弟嫁に料理対決を挑んで「完敗」した日、義母に言われた一言が今も胸に刺さっている
高級食材という「鎧」
裕福な家に嫁いでから、私が作る料理は変わりました。スーパーではなくデパ地下で、ブランド牛やオーガニック野菜を選び、高い調味料を揃える。そうして作ったものこそが「ちゃんとした料理」だと思っていたのです。
正直に言えば、弟嫁のどこにでも出てきそうな家庭的な料理を見るたびに安心していました。私の方が上だ、と思っていたのです。けれどそれは料理の腕ではなく、食材の値段で自分を測っていただけでした。そのことに気づいたのは、ずっと後のことです。
「軽い気持ち」のつもりだった
正月の席で料理対決を提案したとき、心の中では勝利を確信していました。弟嫁は控えめな人で、きっと断るだろうと思っていたのです。だから「いいですよ、やりましょう」というまっすぐな返事には、正直少し焦りました。
それでもすぐに「高級食材で作る私の料理に、庶民的な材料で勝てるわけがない」と自分を落ち着かせました。対決の前日、張り切って仕入れた食材の合計は3万円を超えていました。「こんなにお金をかけたんだから大丈夫」。負ける気は、まったくありませんでした。
誰一人、私を選ばなかった
でも現実は私の理想とまるで違いました。親族全員が弟嫁の料理に手を挙げたのです。ありえない。こんなことがあるはずがない。思わず「庶民の味覚じゃ分からないわよ」と口にしていました。
言った瞬間、自分でも醜いと感じましたが、もう取り消せません。義母に言われた「普段から人を見下さなければ、恥をかかずに済んだのよ」という言葉が、じわりと、そして深く胸に刺さりました。
そして...
後から知りました。弟嫁は結婚前に、都内の有名レストランで3年間修業していたことがあったそうです。彼女は一度もそれを口にしませんでした。私が「庶民」と決めつけていた相手は、料理のプロだったのです。
思い返せば、私は弟嫁のことを何も知りませんでした。知ろうともしなかった。「育ちが違う」と壁を作っていたのは、最初から私の方だったのです。あの日以来、高い食材を手に取るたびに、義母の淡々とした声が耳の奥で響いています。
(30代女性・専業主婦)
本記事は、読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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