週3回以上ラーメンを食べる人は要注意!? 科学的に見たラーメンを食べる頻度と死亡リスク

2025.12.10 20:45
提供:All About

【医師が解説】ラーメンを食べる頻度と死亡リスクの関連性は、実は科学的に明らかになっていませんでした。山形大学による大規模調査で判明した実際の危険性と、リスクを抑える食べ方のポイントをご紹介します。(※画像:amanaimages)

ラーメンは手軽でおいしい国民食です。その一方で、「塩分が多そう」「カロリーが高そう」といったイメージから、食べるたびに少し罪悪感を覚えてしまう方もいるかもしれません。

そのようなラーメンと健康の関係について、非常に興味深い研究が発表されました。最新論文をもとに、どうすればおいしいラーメンを健康的に楽しめるのか、一緒に見ていきましょう。

「ラーメンを食べる頻度と死亡リスク」に関する最新研究

今回の研究では、以下に当てはまる人は死亡リスクが高まる可能性があることが明らかになりました(※1)。
70歳未満の人
お酒を飲む習慣がある人
スープをよく飲む人
ただし、これは全ての人に当てはまるわけではなく、ラーメンを食べること自体が悪いとは結論付けられませんでした。

実は都市伝説? 「ラーメンの塩分量と健康リスク」の科学的な関連性

ラーメンは、そばやうどんと並んで、国内でも人気の麺類の1つです。しかし、スープに塩分が多く含まれるため、食べると高血圧や脳卒中、胃がんなどの病気リスクが高まる可能性が指摘されてきました。

これまでにも「ラーメン店の数が多い地域ほど脳卒中の死亡率が高い」といった研究報告がありました。しかし意外なことに、ラーメンを食べる頻度と健康の関係については、明確には分かっていなかったのです。

そこで本研究では、山形県の大規模健康調査(山形コホート研究)に参加した40歳以上の男女6725人を対象に、ラーメンの摂取頻度とその後の死亡リスクの関連が調査されました。

調査手順は以下の通りです。
アンケートでラーメンの摂取頻度を回答(過去1年間)
「月1回未満」「月1~3回」「週1~2回」「週3回以上」の4群に分類
平均4.5年間追跡
年齢、性別、喫煙、飲酒、生活習慣病などの死亡リスクに影響する項目を調整して解析

統計的に明らかな関連はないが、「70歳未満・飲酒者・スープ派」はリスク上昇

分析の結果、参加者全体で見ると、ラーメンを食べる頻度と死亡リスクに明確な関連はありませんでした。「週3回以上」食べるグループでリスクが高くなる傾向はありましたが、偶然の範囲と判断されています。

ところが、細かいグループに絞って分析すると、状況は一変します。

70歳未満の人に限定すると、週3回以上ラーメンを食べる人たちは、週1~2回の人たちに比べて、死亡リスクが約2.20倍も高くなっていました。

また、お酒を飲む習慣のある人でも同様に、週3回以上ラーメンを食べる人たちの死亡リスクは、週1~2回の人たちに比べて約2.71倍と、顕著に高くなることが分かったのです。また、スープを飲まない人に比べ、スープをよく飲む人のほうが死亡リスクが高い傾向がありました。

さらに、ラーメンを食べる頻度が高い人には、以下の特徴が見られました。
比較的若い男性が多い
喫煙や飲酒する人の割合が多い
BMI(肥満度を示す指数)が高い傾向がある
高血圧や糖尿病といった生活習慣病を持っている人が多い

「スープを残す」「穴あきレンゲを使う」……満足度を下げずに健康を守る食べ方のコツ

今回の結果は「ラーメンは危険」と断定するものではありません。しかし、特定の条件がそろうとリスクが高まる可能性が科学的に示されたと言えるでしょう。特に、70歳未満の方や、お酒を飲む習慣のある方は、食べる頻度を少し意識してみるのがよいのかもしれません。

ラーメンの塩分は、主にスープに多く含まれています。研究チームも、ラーメンの食べ過ぎによる塩分の過剰摂取が、高血圧などを介して死亡リスクを高めているのではないかと考えています。だとすれば、健康のためにできることはシンプルで、「スープは全部飲まずに残すこと」です。

とはいえ、おいしいスープを残すのは、強い意志が必要かもしれません。そのようなときに役立つ、ユニークな研究も1つありますので、ご紹介します。

熊本県立大学などの研究チームは、スープをすくうレンゲを「穴あきレンゲ」に変えることで、塩分摂取量がどう変わるかを調べました(※2)。

健康な男子大学生36名がこの実験に参加し、通常のレンゲを使った場合と、穴あきレンゲを使った場合とで、スープと塩分の摂取量が比較されました。その結果は驚くべきものでした。穴あきレンゲを使った場合、スープの摂取量が減少し、それに伴い塩分摂取量も約25%も減少したのです。さらに衝撃的なことに、食後の満腹感や「おいしさ」の評価には、どちらのレンゲを使っても差がありませんでした。

つまり、使うレンゲを変えるという小さな工夫で、ラーメンを食べる満足感を損なうことなく、自然と減塩ができるのです。

筆者もラーメンが大好きです。ラーメンは、中国の麺料理が日本独自の食文化と融合し、多様な革新を遂げてきました。麺、ダシ、タレ、具材や脂などの食の要素を組み合わせることで、無限のバリエーションが生まれる点もラーメンの魅力です。

近年では、グルテンフリーの普及、米などの穀物や豆類といった健康食材が使われるなど、これからのさらなる進化も期待されています。ぜひ皆さんも上手に工夫して、健康を守りながら、おいしくラーメンを楽しみましょう!

■参考文献
1. Miho Suzuki,Natsuko Suzuki,Ri Sho,et al.Frequent Ramen consumption and increased mortality risk in specific subgroups: A Yamagata cohort study.J Nutr Health Aging.2025 Aug 1;29(10):100643.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40752043/
2. Maiko Sugimoto,Eri Tajiri,Nana Nakashima,et al.Effects of Using a Perforated Spoon on Salt Reduction When Consuming Ramen Noodles: A Randomized Crossover Study of Japanese Male University Students.Nutrients.2023 Jun 24;15(13):2864.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37447190/

秋谷 進プロフィール

小児神経学・児童精神科を専門とする小児科医・救急救命士。プライベートでは4児の父。子どもの心と脳に寄り添う豊富な臨床経験を活かし、幅広い医療情報を発信中。


執筆者:秋谷 進(医師)

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