「鶏肉って何分焼くの?」と彼女に聞いたあの夜、3回焦がしたフライパンを洗いながら俺が考えていたこと
聞こえてしまった一言
きっかけは先週の日曜日でした。彼女の部屋でテレビを見ていたとき、キッチンから彼女が友人と電話している声が聞こえてきました。「毎日ごはん作るのしんどいときあるよね。たまには誰かに作ってほしいなって思う」。友人への愚痴のような、ため息まじりの軽い一言でした。彼女はいつも俺に手料理を作ってくれます。「好きでやってるから」と言いますが、あの声は好きでやっている人の声には聞こえませんでした。
最初の失敗
その夜、自分の部屋に帰ってから動画サイトで「初心者 チキンソテー」と検索しました。簡単そうに見えました。油を引いて肉を置いて焼くだけ。それだけのはずが、1回目は中が生焼け、2回目は外が真っ黒になりました。フライパンの底にこびりついた焦げをこすりながら、彼女にメッセージを送りました。「鶏肉って何分焼くの?」。すぐに「急にどうしたの?」と返ってきて、「ちょっと気になっただけ」と返すのが精一杯でした。「中火で片面5分くらいだよ」。彼女が教えてくれた通りにやって、3回目でようやく食べられるものが焼けました。
写真を送るまで
翌日、彼女から「昨日の鶏肉、結局どうしたの?」とメッセージが来ました。返事に迷いました。正直に言えば楽なのに、あの電話を聞いたことを知られたくなかった。「あとでわかるから」とだけ返して、夕方に覚悟を決めて写真を送りました。サラダは不格好で、ソースが皿の縁にはみ出している。見栄えは悪い。でもこれが、今の俺の精一杯でした。「明日持っていく」。
そして...
翌日、弁当箱を渡したとき、彼女が一口食べて「おいしい」と言ってくれました。「なんで急に?」と聞かれて、本当の理由を言いたかった。お前が誰かに作ってほしいと言っていたから、と。でもそれを伝えたら、彼女は愚痴をこぼしたことを気にするかもしれない。だから「別に」とだけ答えて、そっぽを向きました。不格好でも、俺の作った料理を「おいしい」と言ってくれたこと。それだけで、焦がしたフライパンを洗ったあの夜が報われた気がしました。料理は下手だけれど、次はもう少しうまく作れるかもしれません。
(20代男性・ITエンジニア)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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