小栗旬監督のトークに会場は大爆笑 藤森慎吾への主演オファーは「引くに引けなくて…言っちゃった手前、仕方なく(笑)」
「MIRRORLIAR FILMS Season6」が東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか、全国の劇場で2週間限定公開中。12月15日には公開記念舞台あいさつが東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で行われ、「1/96」で主演を務めた藤森慎吾、プロデューサーの伊藤主税と下京慶子が登壇。さらに、「1/96」の小栗旬監督がサプライズで登場し、撮影中のエピソードなどを語った。
山田孝之らがプロデュースする短編映画制作プロジェクト
「MIRRORLIAR FILMS」は2020年に始動した短編映画制作プロジェクト。伊藤、阿部進之介、山田孝之らがプロデュースを担当し、メジャーとインディーズの垣根を越えて映画を作り上げている。
これまで、Season1~5では俳優や映画監督、漫画家、ミュージシャンらが監督した42本の短編映画を劇場公開。
著名クリエイターの作品から一般公募作品まで、多彩な短編映画が集まっており、シーズン7には監督として加藤浩次、加藤シゲアキの参加が決定するなど、注目クリエイターが続々とプロジェクトに加わっている。
藤森慎吾が小栗旬監督の不在をボヤく
映画上映前にステージに登壇した藤森は、大勢の観客で埋まった会場内を見渡して「良かった!お客さんに入っていただいて。今日は心配しておりました、藤森、1人で心細いなと思っていたので。ありがとうございます」と安堵の表情を見せる。
「1/96」は、仕事と育児に追われ、疲れ果てた男が“15分間の逃避行”を通じて、父親の本音をあふれさせ、つかの間の自由を謳歌(おうか)する様子を、モノローグ形式で描き出した短編映画。くしくも2024年11月に第一子の誕生を報告したばかりの藤森に向けて、会場からは祝福の拍手が起こる。
その様子に笑顔を見せた藤森は、「タイミング的には不思議だったというか。去年この映画を撮影したときはまだ独身でした。それで最初に小栗さんからお話をもらったときは、『子供がいる父親の役なので。藤森くんにはあまり想像もつかないかもしれないけど、やってみてくれないか』と声を掛けてもらったんですけど、まさか上映のときに父親になっているとは思いませんでした」としみじみ。
もちろん家族を愛してはいるものの、その中で日々、積もり積もっていく父親としての葛藤や、不満を吐露していく本作。「正直、娘が生まれて1カ月なんですけど、全くそんなことを思わない、本当に子供がかわいくて。こんなこと言っていいのか分からないですが、今のところこの作品に全く共感していないんです(笑)。これは監督に怒られちゃいますね(笑)」と笑う。
「僕は小栗くんの家にもよく遊びに行くんですが、本当にすごいですよ。どこからか音が聞こえたり、叫び声が聞こえたりする中で、お父さん、お母さんが日々戦っているんだなと考えると、もしかしたらこういう1コマもあるのかなと共感できる部分もありました」と小栗監督の気持ちに思いをはせる。
「MIRRORLIAR FILMS」のテーマの1つとして地域創生を掲げており、本作の撮影は秋田で実施。「結構タイトなスケジュールだったんですけど、楽しかったですね。修学旅行感覚というか、撮影が終わったら小栗くんと一緒に飲みに行ったりして。ただ、ちょっとスケジュールが大変でした。ちょうど寒い時期で、夜の撮影だったのでつらかったですね」と振り返る。
伊藤プロデューサーも「小栗さんは以前、長編映画を撮られていたこともあるということで、現場の演出や采配は見事なものだったんですが、何といっても藤森さんですよね。運転をしながら、お芝居もやって。小栗さんを中心に本当にチームワークが素晴らしかった。藤森さんも大変だったと思うんですが、小栗さんが彼らの思いを受け取って、その姿で引っ張っていただいたのが印象的でしたね」と語る。
そんな中、改めて観客に向かって藤森は「大体こういうときって監督が来ますよね。小栗旬は何やってるんですかね?最初はみんなで舞台あいさつだねなんて話をしていたんで。こっちも意気揚々とバチッとスーツでも着て……と思っていたのに、藤森1人だなんてね」とボヤキ始め、その流れで会場の観客からの質問を受け付けることに。
小栗旬監督のサプライズ登場にザワつく会場
最初の女性客からの質問は「もしご自身が監督をするとしたらどんな作品を?」というもの。それに藤森は「実は私、以前、吉本興業にいたときに映画を撮ったことがありまして。ショートムービーで、チャラ男のロードムービーだったんですけど、これが非常にいい作品でした。当時は20代後半くらいだったんですかね。ちょうど、チャラ男として成熟をし切るかどうかという時期で。そのとき、そのときに、自分が1番体重を乗せられるものが、撮りたい衝動につながるのかなと思う」と回答。
