彼女の手をいつも写真から消していた僕。よかれと思って続けたことが、彼女を一番傷つけていた
彼女が手を隠す理由
僕は彼女とのデートのたびに、二人の写真をSNSに投稿しています。一緒に過ごした時間を残しておきたかったし、誰かに見てもらえるのも嬉しかったのです。
ただ、付き合い始めた頃から、ひとつ気になっていたことがありました。写真を撮ろうとすると、彼女はいつも手を引っ込めて、指先を隠すような仕草をするのです。あるとき彼女が、ふとこぼしました。
「私、爪きれいじゃないから」
そのひとことで、彼女が自分の手を気にしているのだと、僕はようやく気づきました。
よかれと思っての習慣
それからの僕は、投稿する写真を選ぶとき、彼女の手が目立つものを避けるようになりました。どうしても写り込んでいるときは、その部分を切り取ってから載せていたのです。
彼女は写真を投稿されるのを喜んでくれていました。だから投稿はやめたくない。でも、彼女が気にしている手を、わざわざ人目にさらす必要もない。そう考えた末の方法でした。
気にしていることには触れないほうが、彼女のためになる。僕はそう信じて疑いませんでした。困りごとを口に出さず、自分の中で片づけてしまうのは、昔からの僕の癖だったのかもしれません。
「なんとなく」と答えた瞬間
ある日、彼女が投稿された写真を見せながら、僕に聞いてきました。
「どうしていつも私の手だけ切れてるの?」
本当のことを言うべきだと、頭ではわかっていました。でも、君が爪を気にしているのを知っていたから、と伝えれば、彼女が恥ずかしく思っていることを、僕が認めることになってしまいます。それだけは避けたくて、僕は一瞬、目をそらしました。そして口から出たのは、別の言葉でした。
「ああ、それは、なんとなくだよ」
その瞬間、彼女の表情がくもったのが見えました。違う、そうじゃないんだ。心の中でそう繰り返しながら、僕はただ、手元の画面を閉じました。
そして...
あの「なんとなく」のひとことが、どれだけ彼女を傷つけたのか。あとになって、ようやく想像が及びました。僕が手を消していたのは、彼女がきらいだからではありません。むしろ逆で、彼女が気にしていることを、守ったつもりでいたのです。
でも、黙って気をつかうことは、ときに相手を置き去りにします。よかれと思って僕が続けたことは、彼女に、恥じられていると思わせるばかりでした。
今度は、自分の口で伝えようと思います。あの手も全部、僕は好きなんだと。黙って守るより、ちゃんと言葉にすることのほうが、ずっと難しくて、ずっと大事なのだと、ようやく気づいたのです。
次に二人で写真を撮るときは、その手ごと、僕は残しておきたいと思います。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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