆境の中での幼少期を過ごしました。傷つき、傷つけられた経験があり、「壊れた自分もひっくるめて自分であること」という金継ぎの哲学は自分の人生を表しているように感じて。僕だけじゃなくて、みなさんもどこかしらに傷はあるでしょう? 離婚された記念に「KINTSUGI collection」のジュエリーを買ってくださったお客様がいらっしゃいました。離婚経験者をバツイチと言いますが、金継ぎの哲学は新たな人生のスタートにぴったりじゃないですか。金継ぎの哲学ってユニバーサルフィロソフィーだと思っていて、年齢性別国籍問わずみんなが共感できる。これを世の中にもっと伝えていきたいですね。
稲木 金継ぎを知ってから作品作りへの姿勢も変わりました。ブランドデビュー当初は自分が好きなものを作っていたけれど、正直デザインは溢れているし、地球ってもうできあがっている感じがしませんか(笑)。自分が存在する理由を考えた時、自分にしかできないことをすること。自分にできるのは金継ぎにフォーカスすることが使命のように思えたんです。
●――「KINTSUGI collection」は、これまでの作品と比べてデザインが有機的ですよね。
稲木 1周どこから見てもすべてデザインが違います。光沢面とマットな面があるので立体的に見えますし、どこを見せても装着しても構わないようデザインしています。
紀貫之の和歌に着想を得たSAKURAゴールドの「KINTSUGI collection」がポップアップ限定で登場!
●――コロナがなければ、輪島で金継ぎに出会えなかったかもしれないですよね。逆境でも前向きな姿勢でいることの大切さを感じます。今回のポップアップで手にとってほしいジュエリーはどれですか?
稲木 「KINTSUGI collection」のSAKURAゴールドは、今回のポップアップ限定です。僕は紀貫之の和歌「さくら花 散りぬる風の なごりには 水なき空に 波ぞ立ちける」が好きで、それがインスピレーション源。風は形もなければ匂いもない。桜花が散って空に舞った時に川のように見えるという意味で、すごく素敵だなって。それで桜色のゴールドにしよう、と。SAKURA GOLDのジュエリーを身に着けてもらって桜を感じてほしいし、日本から離れていたとしても日本の美しい桜を想像してほしいですね。
稲木 「JUN-KINTSUGIエメラルドリング」は金継ぎのラインをわざと作ったデザインです。24金なのですごく柔らかく、変形しやすいし、傷もつきやすい。自分の指になじんでいくというコンセプトで、変形も傷も作品になるという思いを込めています。
稲木 母の名前であるヴィクトリアを名前に関し、頭文字のVをデザインしているのが「KINTSUGI ヴィクトリアプラチナノワールシグネットリング」です。表面に特殊な加工をしてエイジングされることで味が出るのが魅力。こちらはダイヤモンドで金継ぎを表現しました。
稲木 僕が金継ぎの哲学を教わった輪島の金継ぎ師・桐本滉平さんの作品も手に取ってほしいです。マザーオブパールを切り、漆でくっつけて金を重ねているリングとペンダントトップで、裏面には「壊れているのではなく、継がれている」という英文のメッセージを入れました。こちらの売上は令和6年能登半島地震で被災された桐本さんに寄付します。
日本発ヘリテージブランドを目指して、ジャパニーズジュエリーを世界へ
●――5周年を記念したポップアップが、六本木ヒルズで決まった時の心境はいかがでしたか?
稲木 名古屋で育ち、大学時代に東京に遊びに行っていた際、必ず立ち寄るのが六本木ヒルズでした。名古屋はローカル感があるけれど、六本木ヒルズにはインターナショナルな感覚を受けました。子どもの頃から世界的に活躍する人になるのが夢で、東京ならそれができるかもって。六本木ヒルズは東京に住みたいと思わせてくれた場所でもあり、東京に住んでいた頃は映画館にもよく行っていたので思いでの地ですね。ここで開催できるのは夢のようですし、桜の時期は特に人気の場所なので本当にありがたいです。
●――今後手掛けたい作品やブランドの展望を教えてください。
稲木 「KINTSUGI collection」のブランドコードを使いながら、サングラスや時計といったジュエリー以外のプロダクトも作りたいですね。またブライダルリングのお問い合わせが増えているので、いずれは、と思っています。
稲木 ブランド立ち上げ当初から変わっていないのは、日本のヘリテージブランドになりたいという思い。ジュエリーの世界ではイタリアとフランスがトップランナー。でも僕は日本の技術を信じているし、好き。日本産のジュエリーをもっと世界に知ってほしいから、それに向かって走っていきたいですね。
【ミラモア】5周年記念ポップアップイベント
期日/〜2024年4月29日(月)
会場/六本木ヒルズ ヒルズ2F ヒルズ ボックス(港区六本木6−10−1)
営業時間/11:00〜20:00(金・土・祝日前日は〜21:00)
※ポップアップ期間中は10%オフで購入できます。
※価格はすべて税込みです
Photograph:Shouta Ikegami
Senior Writer:津島千佳
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