「そんな男はやめておきなさい」娘の結婚に猛反対した私→本当の理由を娘に打ち明けられなかったわけ
初めて彼を見た瞬間、一瞬時が止まった
娘から「大事な話がある」と言われ、彼を紹介された日のこと。リビングのドアを開けて現れた彼の顔を見た瞬間、私の中で時間が止まったような感覚がありました。
背格好、話し方、少し人なつっこい笑顔。若いころの元夫に、あまりにもよく似ていたのです。
娘の前では平静を装いましたが、胸の中は波立っていました。「いい印象を持てない」と伝えるのが精一杯で、理由を言葉にすることなどできなかった。あの日から、私の葛藤が始まりました。
娘に、父親の悪口だけは言いたくなかった
元夫とは長い年月をかけて別れました。楽しい時間もあった。でも、どれほど苦しい思いをしたかも、今でも忘れられない。
そういう男性と同じ道を、娘に歩ませたくなかった。それだけが反対の理由でした。「あの人は若いころのお父さんに似てる」と伝えれば、きっと娘にも理解してもらえた。
でも、そのためには元夫の話をしなければなりません。娘にとって父親でもあるあの人の悪口を、私の口から言うことがどうしてもできなかった。
理由を聞かれるたびに「とにかく、そんな男はやめておきなさい」と繰り返すしかなかった。娘が傷ついているのは分かっていました。それでも、言葉が出てこなかったのです。
娘の言葉で、ずっと堪えていたものが溢れた
ある日、娘が私と話したいと言うので話し合う事に。「お母さんが苦労してきたこと、知ってるよ。でも彼はお父さんとは違う人だから」と、まっすぐな目で言ったのです。
娘が、すべてを知っていた。そのことに気づいた瞬間、長い間こらえていたものが一気に溢れ出しました。
「分かってる。本当はあの子のこと、いい子だと思ってた」
そう口にしたとき、自分の中でようやく何かが解けた気がしました。結婚式の日、私は彼の前で頭を下げました。「娘を頼みます」と。それが、私なりの精一杯の気持ちの伝え方でした。
そして…
娘夫婦は仲良く暮らしているようです。ときどき顔を見せてくれると、ふたりの間に流れる穏やかな空気に、胸がほっとします。
あのとき反対したことを、後悔してはいません。でも、素直に理由を話せなかったことは、ずっと心に引っかかっていました。娘が「お父さんとは違う人だから」と言ってくれたあの一言が、私の長い葛藤に終止符を打ってくれた。
娘の幸せそうな顔を見るたびに、あの心配は必要なかったのだと、少しずつ思えるようになっています。
(60代女性・介護職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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