「うるさいんだけど」カフェで嫌味を言う常連女性→子連れに厳しかった"本当の理由"
居心地の悪いカフェ時間
2歳の息子を連れて通う、自宅近くの小さなカフェ。ベビーカーでも入りやすく、店主も子連れに優しいその場所は、慌ただしい毎日の中での唯一の息抜き場所でした。
しかしいつも窓際の席に座っている常連の女性が、私たち親子が入店するたびに眉をひそめるのです。息子が少し声を上げるだけでわざとらしいため息をつき、「うるさいんだけど」と聞こえるように呟くこともありました。
店員さんに相談してみたものの「常連のお客様なので…」と言葉を濁されるばかり。次第に、このカフェに来ることをやめようかと悩むようになっていきました。
女性が、泣いていた
ある日、息子を連れていつものカフェへ向かうと、窓際の席でその女性がうつむいているのが見えました。肩が小さく震えていて、泣いているのだと気づくまでに時間はかかりませんでした。
ちょうど店主と言葉を交わす機会があり、そっと事情を聞いてみると、女性が長く不妊治療を続けていることを教えてくれました。
このカフェは彼女にとっても、治療の合間の唯一の息抜き場所だったのです。子連れの親子を見るたびに、自分がまだ手に入れられないものを突きつけられるようで、心が乱れてしまう。そんな複雑な思いを抱えていると知り、私は言葉を失いました。
「お気持ち、分かります」
しばらく迷いましたが、帰り際に女性の席へ近づきました。
「突然すみません。…お気持ち、少し分かります」と伝えると、女性は驚いた表情でこちらを見ました。
私自身も、息子を授かるまでに時間がかかったこと。あのころの焦りや悲しさを、今も忘れていないこと。うまく言葉にはできなかったけれど、女性はゆっくりと頷いてくれました。
それからは、顔を合わせると会釈を交わすようになり、やがて少しずつ言葉も交わすようになっていきました。嫌味を言われていたあのころとは、何かが変わっていきました。
そして…
それから数カ月が経ったある日、カフェで女性が私のそばにやってきました。「実は…」と、そっとエコー写真を差し出してくれました。
「一番最初に伝えたくて」と照れくさそうに笑う彼女の顔を見て、胸の奥が温かくなりました。あのとき声をかけてよかった。ただそれだけを思いました。
息子の小さな手を握りながら、「またここに来よう」と自然に思えた自分がいました。
(30代女性・販売職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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