自販機を止められ、ドリンクバーで何杯もおかわりする彼。得意げな横顔を見て、私の気持ちは冷めました
自販機の前で止められて
買い物の帰り道、私はずっと飲み物が欲しくてたまりませんでした。目に入った自販機の前で財布を開くと、彼が「ちょっと待って」と私の手を押さえます。
「それ買うなら、ファミレス行こうよ」「ドリンクバーなら何杯でも飲めるし」
彼はそう言って、近くの店を指さしました。
「自販機の一本なんて、もったいないって」
彼は付き合った頃から倹約を大切にする人で、私もそういうところを堅実だと感じていました。たしかに自販機の百五十円より、ドリンクバーのほうがずっとお得です。私は飲みたい気持ちを少し我慢して、彼についていくことにしました。
おかわりを重ねる彼
席に着くと、彼は何度もドリンクバーへ立ちました。コーラ、メロンソーダ、コーヒー。グラスを満たしては飲み干し、また立ち上がります。三杯目を掲げた彼は、うれしそうに指を折りました。
「元は取らないと、損だろ」
私も、はじめのうちは笑って見ていました。けれど四杯目、五杯目とおかわりが続くうちに、だんだん落ち着かなくなってきたのです。お腹はもう満たされているはずなのに、彼は値段の元を取ることだけを楽しんでいるように見えました。
得意げな横顔に冷めた気持ち
「そんなに急いで飲まなくても、いいんじゃない?」
思わずそう声をかけると、彼は「君も飲みなよ。頼んだんだから、損するよ」と、当然のように勧めてきます。グラスの底に残った氷を見つめながら、私はストローを回すことしかできませんでした。
飲み物を一本買うか買わないか。たったそれだけのことを我慢させられ、その代わりに彼の元取りに付き合わされている。得意げな横顔を眺めているうちに、私の気持ちは行き場をなくしていきました。
そして...
その後、彼とは少しずつ距離を置くようになりました。お金を大切にすること自体は、悪いことではないと思います。けれど、飲み物の一本すら買わせてもらえず、その隣で元取りに夢中になる彼を見ていると、これから先もずっと同じすれ違いが続くのだろうと感じてしまったのです。
今でも自販機の前を通ると、あの日の彼を思い出します。あのとき覚えた違和感を、見て見ぬふりをしなくてよかった。そう思える自分に、私は少しほっとしています。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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