「SKIN 短編」

「SKIN 短編」「THE 3名様」など、時間がない中でも楽しめるショートフィルム&ショートドラマを一挙紹介

2025.06.08 12:00
「SKIN 短編」

アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2025」が、5月28日から6月11日(水)に開催中。本記事では同映画祭に伴い、おすすめのショート作品をいくつか紹介していく。

アメリカの人種差別問題に切り込む「SKIN 短編」

ガイ・ナティーヴ監督が製作したショートフィルム「SKIN 短編」(2020年日本公開)。過去の自分と決別するため計25回ものタトゥー除去手術に挑む男性を追うテレビドキュメンタリーに感銘を受け、長編映画「SKIN/スキン」(2020年日本公開)の製作を企画したナティーヴ監督。

しかしその内容に賛同する映画会社が現れず、製作資金を募るために“ショートフィルム”という形で本作を自己資金で製作した。作中では白人と黒人の“人種問題”を子どもの視点を織り交ぜながら描き、アメリカにおいての“レイシズム”の現実を観客に問うという、長編と異なるアプローチをしている。そんな本作は2019年「第91回アカデミー賞」で短編映画賞を受賞した。

白人至上主義者の父親・ジェフ(ジョナサン・タッカー)と、夫が過激な行動を取らないよう警戒する妻・クリスティ(ダニエル・マクドナルド)。そんな彼らの息子の少年・トロイ(ジャクソン・ロバート・スコット)は、父親や仲間たちから銃の扱い方を学ぶ日々を送っていた。ある夜、家族3人で出かけたスーパーで一人のアフリカ系男性とトラブルになったジェフ。彼は仲間を呼んで男性を半殺しにしてしまうが、その後ジェフはアフリカ系男性の仲間によって拉致されてしまい――。

“因果応報”とも取れる皮肉な悲劇を、シンプルながらハイクオリティに仕上げた本作。約20分の中に詰め込まれた、パワフルかつショッキングな描写や展開が見どころとなっている。

活躍中の俳優が監督に挑戦した「アクターズ・ショート・フィルム」1~3

5人の俳優がショートフィルム制作に挑戦するという、WOWOW開局30周年を記念して立ち上げられた企画「アクターズ・ショート・フィルム」。すでに俳優としての実績を積み上げてきた俳優陣が、“尺は25分以内”“予算は全作共通”“原作物なし”“監督本人の出演”という条件のもと、さまざまなジャンルのショートフィルム作品(オムニバス作品)を製作している。

2021年公開の「アクターズ・ショート・フィルム」で監督を務めたのは、磯村勇斗、柄本佑、白石隼也、津田健次郎、森山未來の5人。近未来社会を描いた作品や、人助けのために奔走する男性を描いた作品などが並ぶ中、森山が監督を務めた「in-side-out」が見事「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2021」のジャパン部門にノミネートされた。

「in-side-out」は森山と公私で交流が深い永山瑛太主演で、コロナ禍により身近になった“孤立”をテーマに、ある男の妄想と現実の狭間で生きる様子を描いている。

また、2022年公開の「アクターズ・ショート・フィルム2」では青柳翔、玉城ティナ、千葉雄大、永山、前田敦子がショートフィルム作品を製作。村上虹郎や見上愛、役所広司、橋本マナミなど豪華俳優陣も出演する中、千葉が監督を務める「あんた」で主演を務めた伊藤沙莉がジャパン部門の「ベストアクターアワード」を受賞した。

本作では、キャンプを楽しむ男(千葉)と女(伊藤)の会話劇が繰り広げられ、男のある一言によって2人の関係に歪が生じていく様子が描かれる。

そして、2023年公開の「アクターズ・ショート・フィルム3」では、高良健吾、玉木宏、土屋太鳳、中川大志、野村萬斎が監督に挑戦。中でも、窪田正孝主演で野村が監督を務めた「虎の洞窟」は、「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2023」のジャパン部門において、観客の投票により選ばれる「オーディエンスアワード」を受賞した。

そんな本作は、シェイクスピア「ハムレット」と中島敦「山月記」をモチーフに、現代の孤独な青年の心象風景を抉るように描き出している。社会に自分の居場所を見いだせない男(窪田)が、やがて“虎”になっていることに気付くという斬新なストーリー設定に注目だ。

福田雄一監督が手掛けるゆるい脱力系作品「THE 3名様」

日本ではショートフィルム作品だけでなく、数多くのショートドラマ作品も手掛けられてきた。

例えば「THE 3名様」(2005年製作)は、石原まこちん氏のコミックを原作に、1話完結のショートストーリーを約30分の中に10話収録した脱力系ショートドラマだ。「勇者ヨシヒコと魔王の城」(テレ東系)や「今日から俺は!!」(日本テレビ系)などで知られる福田雄一が脚本・演出を務め、フリーターのジャンボ(佐藤隆太)、まっつん(岡田義徳)、ミッキー(塚本高史)の3人が深夜のファミレスで巻き起こす人生劇場を描いている。

そんな本作では、脱力系のゆるい内容の中に組み込まれたセリフの数々や、テンポの良い会話劇が見どころ。福田監督らしい一作に仕上がっており、実力派俳優3人が醸し出す親近感のある自然な雰囲気にも注目したい。

“ようようコンビ”主演、元夫婦の会話劇が繰り広げられる「2020年 五月の恋」

大泉洋と吉田羊の“ようようコンビ”が主演を務め、1話あたり14分程度の全4話で構成されるショートヒューマンドラマ「2020年 五月の恋」(WOWOW、2020年放送)。リアリティあふれる会話劇をメインに物語が展開していき、「東京ドラマアウォード 2020」単発ドラマ部門では優秀賞を受賞した。

物語の舞台は、コロナ禍の2020年5月の東京。大手スーパーマーケットで働く独身バツイチのユキコ(吉田)と、設計会社の営業マンで同じく独身バツイチのモトオ(大泉)の2人は4年ほど前に離婚をした元夫婦だが、ある時モトオがユキコに間違い電話をしたことから、2人は再び関わるようになる――。

ドラマ「99年の愛 ~JAPANESE AMERICANS~」(TBS系、2010年放送)で共演し、NHK大河ドラマ「真田丸」では夫婦役を演じるなど、何かと縁のある“ようようコンビ”。本作でも、長年の付き合いならではのコンビネーションを見せており、台本かアドリブか分からないほどの息の合った演技や圧巻のセリフ回しが見どころとなっている。

なお動画配信サービス・Huluでは、今回紹介した「SKIN 短編」や「アクターズ・ショート・フィルム」シリーズをはじめ、「THE 3名様」「2020年 五月の恋」などのショート作品を見放題配信中。

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