坂東龍汰

坂東龍汰、尊敬する俳優は「ホアキン・フェニックス。僕にとって大きな存在です」<君の忘れ方>

2025.01.17 08:30
坂東龍汰

2024年10月期のドラマ「ライオンの隠れ家」も好評だった坂東龍汰が単独初主演を飾る映画、「君の忘れ方」が1月17日(金)より公開される。同作は、結婚を間近に控える恋人・美紀(西野七瀬)を交通事故で突然亡くした昴が、不思議な体験を通して美紀の死と向き合っていく姿を描く。このたび、WEBザテレビジョンでは昴を演じた坂東にインタビューを実施し、作品への思いや演技への姿勢、尊敬する俳優について語ってもらった。

「昴として生きた1ヶ月はとても濃かった」

――坂東さんはたくさんの作品に出演されていますが、意外にも本作が映画単独初主演ですね。

単独初主演というのはもちろん嬉しいことなのですが、最初はどうしても力んでしまったし、テーマがテーマなので構えてしまうところはありました。他人事とは思えなかったです。

――どういったところから作品と向き合っていったのでしょうか?

まず監督といっぱい話をしました。監督も実際に大切な人を亡くした経験があってこの作品を作ることになったと聞いていたので、当事者の気持ちがわかる人がいるというのはすごく頼りになりました。主演作として力んでしまっていることを話したら今回はそういった客観的な見方を一回捨てて、昴として主観でいてほしいと言われて、肩の荷が下りて役に入ることができました。撮影前に監督や共演の西野さんと時間を共有して、気持ちのすり合わせができる時間を長く持てたので、いい状態で撮影に入ることができました。

――実際に昴を演じられていかがでしたか?

昴を生きた1ヶ月はとても濃かったし、撮影期間中に自分の心の深いところに触れてくる瞬間はあったので、やって良かったなって今は思いますね。

――具体的にどのシーンだったかお聞きしてもいいですか?

後半はすごく僕も混乱したし、つらいなって思う瞬間もあったんですけど、脚本が優しく寄り添ってくれて。決して暗いだけの話ではないので、後半に進むにつれて自分の心が浄化されていくというか、忘れないことの大切さを改めて思い出させてくれました。過去にあったこともひっくるめて肯定されているように思えたのは僕にとってとても良かったし、昴と一緒にそれを経験することができました。

「役と向き合う姿勢はすべての役において変わらないです」

――この作品はともすればお涙頂戴に陥ってしまう要素もあると思うのですが、安易に感情を煽るように感じず、深く心に響いてきました。何か演じるときに注意されていたことはありましたか?

脚本自体がそういう作りじゃないんだと思います。昴の心の変化を丁寧に追っていて、劇的なシーンがあるわけではないんです。だけど、じわじわと心に染みてくるような映画だと思います。ドキュメンタリーではないですけど、僕がその瞬間に感じてることしかやらない、感じないことはやらないということは大切にしていました。劇的に泣いたり叫んだりする演技があるとインパクトは出るとは思うんですけど、それって結局、何かを見せようっていうエゴと我が出る。それは“俳優・坂東龍汰”としてメリットがあるかもしれないけれど、この作品にとってそれが必要かと考えたときに僕はそうとは思わなかった。引き算の中で生まれてくるものの方が…いや、引き算も足し算もなく、ただそこにいるってこと以外にやりようがない、それが主観になるってことなのかなって思いました。

――演じることに対してとても繊細で複雑で、それでいてシンプルにとらえられていると感じました。「ライオンの隠れ家」での坂東さんの演技も話題となりましたが、「ライオンの隠れ家」で1番難しかったところを教えてください。

全部ですね、全部難しかった。撮影前にさくらんぼ教室を見学させてもらって自分が実際に見たり聞いたりしたことを大切にしていますが、インプットしたことをすべてアウトプットできるわけではないですし。監修の方たちと毎回現場で「みっくんだったらきっとこうだよね」って確認しながら撮影していました。

――自閉スペクトラム症の役やトランスジェンダーの役など一般的に難しい役と言われる役を演じられていますが、平均的な男性像とどちらがやりがいがあるなどありますか?

どの役も同じぐらい大変です。それぞれに違う難しさがあるだけであって、役と向き合う姿勢はすべての役において変わらないです、僕のスタンスは。

「尊敬する俳優は「ホアキン・フェニックス。僕にとって大きな存在です」

――坂東さんにとって仕事のモチベーションや軸とされているものがあれば教えてください。

見てくださった方から「良かった」と言ってもらえるのは、すごく原動力になります。 頑張ってきて良かったなって。

――SNSのリサーチやエゴサってされますか?

たまにしますね。オンエアを見ながら何か反応あるかなとか。ドラマってそういう声がダイレクトに届くので嬉しいですね。

――坂東さんが尊敬されてる方はどなたですか?

ホアキン・フェニックスです。

――それはご自身がなりたい理想像ですか?それとも共演してみたいと思いますか?

もう僕にとって大きな存在です。「ジョーカー」や「ザ・マスター」も好きですけど、なかでも「her/世界でひとつの彼女」が好きですね。いつか共演できると嬉しいです。

――共演されることを楽しみにしています。では、最後にこの作品をどんな方にどんなところを見てほしいか教えてください。

決して暗いだけの映画ではないし、その人その人の今生きてる状況だったり、周りの人たちとの関係などによって受け取り方がまったく違うと思います。喪失を味わったことのある人は優しく寄り添ってくれるような作品になってると思うし、大切な人との別れは誰しも避けては通れないものだと思うので、身の回りに起きたときに思い出していただけると嬉しいです。ラブストーリーだけじゃなくヒューマンサスペンスの部分もあるので、映画としても楽しめる作品になっていると思います。

◆取材・文=入江奈々

撮影=ナカムラヨシノーブ

ヘアメイク=後藤泰(OLTA)

スタイリスト=李靖華

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