のん&林遣都(C)2020『私をくいとめて』製作委員会

のん&林遣都、初共演で崖っぷちロマンス描く 綿矢りさ原作「私をくいとめて」実写映画化

2020.07.22 07:00

芥川賞、大江健三郎賞などを受賞した綿矢りさ氏の小説「私をくいとめて」が今冬に実写映画化され、女優ののんと俳優の林遣都が出演することが決定。2人は今作が初共演となる。

今作は、31歳おひとりさまと年下男子による、あと1歩近づけないむずがゆい恋模様を描いたわかりみが深すぎる(=共感度が高めの)崖っぷちロマンス。

30歳を越え、おひとりさまもすっかり板についてきた黒田みつ子(のん)。みつ子がひとりきりでも楽しく生活できているのには訳がある。脳内に相談役「A」がいるのだ。人間関係や身の振り方に迷ったときはもう一人の自分「A」がいつも正しいアンサーをくれる。「A」と一緒に平和なおひとりさまライフがずっと続くと思っていたそんなある日、みつ子は年下の営業マン多田くん(林)に恋をしてしまう。きっと多田くんと自分は両思いだと信じて、ひとりの生活に慣れきってしまったみつ子は20代の頃のように勇敢になれない自分に戸惑いながらも、一歩前へふみだすことにする。

のん&林遣都、初共演

のん(C)2020『私をくいとめて』製作委員会
のん(C)2020『私をくいとめて』製作委員会
監督は、『恋するマドリ』(07)で劇場長編デビュー以降、『東京無印女子物語』(12)、『でーれーガールズ』(15)、第30回東京国際映画祭コンペティション部門・観客賞をはじめ数々の賞を受賞した『勝手にふるえてろ』(17)などで、女性の生き方や恋愛にスポットを当てつづけてきた大九明子。近年では、映画『美人が婚活してみたら』(19)をはじめ、テレビ朝日系「時効警察はじめました」(19)、テレビ東京系「捨ててよ、安達さん。」(20)、『甘いお酒でうがい』(20)などの作品も手掛ける。

脳内に相談役「A」をもつ31歳おひとりさま黒田みつ子を演じるのは、のん。劇場アニメ『この世界の片隅に』(16)で第38回ヨコハマ映画祭「審査員特別賞」受賞、YouTube Originalsドキュメンタリー「のんたれ」で『おちをつけなんせ』(19)の脚本・監督・編集・主演他を務め、『星屑の町』(20)ではヒロインを務めた。のんが演じるおひとりさまヒロイン・黒田みつ子は、何年も恋人がおらず、脳内の相談役「A」と一緒におひとりさま生活を満喫していた。そんなおり、取引先の年下営業マンに恋をする。

林遣都(C)2020『私をくいとめて』製作委員会
林遣都(C)2020『私をくいとめて』製作委員会
みつ子が恋をする多田くんには、映画『バッテリー』(07)でデビューし、第31回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめとした数多くの新人賞を受賞。その後、日本のみならず中国映画『青禾男高』(17)にも出演。そして、近年はNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(19)、連続テレビ小説「スカーレット」(19)、ソーシャルディスタンスドラマ「世界は3で出来ている」(CX/20)など話題作への出演が絶えない林。みつ子の勤める会社の取引先の若手営業マンであり、密かにみつ子に恋心を抱く年下男子・多田くんを演じる。(modelpress編集部)

のんコメント

― 林遣都さんとの初共演について

肌が白くて羨ましかったです。羨ましすぎて、いつも以上に念入りにお肌のお手入れをしてました。林さんの役に対するアプローチも、とても魅力的だったので負けられない、と気合が入りました。あと、林さん直々に並んで買ってきてくださったおすすめのクッキーサンドを現場で配っていらっしゃって、すごく優しい方なんだなと思いました。クッキーサンド、美味しかったです。

