

海外ではありえない!? リアル「日本の学校体験」に外国人が夢中になるわけ
今、日本の学校体験がインバウンド観光客から人気。千葉県君津市で行われている学校体験「君ノ高校」に多くの人が参加しています。企画の意図や実際の様子を主催する会社に聞きました。
最近は日本のあちこちで「こんなところにも外国人が来るんだ!」と驚くことが増えました。外国人観光客はさらにコアな体験を求めているようです。
2023年にスタートした、日本の田舎の学校体験「君ノ高校」もそんな体験の1つといえるでしょう。日本ではごく当たり前の田舎の学校生活が、なんと1日ツアーになっているのです。
日本の学校生活をまるごと体験できる「君ノ高校」
場所は、廃校となった中学校を活用した千葉県君津市のキャンプ場「CAMPiece君津」。参加者は学ラン・セーラー服に身を包み、入学式からスタート。続いて、朝のホームルーム、日直、書道や社会の授業、給食、運動会などに取り組み、最後は卒業式で締めくくります。
校舎や教室はもちろん、制服、上履き、ジャージ、黒板、チャイムの音、給食、掃除、避難訓練など、全てがリアルに再現されています。
プラスアルファのお楽しみが、卒業式のあとのお祭り体験。小学校の体育館にやぐらが組まれ、日本の夏祭りの雰囲気を再現。射的や駄菓子コーナー、けん玉・お手玉などの昔遊びを楽しめます。さらに、君津の名水を使った地酒の試飲もあり、日本文化にどっぷり浸れる1日です。
参加の動機は「アニメの世界に入りたい」「制服を着てみたい」など
この体験ツアーは、もともと地域活性化を目的にスタートしたもの。主催する運動会屋の広報の岩澤さんに話を聞くと、「海外からの観光客が増え、日本らしい文化体験へのニーズが高まる中、千葉県君津市・亀山地区に新たな賑わいを生み出し、地域を元気にしたいという思いから始めました」とのこと。
サービスは2023年11月に開始し、2025年3月までに約230人が参加。欧米の旅行者が多く、最近はアジア圏からの参加も増えています。すでに日本への訪問経験が何度かあり、よりディープな日本体験を求めている人が多いそうです。
参加の動機としてよく聞くのは、「アニメで見た日本の学校世界に入りたかった」というもの。ほかに「自国の学校と比べてみたかった」「制服を着てみたかった」など学校文化そのものへの興味や憧れもあるようです。
中には「卒業式で第二ボタンを彼女に渡してみたかった」という人も。海外の人にとって、アニメや映画の中でしか見たことがなかった世界の主人公になれる体験は不思議な魅力があるようです。
人気は「運動会」、日本らしさを感じるのは「給食」と「掃除の時間」
プログラムの中で圧倒的に人気なのが、「運動会(体育)」。
「さまざまな国籍の方が英語で作戦会議をし、玉入れや綱引きに挑戦する姿はとても印象的です。この時間を通して一気にクラスの一体感が生まれています」
また、日本ならではの文化としてユニークに映っているのは「給食」。日本では当たり前の給食文化も、海外では珍しいもの。給食当番が配膳し、「いただきます」の掛け声で一斉に食べ始める光景に、多くの参加者が新鮮さを感じるそうです。
給食は学校の調理室でスタッフが手作り。メニューは「カレー」や「揚げパン」など、日本でも人気の定番が並びます。
もう1つ、ユニークに映っているのが「掃除の時間」。
「多くの国では生徒が掃除をする習慣がなく、『自分たちの教室は自分たちできれいにする』という日本の考え方に感動する人が多いです。人への思いやりや社会の一員としての責任感を育む日本の教育に驚かれますね」
なるほど。確かにそういう見方もありそうです。
卒業式ではスタッフも感動!
卒業式では、参加者だけでなく運営側も思わず感動してしまうそうです。
「『君ノ高校』は君津市の『君』から来ていますが、『あなたの学校』という意味も込めていて、私たちスタッフにとっても『自分たちの学校』になっています。レビューなどでスタッフへの感謝の言葉をいただけることも多く、深いやりがいを感じています」
たった1日の体験ですが、まるで1年間一緒に過ごしたような絆が生まれるそうで、卒業式では「卒業したくない」「みんなと離れたくない」と涙を流す参加者もいるとか。
岩澤さんは「いつでも帰ってこられる、第二の母校のような存在になれたらうれしいです」と言い、今後は海外からの修学旅行生の受け入れなども視野に入れていきたいと語ります。
今回、話を聞いて、改めて日本の学校のユニークさに気づかされました。このほかにも、私たちが日常の中で見過ごしている当たり前の中に、世界から見れば魅力的な日本文化があるかもしれませんね。
子連れ旅行やおでかけ、アウトドア、習い事、受験などをテーマにウェブ媒体を中心に執筆。子ども向け雑誌や新聞への取材協力・監修も多数。これまでに訪れた国は海外50カ国以上、子連れでは10カ国以上。All About 旅行ガイド。
執筆者:古屋 江美子(ライター)
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