送信してから3秒で気づいた。「誰?」の2文字はもう取り消せなかった
通知欄の知らない顔
仕事中、スマホの通知が光りました。見慣れない女性の丸いアイコンから「アイコン変えたんだ」というメッセージ。通知欄の小さなサムネイルだけ見て、正直に言えば、一瞬本当に誰だかわかりませんでした。彼女は普段カフェラテの写真をアイコンにしていて、俺はあの茶色い丸で彼女のメッセージを認識していたのです。反射的に「誰?」と打って送信。直後にトーク画面を開いて名前を確認し、指が止まりました。彼女だ。気づくまで3秒。けれど、もう取り消せません。
何を言っても裏目に出る
「私だけど」。怒っているのか呆れているのか、文面だけでは読み取れない返信が届きました。「いや、わかってたよ」と返しましたが、あの数秒の間で全部伝わっている気がします。「じゃあなんで『誰?』って聞いたの」。ここで正直に「サムネイルが小さくて見えなかった」と言えばよかったのに、つい取り繕って「雰囲気が違いすぎて確認しただけ」と送りました。「じゃあ普段の私ってどんな雰囲気なの」。返信を見た瞬間、これはまずい方向に進んでいると気づきました。
言えなかった言葉
「普段はもっと、こう、力抜けてる感じ」。文字にした瞬間、自分でもまずいと思いました。「いや、自然体がいいって意味」と足しても、もう手遅れです。「前のアイコンのほうがよかった?」と聞かれたとき、本当は「新しいほう、すごくいい」と言いたかったのです。でも、ここまでの流れで急に褒めたら余計に嘘くさくなる。「そういうことじゃない」としか返せませんでした。会話が終わったあと、彼女の新しいアイコンをタップして拡大しました。自然光の中で笑っている顔は、見たことがないくらいきれいでした。
そして...
アイコンを何度も開いては閉じてを繰り返していました。翌朝、洗面台で自撮りを撮り、「俺も変えた」と送ったのは精いっぱいの歩み寄りのつもりでした。「雰囲気は普段通りだね」という返信に何も返せなかったのは、それがあまりにも正しかったからです。メッセージで言えなかったあの言葉は、たぶん次に会ったときにも言えません。「かわいい」を面と向かって伝える勇気が、俺にはまだ足りないのです。
(20代男性・エンジニア)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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