横浜で見るべき2大アート展。クリムト、シーレの絵画に「入る」衝撃、日韓80年の美術史の軌跡も
横浜で2026年3月まで観覧できる注目の展覧会・アートイベントを2つ、紹介します。1つは横浜美術館リニューアルオープン記念展、もう1つは倉庫を活用したイマーシブアート展覧会です。
横浜では、リニューアルオープンした横浜美術館の企画展や最新の没入型(イマーシブ)アート展覧会が開催中。2026年3月まで観覧できる注目の展覧会・アートイベントを2つ、紹介します。
横浜美術館:いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年
横浜美術館リニューアルオープン記念展の最後を飾る企画展「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」は、この冬、注目の現代美術展。
1965年の日韓国交正常化から60年となる節目に合わせ、韓国の国立現代美術館との共同企画により開催されています。
1945年から現代まで、80年の日韓美術史をひもとく展覧会は、国際的にも初めてのこと。韓国の国立現代美術館の所蔵品から優品19点が来日するほか、日本初公開の作品、同展のための新作など、50組以上約160点の作品が並びます。
ドラマや映画、音楽、ファッション、メイクといったKカルチャーは世界を席巻し、韓国の文化は身近なものとなっています。
日韓両国のアートを通して、知られざる2国間の歩みをたどり、これからも「おとなりさん」として、ともに生きるためのヒントを発見してみませんか?
構成は5章仕立て。注目の作品を紹介します。
国交の「空白期」を作品で振り返る
「1章 はざまに──在日コリアンの視点」では、1945年から1965年の20年間、日本と朝鮮半島の「はざま」にいた在日コリアンを軸とした作品を展示。
チョ・ヤンギュ(良奎)の3作品は、日雇い労働者としてマンホールの清掃をしていたことなど生活に根差した視点で描かれています。
ケースの中には、日本の美術批評家である織田達朗と交わした文書が展示されていることから、日本の美術界と深く関わっていたことがうかがえます。
ホワイエで展開する「2章 ナムジュン・パイクと日本のアーティスト」では、日韓国交正常化の時期を前後して活動した、世界的なビデオ・アーティストとして知られるナムジュン・パイク(白南準)に焦点をあて、日韓のアーティストたちのつながりを紹介しています。
大画面で流れているのは、1986年に東京・ソウル・ニューヨークの3都市を通信衛星でつなぎトークを繰り広げる映像作品『Bye-Bye Kipling』。坂本龍一やキース・へリング、三宅一生などの著名人が次々と登場し、ついつい見入ってしまいます。
日韓国交正常化以降の5つの展覧会にクローズアップ
3~5章は、日韓国交正常化以降の作品を展示。交通が開け、互いのアート作品を紹介する展覧会が多く開催されるようになったことから、1960年代後半から1980年に開催された5つの展覧会にクローズアップした内容となっています。
「4章 あたらしい世代、あたらしい関係」では、1992年にソウルで開催された中村政人と村上隆による伝説的な2人展「中村と村上展」の出展作品が並びます。
あわせて、同時期にソウルを拠点にしていたイ・ブルの作品も展示し、日韓アートの新たな潮流を読み解きます。
「5章 ともに生きる」では、1980年代から現在までの日韓アーティストの作品を展示。在日コリアンのパートナーとの結婚式までの葛藤を写真とテキスト、映像でつづった高嶺格の《Baby Insa-dong》(ベイビーインサドン)(2004)は、じっくりと読み進めたい作品です。
「ギャラリー8」には無料で観覧できる映像作品も
「ギャラリー8」は誰でも無料で観覧できる展示室です。2つのモニターで繰り広げられるのは、百瀬文とイム・フンスンの映像による「交換日記」。互いに撮った映像を相手に渡し、編集してナレーションをつけたものだそう。
第1部は60分、新作となる第2部は30分となっているので、空き時間に鑑賞してみては?
