森七菜、“チャンバラ”で吉沢亮とコミュニケーション「敬語で殴りかかったのは初めてでした」

2025.06.07 05:15

6月6日に都内で開催された映画「国宝」初日舞台あいさつに、主演の吉沢亮、共演の横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ、森七菜、見上愛、黒川想矢、越山敬達、永瀬正敏、宮澤エマ、田中泯、渡辺謙、メガホンをとった李相日監督が登壇。本作を通して感謝・感動を伝えたい人について語る場面があった。

吉田修一氏×李相日監督が3度目のタッグ

「国宝」は、吉田修一氏が本作の歌舞伎指導も務めた中村鴈治郎の下で3年間歌舞伎の黒衣をまとい、楽屋に入った経験を血肉にして書き上げた同名小説を「悪人」(2010年)と「怒り」(2016年)でもタッグを組んだ李監督が映画化したもの。任侠の一門に生まれながらも歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公・喜久雄(吉沢)の50年を描いた壮大な一代記。

この世ならざる美しい顔を持つ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎(渡辺)に引き取られ、歌舞伎の世界に飛び込む。そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介(横浜)と出会う。生い立ちも才能も異なる2人はライバルとして互いに高め合い、芸に青春を捧げていくが、多くの出会いと別れが、運命の歯車を大きく狂わせる――。

舞台あいさつの後半には、出演キャストとして本作を通して感謝・感動を伝えたい人について、をテーマにトークを展開。

主演の吉沢は「本当にこの作品に関わった全ての方に心から感謝ですし、誰一人として欠けてはならない方々でした」とした上で、「個人的に歌舞伎の所作だったり、舞踊の指導に入ってくださった(中村)鴈治郎さんと(振付担当の)谷口(裕和)先生。お二人がいないと僕なんかスタートラインにも立てないような状況で、1年半という時間をかけて丁寧に丁寧に一つずつ共に積み上げてくださったので、本当にお二人には心からの感謝です。皆さまそうですけど、本当にお二人のおかげでこの作品で表現ができたので心から感謝しています」と、“恩師”たちに感謝を込めた。

喜久雄の幼なじみで恋人の春江役の高畑は「劇中ではお二人(喜久雄と俊介)を見守ると言いますか、客席から見つめさせてもらうような立場だったんですけど、見ているとハラハラしたり、けがしないかなとか、こういうところがすてきだなとか、いろんな感情が渦巻いて。今まで自分が舞台などに出ているときって、パフォーマンスすることに全部気がいってしまっていたんですけど、見守っている人ってこんな気持ちなんだなと。いつも突っ走っている自分を見守ったり、支えてくれる人に感謝の気持ちが湧きました」と今作での経験を経て“見守る側”の気持ちに寄り添えたことを明かし、感謝した。

森、吉沢と“チャンバラコミュニケーション”

また、喜久雄を兄のように慕う彰子役の森は「この作品に参加させていただけたこと自体がありがたいことなんですけど」と前置きし、「吉沢さんは(今作の撮影で)ご一緒する前に監督と3人で読み合わせをさせていただいて、そのときにチャンバラをやったんですよ」と打ち明ける。

MCから「そんなシーンありましたっけ？」と問われると、森は「シーンはないんですけど、(喜久雄を)慕う役だったのですが、初めましてに等しい状態だったので、チャンバラをやらせていただいて、『元気？』『はい！元気です』みたいな(笑)。敬語で殴りかかったのは初めてでした。すごく緊張していたんですけど、本気で吉沢さんも殴りかかってくれたので感謝しています」と、ちゃめっ気たっぷりに撮影前の“チャンバラコミュニケーション”を振り返った。

それに対し、吉沢は「ありましたね(笑)。まずは刀で交わってからだ、と」と述懐し、「ちゃんと発泡スチロールの剣ですからね！一番当たっても痛くないやつ」と安全性はバッチリだったことも付け加えていた。

最後に吉沢は「本当に魂を込めた作品です。僕や流星は1年半の準備期間を一つの役に込めるというのはなかなかできる経験ではないですし、冗談抜きでこれまでの役者人生すべてをかけたと思っています。本当に素晴らしい至極のエンターテインメント作品が生まれたと思っております。映画『国宝』を皆さまと一緒に盛り上げていけたらうれしいです」と観客に呼び掛け、イベントを締めくくった。

映画「国宝」は全国公開中。

◆取材・文=月島勝利(STABLENT)