「時短は甘え」と言い続けた私→妊娠して初めて自分の愚かさに気づいた話
「時短は甘え」──本気でそう思っていた
同じチームの同僚が、出産後に時短勤務で復帰してきました。上司は快く受け入れていましたが、私は納得していませんでした。
「時短って結局、甘えだよね」「私たちがその分カバーしてるの、わかってる?」
面と向かってそう言ったこともあります。ミーティングでは全員の前で「やっぱり時短だと、チームに迷惑かかりますよね」と発言しました。彼女が退勤準備を始めるたび、わざと聞こえるようにため息もついていました。
彼女は何も言い返しませんでした。ただ「すみません」と頭を下げ、翌朝は誰よりも早く出勤し、昼休みも削って仕事をしていました。
その姿を、私は知っていました。知っていて、認めたくなかったのです。認めてしまえば、長時間働いていることだけを拠り所にしていた自分の価値が、揺らいでしまう気がしたからです。
妊娠して、すべてが自分に返ってきた
2年後、私は結婚し、妊娠しました。彼女は笑顔で「おめでとうございます」と言ってくれました。あれだけひどいことを言った私に。
つわりが始まると、想像を超える辛さでした。「早退させてほしい」と上司に頼んだ瞬間、彼女の姿がよぎりました。産休後は時短勤務で復帰したいとも相談しました。あのとき「甘え」と断じた制度を、今度は自分が頼ろうとしている。
それでも私は彼女のデスクに行って言ったのです。「時短のこと、教えてもらえませんか?経験者に聞くのが一番かなと思って」
「みんな覚えてますよ」
後輩がぽつりと言いました。「前に“時短は甘え”って言ってましたよね。みんな覚えてますよ」
誰も何も言わなかったのは、同意していたからではなく、呆れていたから。私は同僚ひとりをいじめていたつもりで、実はチーム全員の信頼を失っていたのです。
上司もこう言いました。「時短は制度として認められている働き方だ。甘えでも特別扱いでもない。誰が使っても同じだよ」
私はうつむいたまま、何も言えませんでした。
そして...
数日後、私は同僚に頭を下げました。「あのとき言ったこと、本当にごめんなさい。自分がその立場になって初めて分かった」
彼女はしばらく黙った後、こう言いました。「正直、すごく辛かったです。でも、気づいてくれたなら、それでいいです」
救われてしまった自分が情けなかった。あれだけのことを言い続けたのに、彼女は最後まで同じ言葉をぶつけ返してこなかった。黙って耐えていたのは、弱さではなく強さだったのだと、ようやく理解しました。
今、私は産休に入っています。復帰後は時短勤務を利用する予定です。彼女が毎朝感じていたであろう申し訳なさを、今度は私が背負うことになります。それは当然の報いだと思っています。
(30代女性・会社員)
本記事は、読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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