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ハートの女王&シンデレラの娘による“夢のタッグ”が胸アツ…粋なキャスティングも光る「ディセンダント」最新作
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ウォルト・ディズニー・ジャパンが手掛けるミュージカル映画シリーズ最新作「ディセンダント ライズ・オブ・レッド」が、7月12日に配信された。同シリーズは、“もしディズニー・キャラクターに子孫がいて、10代だったら?”というユニークな発想から生まれたオリジナル作品。「美女と野獣」のベルやビーストなどの善人が暮らすオラドン合衆国と、魔法のバリアによって覆われたヴィランズたちが暮らすロスト島を舞台に、「眠れる森の美女」マレフィセントの娘・マル(ダブ・キャメロン)や「白雪姫」イーヴィル・クイーンの娘・イヴィ(ソフィア・カーソン)など、ヴィラン・キッズの葛藤や成長、友情・恋などをポップなミュージカル音楽とともに描いた本シリーズは、世界的な大ヒットを記録している。シリーズ第4弾となる今作を幅広いエンタメに精通するフリージャーナリスト・原田和典氏が視聴し、独自の視点でのレビューを送る。(以下、ネタバレを含みます)
歴史にあぐらをかかない大胆な試み
100年以上もの歴史の中で数限りない名作を送り出した…いや、これではあまりにも平凡なたとえ過ぎるか。エンターテインメントの旨味で世界中のあらゆる世代を酔わせてきた、それがディズニーの大きさだろう。歴史ある企業にも関わらず「伝統にがんじがらめになって、どうにも自由に動けない」とか、「あくまでも昔のものは昔通りに、一字一句変えるべからず」的な、保存会的いやらしさが感じられないのもディズニー関連作の強みだ。時代に応じてちゃんとアップデートされているし、こちらが逆に「えっ?」と驚いてしまうほど大胆なプラン(というかスピンオフ作品)も、ごくごく軽やかにやりこなして、一流のエンターテインメントとして成立させている。
私にとって、この「えっ?」の最たるものが、「ディセンダント」(原題:Descendants)シリーズである。Descendantsというのは、簡単に言えば“子孫”のこと。ここで話は脱線するが、私はこの言葉を、学生の時に「The Descendants of Mike and Phoebe」というファミリーバンドを通じて知った。演奏者はビル・リーやコンスエラ・リーなどのきょうだいたち。マイクとフィービーが結婚したことで家族の歴史は始まり(それ以前は奴隷にされていたと思われる)、その子孫として自分たちがここにある、ということが作品に込められていた。このビル・リーの息子が、映画監督のスパイク・リーである。
そこで「ディセンダント」に話を戻すと、これには驚かされたものだ。ヴィラン(=悪役)たちの子どもたちがメインの話で、しかも彼らが仲良しなのだから。マル、イヴィ、カルロス(『101匹わんちゃん』のクルエラ・ド・ビルの息子)、ジェイ(『アラジン』のジャファーの息子)。なんともクセの強過ぎる親を持ってしまった4人の葛藤や成長、友情、恋などが、ミュージカル形式で描かれるという大娯楽版だ。発案は、「ハイスクール・ミュージカル」シリーズで大成功を収めたケニー・オルテガ。”もしディズニー・キャラクターたちに子孫がいたら”“その子孫が10代だったら?”との着想が、「ディセンダント」シリーズへとつながった。
最新作では親の青春時代にタイムスリップ
そして約5年ぶりの「ディセンダント」シリーズ最新作となる「ディセンダント ライズ・オブ・レッド」の主人公は「ふしぎの国のアリス」“ハートの女王”の娘・レッド(カイリー・キャントラル)と、「シンデレラ」の娘・クロエ(マリア・ベイカー)。ハートの女王のクーデターを目の当たりにし、レッドがクロエとタイムスリップで母親の青春時代へ。独善的なハートの女王がまだ“いい人”のブリジット(ルビー・ローズ・ターナー)だった頃にさかのぼり、彼女をヴィランに変えてしまう決定的な出来事を止めるべく奔走する。
ハートの女王とシンデレラが元々は仲良しで、その娘たちがタッグを組むという本作ならでは展開は胸アツ。ディズニーシリーズでは異端な作品にはなるのかもしれないが、ディズニー好きだからこそこういう夢のタッグには興奮せざるを得ない。そして正反対なキャラクターをそれぞれ演じるキャントラル、ベイカーという若き2人の才能もまざまざと見せつけられたし、過去を変えることで現在を変えるというタイムスリップものの醍醐味(だいごみ)も味わえるのだ。
ちなみに今作のシンデレラは、R&Bシンガーのブランディが“引き続き”扮している。なぜ“引き続き”なのかというと、1997年制作のテレビ映画「ロジャース&ハマースタイン:シンデレラ」でシンデレラを務めていたからなのだが、アルバム『Never Say Never』が1500万枚以上も売り上げたグラミー賞受賞シンガーの風格あるシンデレラ姿はインパクトも大きかった。また、キング・チャーミングに扮するのは、1997年の作品でチャーミング王子を演じたパオロ・モンタルバン。25年以上の時を経てのブランディとの再会に胸を熱くする視聴者も多いはず。“ハートの女王”には、数々のUKナンバーワン・ヒットを持つリタ・オラが扮(ふん)し、圧倒的な恐怖の表情、存在感を見せつけている。
監督はジェニファー・ファン、振付は「グレイテスト・ショーマン」にも関わったアシュレイ・ウォーレン、音楽は映画「サーチ」も担当したトーリン・ボローデール。楽曲プロデュースではジェイソン・メイターやジョシュ・カンビーが活躍している。ヴィラン好きならずともチェックしておいて損はない作品だ。
「ディセンダント ライズ・オブ・レッド」はディズニープラスで独占配信中。
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