奥平大兼「どの作品でも“自分が主演”という気持ちで臨んでいる」、躍進続く“新進俳優”の想い

奥平大兼「どの作品でも“自分が主演”という気持ちで臨んでいる」、躍進続く“新進俳優”の想い

2023.12.04 12:00
奥平大兼「どの作品でも“自分が主演”という気持ちで臨んでいる」、躍進続く“新進俳優”の想い

2020年に「MOTHER マザー」でスクリーンデビューを果たすと、瞬く間に注目を集めた俳優・奥平大兼。「日本アカデミー賞」「ブルーリボン賞」などで新人俳優賞を受賞し、名実ともに若手実力派俳優の1人となった。今年はアニメ化もされた人気コミック「君は放課後インソムニア」の実写映画で森七菜とW主演をするほか、ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」では物語のキーとなる生徒・星崎透を熱演するなど多彩な活躍を見せた。主演を務めた「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」が12月20日(水)よりディズニープラス「スター」にて世界独占配信。主演映画「PLAY!‐勝つとか負けるとかは、どーでもよくて‐」の公開(2024年3月8日[金])も控えている。11月25日に開催された「第15回TAMA映画賞」では、“本年度最も飛躍した男優、もしくは顕著な活躍をした新人男優”に贈られる「最優秀新進男優賞」を獲得。20歳になって間もない奥平に、受賞の喜びや今後の抱負について話を伺った。

映画賞を受賞できたのは「多くの方々に飛躍したと思ってもらえた証」

――「第15回TAMA映画賞」で最優秀新進男優賞に選ばれたお気持ちを聞かせてください。

2~3年ぐらい前に新人賞をいただいて以来、久しぶりの受賞なので懐かしい気持ちがあります。みなさんに観ていただいて、単純に嬉しいという気持ちです。

――同賞は「本年度最も飛躍した男優、もしくは顕著な活躍をした新人男優」に送られます。どのように受け止めていますか。

自分から見て飛躍したと言われるような、頑張った印象はあまりありません。デビューしてからずっと同じ気合でやっているだけです。でも、多くの方々に飛躍したと思ってもらえたことは、いろいろな作品で活躍できた証拠であると思うので嬉しいです。

――ご自身ではマイペースでやられていたと。

そうですね、無理せず割とマイペースというか。無理してやって、自分のお芝居のクオリティが下がるのは嫌ですし。一個一個の作品に時間を掛けることは大事だと思うので、マイペースにゆっくりやっているつもりです。

――プロの審査員が選ぶ他の賞とは違い、「TAMA映画賞」は多摩市及び近郊の一般市民が選出する賞です。一般の方から選ばれたことについて、どう思われますか。

一般の方々が選んでくれたということは、いろんな方々に映画を観ていただけているわけですから嬉しいです。今回は最優秀新進男優賞なので、次は他の賞で戻りたいと思います。

「どんな形にしても映画の魅力を伝えたい」

――一般の方々の反響を、街やSNSなどで実感することはありますか。

一番実感するのは、映画の舞台挨拶ですかね。これから映画を観るお客さん、観賞後のお客さんを目の前にして、映画の話をするのがもっとも「映画を観ていただけたんだな」と実感する瞬間です。

そのほかに実感できるのは、SNSが大きいと思います。みなさんがSNSに「見てきたよ」と作品に関する写真を上げたり、コメントしているのを見るのも凄く嬉しい瞬間です。

僕はデビューして4年目になるのですが、最初に映画に出たときに「映画見ましたよ」と言われた感覚…そのときの忘れかけていた感覚が、今年になって戻ってきたというか。原作が好きとか、キャスト目当てでも、どんな形にしても映画館に来てくれた方には映画の魅力を伝えたいし伝えるべきだなと再認識したんです。自分ならではのお芝居ができるようになりたいと、今年改めて思うようになりました。

――改めて思ったきっかけは、なにかあったのでしょうか。

今年、久しぶりに地上波のドラマに出演したんです。映画は撮影から1年後ぐらいに公開するので、もちろん撮影中に見た人からの反応はありません。でもドラマは撮影中のタイミングからリアルタイムの感想をもらえるんですよね。

お芝居についてのコメントを見て嬉しく思ったのと、今まで以上に“見られている”感が強くなって。作品の魅力を伝える大切さを再認識することができました。

どの作品でも“自分が主演”という気持ちで臨んでいる

――今年は初主演の「君は放課後インソムニア」が公開されました。撮影中の出来事で、印象的なエピソードがあったら教えてください。

たくさんありますが、ひとつ挙げるとすれば撮影場所の七尾市が印象に残っていますね。作品の原作となるマンガを読んでから七尾市に行ったのですが、マンガで描かれていた現地の良さや美しさには、一切の誇張がなかったんだなと感じました。

また映画を撮るにあたって普通だったら撮影許可が大変なところ、七尾市全体が協力していただいたのも嬉しかったです。さまざまなご協力をいただいたことで、作品のクオリティが上がったんだと思います。

キャストのみなさんや撮影の思い出もたくさんありますけど、今回の一番の思い出は七尾市に行けたことが大きいですね。この映画を通して 原作と七尾市の良さが伝わってほしいなと思っています。

