彼女をフルネームのまま登録し続けた俺が、本当の理由を打ち明けられなかった話
あの日の通知
前の彼女と付き合っていたときのことです。ある夜、俺のスマホに届いたメッセージの通知を、隣にいた彼女が見ました。表示されたのは「みーちゃん」という名前。従姉妹の登録名でした。
「みーちゃんって誰?」
そのときの声のトーンを、今でも覚えています。従姉妹だと説明しました。でも信じてもらえなかった。「女の子をちゃん付けで登録してる時点で気持ち悪い」と言われ、そこからすべてが崩れました。弁明するほど疑いは深くなり、一週間後に別れを告げるメッセージが届きました。
「普通じゃない?」と返した夜
別れたあと、連絡先を整理しました。あだ名やニックネームで登録していた名前をすべて漢字のフルネームに変えたのです。もう誤解されたくない。画面を見られても、疑われる要素をゼロにしたかった。
今の彼女と付き合い始めたとき、迷わずフルネームで登録しました。そして彼女に「なんで私の名前、フルネームで登録してるの?」と聞かれた夜。「別に、普通じゃない?」と答えるのが精一杯でした。「普通じゃないよ。私はちゃんとあだ名つけてるのに」と言われて、胸の奥がずきっと痛みました。
「名前は名前だろ。関係なくない?」自分でも冷たいとわかっていました。
編集画面で止まった指
その夜、彼女が眠ったあとにスマホを開きました。連絡先の編集画面を出して、名前の欄にカーソルを合わせます。フルネームを消して、ひらがなで打ち直そうとしました。でも、あだ名をつけた瞬間、またあの夜みたいになるんじゃないか。画面を見られて、「この名前、誰?」と聞かれるんじゃないか。今の彼女はそんなことを言う人じゃない。わかっているのに、指が動きませんでした。
そして...
俺はまだ、前の彼女に詰められたあの夜の中にいるのだと思います。今の彼女を信じていないわけじゃない。信じているのに、指が動かない。それがいちばん情けない。
彼女が寂しそうな顔をしていたことには気づいていました。あだ名をつけてほしかったんだろう。俺だって、本当はつけたかった。それなのに、たった数文字を書き換える勇気が出ないまま、編集画面をそっと閉じました。
(20代男性・プログラマー)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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