保護者に「うちの子、何か変じゃない?」と言われた日から、私はずっと後悔していた
ずっと気になっていたあの子
1年生を担任したその年、最初の授業参観であの子の姿を目に焼き付けていました。座っていられないけれど、誰よりも一生懸命手を挙げていた。この子は「がんばる子」だと思いました。
でも日々のなかで、提出物の忘れ、持ち物の紛失、授業中にふと席を立ってしまう場面が積み重なっていきました。気になることは記録に残していました。ただ、どう保護者に切り出せばいいのか、言葉を選べないまま2ヶ月が過ぎていきました。
あの放課後の廊下
放課後、廊下でお母さんに呼び止められました。表情が少し緊張していました。
「うちの子、何か変じゃない?」
胸の奥がずきりとしました。「変」という言葉が、あの子の一生懸命な姿と重なって刺さりました。「変じゃありません」と言いたい気持ちを抑えて、「お子さんのことは、しっかり見ております」と返しました。お母さんは「わかりました」と言って帰っていきました。
廊下に一人残って、自分がどうすべきだったのか、ずっと考えました。気になっているなら、私が先に言うべきだったのではないか、と。
言えなかった言葉
スクールカウンセラーも交えて専門機関での検査を勧める話し合いをしました。でも私は「しっかり見ています」と言いながら、ずっと自分の中だけに留めていた。検査結果が出るまで、あの廊下のことを何度も思い返しました。喉の奥が詰まるような感覚が、その間ずっと続いていました。
そして...
結果出てからお母さんが来室しました。診断名を聞いて私が「そうでしたか」と言うと、お母さんは少し泣きました。「先生も気になっていたんですか」と聞かれたとき、「ずっと気になっていました」とだけ答えました。
「変じゃない?」という言葉に傷ついていた私は、あの言葉がお母さんの怖さから出たものだと、そのときやっとわかりました。私が「変」という言葉を気にしていた間、お母さんも同じくらい怖かった。もっと早く話せていたら、どうだったのか。その問いは今も残っています。
(30代女性・教師)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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