――主演をするうえで意識したことはありますか。

そうか…実は初主演なのか(笑)。主演をやらせていただくことになっても、良い意味であんまり意気込むことはありませんでした。どの作品でも“自分が主演”という気持ちでいるので、そういう意味でいうとあんまり変わらなかったですね。スイッチ入れて、気合入れてというのは特になかったかも。

あとはW主演の森七菜さんがいたので、リラックスしながらやれたのが大きいかもしれません。森さんは先輩だけど、友達でもあるような存在。森さんが隣にいるのは僕的には安心感が大きかったです。

――主演を経験して成長を感じたところはありましたか。

森さんと共演で来たという意味で、得るものは多かったと思います。同世代の中でも森さんは同じ年にアカデミー賞の新人賞を頂いていて、もちろん存じ上げていました。

「君は放課後インソムニア」では森さんのお芝居のタイプは何かを投げかける側、僕は受け止める側としてやっていましたけど、森さんはゼロから1を作る力が凄く長けているなと思います。そこは凄く勉強になりました。身近で見られてよかったというのはありますね。

「役は現場で作り上げる」奥平大兼のスタイル

――役作りの秘訣について伺えたらと思います。

僕は事前に役作りをして、ガチガチに決めた状態で撮影に臨むことはあまりありません。台本を読んだ感じとかを踏まえて、自分の中で漠然と決めたことだけを現場に持って行きます。

家で台本を読んで考えたお芝居と、現場でできるお芝居ってかなり差があるので。監督と話し合ったり、現場で相手役のお芝居を受けてから演技のイメージを深めることが多いです。

――現場で一気に役へ入り込むというと、相当の集中力が必要になりそうな印象です。集中力は昔からある方でしょうか。

そうなんですかね(笑)。現場では集中していますけど、途中途中でリラックスしている時間も割とあると思いますよ。

――演技では監督の指示によって役を作るタイプ、監督の指示に自身の意見も入れるタイプで分けるとどちらでしょうか。

後者の、自分の意見を提案するタイプですね。役者側のやりたい気持ちと監督の考えを合わせると、みんなで一緒に作っている感がある、いい映画になると思っています。

とはいえ、監督のなかには100%のイメージを持って撮影に臨まれる方もいらっしゃいます。そういうときは自分の提案は出すには出しますが、監督を信じないのも僕は嫌なので、最終的には監督の指示を信じます。ケースバイケースですが、基本は監督と自分の考えとやりたいことを話し合って決めるスタイルです。

今しかできない役がある、若い感覚をフルに活かせる芝居をしたい

――今後、挑戦したい役はありますか。

特に「これがやりたい!」という役は思いつかないですね…。逆に言うと全部、いろいろな役をやりたいと思っています。

あとは最近20歳になって、年下の役者さんを見ているうちに、若いときにしかできない役があるんだなと身に染みて思いました。特にドラマでは学生の役だったので、こうした役は今のうちにしか出来ないものなのかなと。今の若い感覚をフルに活かせる役を、やれたらいいなと思いますね。

――アクションというジャンルへの関心はありますか。空手初段の腕を活かせそうですが。

昨年、アクションの作品をやらせていただきましたが、すごく楽しかったです。アクションは意識することや大変なことがほかの作品と違いますし、僕の想像よりも奥が深いものだったんだなと思いました。今後もやってみたいです。

空手もそうですが、過去にやっていたことが役につながったり、今の自分が思っていたり感じていることが役につながるのが一番やりやすいです。やはり等身大で臨めるのが、いいのかもしれないですね。

――集中力の話に戻ってしまいますが、空手で養った集中力は役者をするうえでも役に立っているのでは。

そうですね、空手で培った集中力があるお陰で、デビュー時は乗り越えられたと思います。空手って護身以外に役に立つことがあるのかなと思っていましたけど、ありました(笑)。お芝居するうえで、空手で培った集中力が活きることがあるんだと。意外な発見でした。

若い世代にこそ、映画館で観てもらいたい

――2023年はテレビ・映画含めて露出の多かった1年だったと思います。今年の感想と、2024年の抱負をいただけますでしょうか。

今年はお芝居を通して“伝える”という面白さが、より深まった年になりました。その考えを踏まえて、来年はもっといろんなことを伝えて、いろんな方々に見ていただけるように頑張りたいです。特に自分と同じ世代、若い世代に向けて。

今年20歳を迎えたとはいえつい最近まで子どもだったので、若い子たちの感覚や悩みはわかっているつもりです。ですから、若い子たちに何かを伝えられるお芝居をできたらと思っています。

――最後にメッセ―ジをお願いします。

若い子たちの間では映画を観に行く機会が少なくなっているらしくて、個人的には凄く悲しいなと。「君は放課後インソムニア」なんかは特に、「映画館で観る良さ」が詰まっている作品だと思います。視界一杯の大画面と迫力ある音響は、家ではなかなかできません。

ぜひ、映画館に来てください。僕もみなさんが「映画館に行きたいな」と思ってもらうように、これからも頑張ります。

◆取材・文=シン上田

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