その“顔”に惚れた! 鉄道ガイドが本気で選ぶ「イケメン車両」ベスト10【2026年版】

2025.12.30 21:35
提供:All About

鉄道車両の「顔」で選ぶ、イケメン車両ランキング2026! 鉄道ガイドが厳選した「顔面偏差値」の高いベスト10を、500系新幹線からレトロ車まで一挙紹介。

鉄道車両を正面から見ると、実にさまざまな表情の「顔」に見えてくる。今回は、日本全国の鉄道車両の中から、鉄道ガイドが独断と偏見で選んだイケメン車両「ベスト10」を紹介しよう。

1. 500系新幹線(JR西日本)

東京駅に発着していた頃の500系新幹線
東京駅に発着していた頃の500系新幹線


あまたある新幹線車両の中で、断トツのかっこよさを誇るのがJR西日本が開発した500系だ。航空機の胴体を思わせる鉄道車両離れしたフォルムは、1997年のデビュー以来、人気の的となっている。

どこか日本的ではないスタイルなのは、ドイツの工業デザイナー、アレクサンダー・ノイマイスターが意匠設計したからであろう。

鋭くとがった先頭車の形状ゆえ座席定員が少なく、後に主流となったN700系と共通運用できなかったことから異端者扱いされ、2010年2月末をもって「のぞみ」定期列車から引退。その後は8両編成化され、山陽新幹線(新大阪~博多)限定の「こだま」として走っている。

ラッピング車両「エヴァンゲリオン塗装」、その後の「ハローキティ新幹線」も人気であるが、500系自体が2027年までの全廃を公表されており、引退の時は刻一刻と迫っている。国内初の営業時速300キロを達成した栄光の車両だけに、寂しい後半生だった。

2. 885系特急電車「リレーかもめ」「ソニック」など(JR九州)

ドイツの高速列車ICEそっくりの885系特急
ドイツの高速列車ICEそっくりの885系特急


ユニークな車両が多いJR九州のラインアップの中でも、特にスタイリッシュなのが885系特急電車だ。白く丸みを帯びたフォルムが特徴で、ドイツの高速列車「ICE-T」に酷似している。

それもそのはず、モデルとなったICEや500系新幹線をデザインしたノイマイスターの許可を得て、工業デザイナー水戸岡鋭治氏がデザインしたものだからだ。

885系のモデルとなったドイツの高速列車ICE
885系のモデルとなったドイツの高速列車ICE


2000年に、まず長崎本線の特急「白いかもめ」(博多~長崎)としてデビュー。その後、日豊本線の特急「ソニック」(博多~小倉~大分)にも進出した。

西九州新幹線部分開業にともない「かもめ」の名前は新幹線に譲り、新幹線接続列車「リレーかもめ」(博多~武雄温泉)、「かささぎ」(博多~肥前鹿島、門司港発着もある)、そして「ソニック」として活躍中だ。

登場以来四半世紀が経ち、外観はともかく車内はかなり陳腐化してきた。リニューアルを望みたいところである。

3. E261系「サフィール踊り子」(JR東日本)

伊豆へ向かう豪華リゾート特急「サフィール踊り子」
伊豆へ向かう豪華リゾート特急「サフィール踊り子」


筆者の好みではないJR東日本の特急列車群にあって、唯一のお気に入りが伊豆へのリゾート特急「サフィール踊り子」として走っているE261系電車だ。

座席は全てグリーン車(1号車=プレミアムグリーン車、2・3号車=グリーン個室〈4人用・6人用〉、4号車=カフェテリア、5~8号車=普通のグリーン車)という豪華編成。それもあって、外観も非常にスタイリッシュだ。デザインは奥山清行氏が担当している。

4. 373系電車(JR東海)

ローカル特急とはいえ、かっこいい車両の「伊那路」
ローカル特急とはいえ、かっこいい車両の「伊那路」


JR東海の373系電車は、ローカル特急「ふじかわ」(身延線など・甲府~静岡)、「伊那路」(飯田線・豊橋~飯田)で主に活躍しているため地味な車両だが、ローカル列車として埋没させてしまうにはあまりにも惜しい、端正な顔立ちの車両だ。

国鉄時代から身延線や飯田線で活躍してきた急行電車165系の面影を残しつつ、グレードアップして特急にしたためか、パノラミックウィンドウ(運転台の窓が曲線を描き側面まで回り込むスタイル)を採用。視界が広がるとともに、デザイン的にも洗練された印象を与えている。昭和後期から平成初期にかけての流行を取り入れたデザインだが、今見てもかっこよさが残っている。

かつては東京駅まで乗り入れ、特急「東海」(東京~静岡)や夜行「ムーンライトながら」にも使用されたが、現在、定期列車としては「ふじかわ」「伊那路」のほかホームライナー(浜松~静岡~沼津)に使われるのみだ。

