「子持ち様」と言われる社員の行動とその背景
最近ニュースやネットで「子持ち様」と言う言葉を聞くことはありませんか?この言葉を聞いて、あなたは率直にどう思いますか?「なんだか嫌な言葉だな……」「あー、なんか分かるかも……」人それぞれ、状況によっても感じ方は違うかもしれませんね。今回は「子持ち様」の意味や、そう思わせてしまう人の行動、その言葉が出てきた背景について、「子持ち社員」「子なし社員」それぞれの立場も含めてまとめました。
「子持ち様」とは?
「子持ち様」の意味として簡潔に説明すると「育児を理由に仕事を切り上げたり育休を取る同僚」のことを指します。
子育てをしていると、保育園のお迎えの関係で時短勤務になったり、子どもの体調不良で急な欠勤になってしまうのは仕方の無いことではあります。
しかしその分、独身や子どもがいない一部の社員に負担がかかってしまい、体調を崩すことになってしまった結果「子持ちの人ばかり優先されてずるい」と、怒りの矛先が子持ちの社員に行き「子持ち様」と揶揄される言葉がSNSから広がっていったのです。
「子持ち様」と言われてしまう行動
では、「子持ち様」と言われてしまいがちな行動にはどんなものがあるのでしょうか?
謙虚さが無い
子どもの体調不良は前もって予想できる訳ではありません。
しかし、それを「当たり前」「子どもなんだから仕方ない」と言うスタンスをあからさまに出してしまうことで、他の社員からの反感を買いやすくなってしまいます。
休みをカバーした社員からすると、その態度にイラっとしてしまい、報われない気持ちになってしまうのです。
独身や子なしに対してマウントを取る
独身や子なしの社員にも、自身の体調不良やリフレッシュ、介護などで、自由に休みを取る権利がありますし、決して暇なわけでは無いのです。
しかし、一部の子持ち社員が「子どもがいないから自由でいいよね」と言うような「独身、子なし社員=暇」と言わんばかりの雰囲気を醸し出し、マウントを取ることで対立が生まれ、「子持ち様」と言われてしまう原因となっています。
普段の勤務態度が悪い
時短勤務や子どもの体調不良で休みがちであっても、勤務時間にそれをカバーするパフォーマンスをして結果を出していれば、他の社員からのサポートも受けやすくなるものです。
限られた時間内に、精一杯力を発揮しようとする態度があるか無いかが、周りへの印象を左右するのだと思います。
子持ち社員の苦悩
では次に、子持ち社員側の気持ちや事情を、元保育士でもある筆者が解説していきます。
感染症のループに陥る
「保育園の洗礼」と言う言葉があるように、特に保育園に預けたばかりの子どもは免疫力がなく、思っている以上に、次々と感染症に罹ってしまいます。
やっと治ったと思い保育園に行くと、また違う感染症に罹ってしまう。そしてそれが自分自身にも移ってしまい、感染症がループしてしまいます。
その結果、短期間のうちに欠勤を繰り返してしまうことになり、周囲からの「また?」と言う視線や罪悪感に、いたたまれなくなってしまいます。
保育所に預けられる基準が厳しい
特に新型コロナウィルスの流行以降、子どもの体調不良の際、預けられる基準が厳しくなってきました。登園時に少しでも平熱よりも高ければ、その場で帰されてしまうことも珍しくありません。
在職中、保護者からは「なんとかお願いできませんか?」「仕事に行かないとまずい」と言う悲痛な言葉や気持ちが痛いほど伝わってきました。
謝罪ばかりで疲れてしまった
子どもを保育園に預けて働き出してから周囲に対して謝ることが増えた、と感じる人は少なくありません。
保育園に対して。職場に対して。無理をさせてしまっている子どもに対して……。そんな状況に疲れてしまい、堂々としよう!とすれば「謙虚さが足りない」と言われてしまう。
色々な状況に板挟みになって、思い悩んでいる子持ち社員が多いのも事実です。
皆んなが働きやすくなる為には?
だからと言って子持ち社員のカバーをしてばかりだと、他の社員の不満が溜まるのは当然のことです。皆んなが働きやすい環境を作ることはできるのでしょうか?
カバーした人の評価を上げる
筆者が思う一番の解決策はこれだと感じます。
代わりに残業を引き受けたり、シフトを交代した社員に対しては、ボーナスなどの分かりやすい形で還元していく、頑張った人がきちんと評価される会社の仕組み作りが大切だと思います。
その基準など、課題は多いかもしれませんが「お互い様」の気持ちだけで納得させるのは、現実として難しくなっていると思います。
誰もが休みやすい環境作り
「子持ち様」と言う言葉が出てきてしまったのも、人手不足による休みにくさ、疲労からくる心の余裕のなさが一番の原因ではないでしょうか?
自分に余裕がなく、一杯いっぱいの状況で、とても人のカバーをしたり思いやったりする気持ちは持てないですよね。子どもがいる、いないに関わらず、誰もが必要な時に休みやすい環境を目指して行くことが必要です。
世間が煽り過ぎない
この「子持ち様」論争に対して、世間が煽ることでさらに、「子持ちvs子なし」の対立の気持ちを意識させているようにも思います。
決して子持ちの社員全員が、休むことを当たり前とも思っていませんし、子なしの社員が「子持ち様」と比喩しているわけではありません。
自分を労って相手の立場を想像しよう
子持ち社員が、「子どもがいないから自由でいいよね」とマウントをとってしまうのも、子なし社員が「子持ち様」と揶揄してしまうのも結局、双方それぞれの余裕のなさからです。
人に嫌味を言ってしまいたくなる時は、それほど自分が疲れているからです。自分を労い、違う視点で相手の事情を考えられる想像力をもっていきたいですね。
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