「成功するはずない」と元カノの夢を否定した俺→倒産した日、真っ先に彼女の顔が浮かんだ
「応援できない」と言った本当の理由
彼女がレストランを開きたいと話してくれたとき、最初に浮かんだのは心配ではなく、ある先輩の顔でした。
会社の先輩が飲食店を始めたものの、借金を抱えて数年で閉店し、最終的にまたサラリーマンに戻っていく姿を間近で見ていました。その経験が頭から離れず、「彼女も同じ道をたどるだろう」と、根拠もないまま決めつけていました。
「正直に言うけど、応援できない」。そう言ったあと、「成功するはずがない」という言葉まで口に出してしまいました。彼女の夢を否定したのではなく、失敗した先輩の姿を重ねていただけでした。でも、相手にとってその言葉がどれほど重かったか、そのときは考えが及んでいませんでした。
別れた後も残り続けたもの
関係が終わった後も、なんとなく気になることはありました。彼女が夢に向かって動いているという話を、共通の知人から耳にするたびに、胸のどこかがざわつきました。
うまくいかないだろうという気持ちと、どこかで応援したい気持ちが混ざり合っていた。それをどう整理すればいいかわからないまま、自分はただ会社員としての日々を送っていました。
仕事は安定していたので、「堅実に生きている自分」の方が彼女よりも偉いという感覚が支えになっていた部分もありました。でも今思えば、それは不安を押し込むための言い訳だったかもしれません。
会社が倒産した日
勤めていた会社が倒産したのは、彼女と別れてからずいぶん経ったころでした。
突然のことで、収入も肩書きも一度に失いました。その夜、ひとりでアパートに帰り、スーツのまま床に座り込んで天井を見上げました。再就職活動もうまく進まず、面接に落ちるたびに胃の奥がじわりと重くなっていく日が続きました。
そんな焦りと後悔が重なっていく中で、ふと彼女のことを思い出しました。「成功するはずがない」と言った自分が、気づけば足元をすくわれていた。あのとき彼女を見下していた自分の傲慢さを、ようやく認める気持ちになれた気がしました。
そして…
勇気を出して、彼女の店を訪ねました。そこには、複数の店舗を束ねるオーナーとして落ち着いた表情で立つ彼女の姿がありました。数年前と変わらない顔なのに、どこか遠くなったように感じました。
「また会いたかった」と伝えました。言葉が出た瞬間、喉の奥が詰まるような感覚がありました。彼女はすぐに、はっきりと言いました。「お互い、それぞれの道を歩んでいきましょう」と。
責める言葉もなく、怒る様子もありません。これからは、自分の足でちゃんと立つところから始めるしかない。そう思いながら、その場を後にしました。
(30代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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