5. 西武30000系電車

西武30000系、愛称スマイルトレイン
西武30000系、愛称スマイルトレイン


この電車には「スマイルトレイン」という愛称がある。たまごをモチーフとした丸くて柔らかみのあるデザインで、設計に当たっては女性社員や利用者の声を取り入れている。

そのためか、従来の鉄道車両とは一線を画した顔立ちとなった。ユニークでかわいらしさのある表情は、どこか女性的でもある。

6. 旧・京王5000系(初代)

富士急行で活躍する元京王5000系(初代)
富士急行で活躍する元京王5000系(初代)


1963年に京王線の特急電車として登場。通勤型車両ながらもスタイリッシュな顔で一世を風靡(ふうび)した。当時の流行でもあった運転台のパノラミックウィンドウを採用したこともあり、かっこいい電車として人気を博した。

京王線を引退後は、各地の私鉄で第2の人生を歩み、さらに流れ流れて第3の人生を送っている幸運な車両もある。

現在、富士急行、ことでん(高松琴平電鉄)、銚子電鉄、岳南電車などで活躍。塗装を変えながらも特徴ある前面のスタイルを見れば、元京王5000系とすぐに分かる。もうしばらく雄姿を拝めそうだ。

7. 旧・東急7200系

オリジナルな姿で活躍する元東急7200系。大井川鐵道新金谷駅にて
オリジナルな姿で活躍する元東急7200系。大井川鐵道新金谷駅にて


アメリカのバッド社との技術提携のもと製造された東急のオールステンレス車7000系のモデルチェンジ車として、1967年にデビューしたのが東急7200系だ。正面の「く」の字型のスタイルは「ダイヤモンドカット」と呼ばれるおしゃれな外観で、日本離れしたアメリカ風のエキゾチックな風貌が特徴である。

オールステンレス車両は腐食しないためか長持ちし、東急線から引退後も、上田電鉄、豊橋鉄道などで活躍。現在も、豊橋鉄道と大井川鐵道で活躍している。

8. キハ40系気動車(旧国鉄)

キハ40系同士が並ぶ小湊鐵道
キハ40系同士が並ぶ小湊鐵道


1977年から導入され、全国の国鉄、主としてローカル線で大活躍したディーゼルカー(気動車)である。昭和後期に流行した運転台のパノラミックウインドウが特徴で、ローカル線が活躍の舞台ながら、その無骨なかっこよさで今なお人気の車両だ。

JR各線からはかなり撤退し、観光列車以外ではJR西日本、JR九州あたりでの活躍が目につく程度となった。一方、道南いさりび鉄道、錦川鉄道、北条鉄道、小湊鐵道にはJR各社から譲渡されたキハ40が在籍し、元気に走っている。

9. 大井川鐵道 E31形(E34号機)

国鉄のブルートレイン復活?
国鉄のブルートレイン復活? 大井川鐵道の電気機関車E34


西武鉄道から譲渡された小型電気機関車E31形3両は、SL列車の補機(列車の後部に連結されSLをバックアップする補助機関車)やEL急行けん引機として、縁の下の力持ち的に地味ながらも活躍してきた。

オリジナル塗装のE31形電気機関車
オリジナル塗装のE31形電気機関車


ところが2025年に入り、E34号機が旧国鉄時代の寝台特急ブルートレインけん引機だった「EF65形」そっくりの塗装に変身したところ大人気となり、今ではSL同等、あるいはそれ以上のスターとなってしまった。

外観の塗装を変えるだけで「イケメン車両」になる好例であろう。2025年11月にデビューした青い12系客車(JR西日本から譲受)との組み合わせで新たな大井川鐵道の人気列車として注目を集めている。

10. C57形蒸気機関車

「貴婦人」の愛称のようにスマートでエレガントなC57形蒸気機関車
「貴婦人」の愛称のようにスマートでエレガントなC57形蒸気機関車


鉄道車両としては蒸気機関車(SL)の存在を忘れてはいけない。現在、何台ものSLが動態保存され観光用として活躍しているが、1両だけ挙げるとすればC57形であろう。細身のボイラー、スマートな外観から「貴婦人」の愛称で人気を集めている。

C57形は1号機が山口線(JR西日本)、180号機が磐越西線(JR東日本)で活躍中だ。もっとも、1号機は大掛かりな修理に時間を要しており、復帰の予定がアナウンスされていないのが気がかりだ。

以上、蒸気機関車から最新の電車に至るまで、“顔面偏差値”の高い「イケメン(あるいは美人)車両」を独断でリストアップしてみた。賛否両論あろうが、イケメンコンテストや美人コンテスト同様、好みの問題なので、「蓼(たで)食う虫も好き好き」と言えよう。


執筆者:野田 隆(鉄道ガイド)

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