横浜美術館リニューアルオープン記念展「いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年」情報
期間:2025年12月6日~2026年3月22日
場所:横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)
開館時間:10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:木曜、2025年12月29日~2026年1月3日
観覧料:一般2000円、大学生1600円、高校生・中学生1000円、小学生以下無料
山下ふ頭 4号上屋:THE MOVEUM YOKOHAMA by TOYOTA GROUP
「THE MOVEUM YOKOHAMA(ザ・ムービアム ヨコハマ)by TOYOTA GROUP」は、トヨタグループによる期間限定のイマーシブアートミュージアムです。2026年3月31日までの期間限定で、山下ふ頭 4号上屋で開催されています。
イマーシブアートミュージアムとは、有名な絵画などを映像コンテンツ化し、広大な空間の壁面や床面に映し出す没入型のアート展のこと。倉庫というロケーションを活かし、約1800平方メートルの広大な空間で音と映像に包まれる没入型芸術体験ができます。
「THE MOVEUM THEATER」ではウィーン世紀末芸術「美の黄金時代」が、「THE MOVEUM STUDIO」では「LISTEN. 」ONE MOMENTが上映されます。
75台のプロジェクターと音楽で19世紀末のウィーン芸術を表現
「THE MOVEUM THEATER」で上映される「美の黄金時代」は19世紀末ウィーン芸術を象徴する2人の画家、グスタフ・クリムトとエゴン・シーレに焦点を当てた作品。
メインコンテンツとなる「グスタフ・クリムト:黄金時代」(40分)と、スペシャル・セレクション「エゴン・シーレ:黄金の影で」(12分)の2つのプログラムが楽しめます。
クリムトの約170作品とシーレの約110作品を75台のプロジェクターを使って壁面に映し出し、その世界観をワーグナー「ワルキューレの騎行」、ベートーベン「交響曲第9番」などの音楽とともに表現。
19世紀末から20世紀へと時代が動いていく激動のアートシーンを、倉庫ならではの空間で描き出します。
「THE MOVEUM THEATER」内は、メインステージ、2Fエリア、ミラールームに分かれており、歩き回ったり、移動したり、座ったり、自由に鑑賞できるようになっています。
クリムトのきらびやかな色彩、シーレの魂を揺さぶるような筆致、同時代に活躍した2人の芸術家の作品の中に入り込めば、「光」と「影」と評された対極的な2人についての理解が深まりそうです。
<上映スケジュール(上映時間:計52分)>
11:00~、12:00~、13:00~、14:00~、15:00~、16:00~、17:00~、18:00~、19:00~(※)
※金・土曜、祝前日のみ
「LISTEN.」未来へ紡ぐべき「音」を映像化
「LISTEN.」は10年間にわたり世界約26カ国で記録された、未来へ紡ぐべき「音」を映像化したもの。俳優の山口智子さんがプロデューサーを務めています。
「THE MOVEUM STUDIO」で上映される新シリーズ「ONE MOMENT」(15分)では、騎馬民族のリズムや流浪の民のメロディ、世代を超えて受け継がれる魂のダンスを通じて、文化が交錯する道を旅するような体験ができます。
「THE MOVEUM STUDIO」の観覧は無料なので、気軽に足を運んでみては。
「SHOP」では会場限定グッズを販売
「SHOP」では、THE MOVEUM YOKOHAMAオフィシャルグッズのほか、クリムトとシーレなどの会場限定グッズを販売。横浜ゆかりの企業とのコラボグッズや人気のカプセルトイも用意されています。支払いは完全キャッシュレスとなっています。
日没後は施設の外観を、フランス出身のアーティストであるマテオ・メッセルヴィが手がける光のイルミネーションが彩ります。
山下公園(山下ふ頭バス待合所)から会場までは徒歩で15~20分かかります。移動手段として、トヨタのe-Palette(2台)とコースター(マイクロバス・2台)の計4台が運行。無料で誰でも乗車できます。
広大な空間を活かした「THE MOVEUM YOKOHAMA by TOYOTA GROUP」で、これまでにない没入型芸術体験をお楽しみください。
「THE MOVEUM YOKOHAMA by TOYOTA GROUP」情報
期間:2025年12月20日~2026年3月31日
場所:山下ふ頭 4号上屋(横浜市中区山下町279-9)
開館時間:日~木曜・祝日10:30~19:30、金・土曜・祝前日10:30~20:30
休館日:なし
観覧料:一般<オンライン販売3000円、当日会場販売3800円>、大学生・高校生・専門学校生<オンライン販売2000円、当日会場販売2700円>、中学生・小学生<オンライン販売1200円、当日会場販売1900円>、障害者手帳をお持ちの方<オンライン販売2500円、当日会場販売3300円>未就学児無料 ※オンライン販売は当日の上映開始時間の1時間前まで
いかがでしたか? 横浜で2026年3月まで鑑賞できる2つの展覧会に足を運んでみてください。
執筆者:田辺 紫(横浜ガイド)
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