「あの子、空気読めないよね」仲間はずれにされた娘→大人たちが知らない場所で娘がしていたこと
一人で歩く背中
授業参観の帰り道でした。校門の前で、クラスの女の子たちが5人ほどかたまって歩いていきます。その輪の中に、娘の姿はありませんでした。少し離れたところを、ランドセルを揺らしながら一人で歩いている。声をかけようとした瞬間、集団の中から「あの子、空気読めないよね」という声が聞こえました。娘の耳にも届いていたはずです。けれど振り返ることもなく、そのまま前を向いて歩いていました。小さな背中がいつもより丸まって見えて、私は足が動かせませんでした。
心配のかたちをした言葉
同じクラスのママ友に声をかけられました。「娘ちゃん、最近一人でいること多いみたいだけど、大丈夫?」。心配してくれているのだと思い、「うん、ちょっと気になってて」と答えました。するとママ友は少し声を落として続けます。「うちの子が言ってたんだけど、娘ちゃんちょっとキツいこと言っちゃうみたいで」。何を言ったのか尋ねても、「子ども同士のことだから」と曖昧に笑うだけ。それ以上踏み込めないまま、モヤモヤだけが残りました。娘に何があったのか、直接聞く勇気も出ないまま日数だけが過ぎていきます。
小さな公園のブランコ
娘の帰りが遅い日が続いていました。ある日、気になってそっと通学路を辿ってみると、学校裏の小さな公園に娘がいました。一人ではありません。隣に見慣れない女の子が座っていて、二人並んでブランコをゆっくり揺らしています。近づくと娘が気づいて言いました。「ママ、この子ね、2学期に転校してきたの。まだお友達いないから、私が一緒にいるの」。隣の女の子がぺこりとお辞儀をしたとき、胸の奥がきゅっと締まりました。
そして...
帰り道、思い切って「グループの子たちと何かあったの?」と聞きました。娘は少し黙ってから答えました。「みんながあの子のこと仲間に入れてくれなくて、私がやめなよって言ったの。そしたら関係ないでしょって言われた」。
空気を読まなかったのではなく、読んだ上で読めないふりをした。9歳の娘がそう選んだのだと気づいたとき、「そっか」としか言えませんでした。娘の手をそっと握ると、小さな手が握り返してきます。その手のひらが少しだけ汗ばんでいたことを、たぶん私はずっと忘れません。
(30代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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