「こんな絵、下手だね」と娘の作品をけなした義父→美術展で審査員が娘の絵の前で足を止めた日
誇らしげに差し出した画用
義実家に遊びに行くたび、娘はクレヨンで絵を描いて義父に見せるのが好きでした。「おじいちゃん、描いたの」と差し出す顔はいつも得意げで、その姿が私も微笑ましかったのです。
その日も娘は画用紙いっぱいに家族の絵を描き、義父のもとへ走っていきました。義父は絵をちらりと見て言いました。「こんな絵、下手だね」。娘の手がゆっくり下がりました。駆け寄ろうとしましたが、義父はもう新聞に目を戻していて、言葉を飲み込むしかありませんでした。
クレヨンに触らなくなった娘
その日から、娘は家で絵を描かなくなりました。画用紙を出しても首を振ります。理由を聞くと「下手だから」と小さな声で答えました。
夫に「お義父さんに話してほしい」と頼むと、「親父は悪気がないんだよ。昔からああいう人だから」と返されました。悪気がなければ何を言ってもいいのでしょうか。5歳の子どもに「下手」と平然と言える無神経さが、どうしても許せませんでした。
後から知りましたが、この時夫はそう言いながらも電話をして伝えてくれていたそうです。
審査員が足を止めた絵
半年後、娘は少しずつまた絵を描き始めました。担任の先生が「好きなように描いていいんだよ」と声をかけてくださったのがきっかけです。
学校の美術展に娘の絵が飾られ、見に行った日のことです。会場を歩いていると、審査員が娘の絵の前で足を止めていました。隣の先生に「この色の使い方、とても豊かですね」と話す声が聞こえ、娘が私の手をぎゅっと握りました。
そして...
帰り道、娘が「私、また絵いっぱい描く」と笑いました。半年前に「下手だから」とうつむいていた子が、前を向いて歩いています。その横顔を見て、目頭が熱くなりました。
義父にこの姿を見せたい気持ちと、見せたくない気持ちが半々です。あの一言がなければ、娘はもっと早く笑えていたかもしれない。たった一言が奪った半年間の重さを、義父はきっと知らないままなのでしょう。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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