― 脚本を読んだ時の感想

面白かった。楽しいセリフが沢山で、シリアスなシーンでも皮肉なユーモアが滲んでいて、どうやって解釈しようか…と嬉しくてニヤニヤしながら読みました。一番胸を打たれたのは、この作品のテーマであり、みつ子が大切にしているおひとりさま。おひとりさまって、一つの生き方として結構普通になってきている気がします。脳内に相談役としてAの存在を作り出す事も、楽しく生きていけるならありだなって思える。世の中の幸せは多様化している、そんな風に感じました。触れられない相手と触れられる相手の間でどう揺れ動いていくか、演じていてとても楽しかったです。考えすぎて自分で行き詰まっていく不器用なみつ子が、とても愛おしい。早く皆さんに観ていただきたいです。

林遣都コメント

― のんさんとの初共演について

お芝居をしてる時と普段のギャップが大きい方という印象でした。人との距離の縮め方がきっと自分に近く、短い撮影期間ではあまりお話することはできませんでしたが、お芝居をしている時は常に役を通してお互いの心を探り合い、心地良い会話をさせていただけたと思ってます。よーいスタートで目の色が変わり、極めて繊細な表情で相手を引き込む力がある方で、お芝居の中で驚かされた瞬間が沢山ありました。ご一緒できて楽しかったです。

― 脚本を読んだ時の感想

綿矢りささん、大九監督お二人の世界観を演じることを楽しみにしていました。不器用な人間同士のピュアな心の模様を大九さんがどのような演出で繋げていくのか。あまり特徴が多いとは言えない自分の役どころにどのような膨らみが生まれるのか、楽しみな要素が沢山ありました。大九監督の人間の弱い部分に寄り添った心理描写、苦しいシーンもどこか温かく微笑ましい空間に変えてしまう演出をもっと味わいたいと思いながら気付いたら撮影を終えていました。完成を心待ちにしています。

監督:大九明子コメント

― 「私をくいとめて」を実写化しようと思ったきっかけ

読んでみてびっくり。主人公がもうしっかりと脳内で会話してるじゃないですか!Aとか名付けちゃって!「私をくいとめて」は、綿矢文学の醍醐味である切れ味のいい言葉たちの間を、さまざまな色が漂い、ある時はスパークする。色に溢れた読書体験を終えた時には、この色と言葉をどう映像で描こうか、と考え始めていました。私、これ撮らなくちゃ。とすぐシナリオにして、プロデューサーに売り込んだ次第です。

― 初タッグののんさん、林遣都さんのお芝居の印象について

のんさんは怒りの表現が見事で、あんなに柔らかい空気を漂わせていながら、内側に高温のマグマみたいなものを持ってる人だと思います。のんさんはいっぱい質問してくれます。その対話の中でこの映画の核を再確認できたように思います。林遣都さんは以前からご一緒してみたかった方です。振り幅が素晴らしく、少し話すと芝居がどんどん変わるので、とても楽しかったです。急に変なことお願いしてもすぐに「はい」と言ってやって下さって素敵。

原作:綿矢りさ コメント

― 実写映画化の話を伺った時の感想

映画化のお話を伺ったときは、大九監督の魔法によって、どれだけキャラクターが生き生きとよみがえるんだろう、とまず最初に思いました。以前に自著を映画化していただいたとき、主人公だけでなく、物語上のすべてのキャラクターたちが、本当に実在するようにリアルで、それでいてコミカルに描かれていたのが、驚いて忘れられなかったからです。本作は想像力のたくましい女性が主人公の話で、彼女はたくさんの人と関わることを無意識に恐れています。

映画化の台本を読むと、彼女の実は色鮮やかな内面が、イイ味出してる周囲の人たちとのふれあいにより、より濃く輝いてるなと感じました。現実ではさりげなく過ぎていくけど、実は心は激しく動いている。こんな場面を、のんさんと林遣都さんという、最高の方々に演じていただけると思うと、もう喜びを隠せません。お二方の過去の出演作品を見ながら「こんな素敵な方々が、あのけっこう地味な、いやかなり地味な、みつ子さんと多田くんになるなんて」と信じられない気持ちでいます。
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