「だから今、チャラ男のロードムービーを撮ろうとは思わないですし、今は家庭ができたということもあるので、家族にまつわる話にも興味がありますし、全然関係ないものも撮ってみたいです」と語り、「でも、もし次の監督をするなら小栗旬を使いたいなと思います。それは断らせないですよ!」とぶちまける藤森。
下京プロデューサー、伊藤プロデューサーも「そのときはぜひ『MIRRORLIAR FILMS』で」とラブコールを送ると、「いろんな壁は超えないといけないかもしれないですけど、絶対にやってみたい」と意気込む。
さらに、もう1人の男性客からの質問も受け付けることに。「僕、この映画をよく見ているんですけど、冒頭の方の藤森さんの演技がすごく硬く感じるんですが。あれはどういう芝居なんですか?」という質問を聞いていた藤森は、マスク姿の男性の声、そして全体の雰囲気から、その正体が小栗監督であると気づいた様子。
「あれ…?え…?うそ!」と畳み掛けると、「今日いたんじゃない!知らなかった。どういうサプライズなの?」と興奮まじりに語る。そして、「だったら早く出てきてよ。うれしい!」と笑顔を見せ、会場の観客に「お客さんにもサプライズだったんでしょ?(女性客に)何で急に髪の毛を直しはじめているの?“私、大丈夫かしら”って感じで」とツッコみ会場は大笑い。
「ずっと(舞台あいさつを)聞いていました。すごい汗かいてますね」と語る小栗監督に、「そりゃそうですよ。何とか1人で頑張って盛り上げなきゃと思っていたんですから」と返す藤森。そして、改めて藤森の芝居が硬かったことを小栗監督がイジり始め、藤森は「あれは緊張ですよ。小栗監督がいて、スタッフの皆さんもいるしね」と話す。
さらに、劇中での歩き方がぎこちなかったと小栗監督が指摘すると、「ただ真っすぐ歩くだけのことが、あんなに難しいとは思わなかった」と振り返る藤森。小栗監督も「なるほどな、ただ歩くのってけっこう難しいことなんだなと。あのとき、僕も初めて気付きました」とフォローしつつ、「本当にガチガチでしたね」と冗談めかして会場を沸かせる。
立ち上がりこそ緊張でガチガチだったという藤森だったが、「そこからの伸びはすごかった。どんどんどんどん良くなっていった」と小栗監督は感心。
ときには「小栗監督ならどう演じるんですか?」とアドバイスを求めるひと幕もあったそうで、藤森もそれを芝居の参考にしていたというが、「でも、途中から『あれ?俺がやれば良かったかな』と思った」という小栗監督の言葉に会場も大爆笑。「そりゃそうかもしれないけどさ、絶対にそんなこと言っちゃ駄目よ」とボヤく藤森に、会場はドッと沸いた。
小栗旬監督のトークで会場は爆笑の渦に包まれる
小栗監督は、藤森に主演のオファーを出した理由について「元々は違う企画を考えていて。その企画のお父さん役を藤森くんにお願いしたいと思っていたんですよ。でも、企画がどんどん変わっていく中で『1/96』にたどり着いたんですけど、以前の企画の時点でやってほしいと藤森くんに話していたので、だから引くに引けなくて。言っちゃった手前、仕方なく…(笑)」とジョークを交えて語る。
藤森も「引くに引けないキャスティングってなんだ!?数々の舞台あいさつがあるけど、監督が『引くに引けなくて』と言うなんて前代未聞だよ!」とツッコんで笑いを誘う。
さらに、「でも、さっきの話の流れだと、もしかしたら藤森さんが撮る可能性もありますよね」と語る小栗監督に、「控室ではチャラ男の続編と言ってましたね」と明かした伊藤プロデューサー。それを聞いた小栗監督が「でもチャラ男の続編だったら、俺は絶対に出ないですけどね。それはご自身でやってください」とキッパリ言い切って会場は大爆笑。
と言いつつ、シーズンごとに作品と作品とのバトンタッチができるかもしれない『MIRRORLIAR FILMS』の可能性に、登壇者たちも口々に「面白いですね」と言い合う。
そして、最後に小栗監督が「すてきな藤森くんを堪能していただきたいですし、他の4本の作品も非常に面白い作品となっておりますので、全部ひっくるめて、この短い中で作品を伝えていく面白さを味わっていただけたらうれしいです」とアピール。
藤森も「小栗監督が、これを『藤森慎吾の代表作にする』と真面目におっしゃってくれたことが、僕もものすごくうれしくて。撮影も、これからの自分のお芝居の仕事をしていく中で、本当に貴重な体験をさせていただきました。本当に素敵な作品になったので、ぜひご覧になって感想を聞かせてください」とメッセージを送る。
さらに、「とにかく、監督がサプライズで来てくれたことが本当にうれしくて。この間会ったときには何も言ってくれなかったのに」と続けると、小栗監督も「サプライズだから言うわけない」と返し、会場を沸かせて舞台あいさつを終えた。
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