《私のビジネス日記帳》工場を残し、産業を守るために 佐藤繊維社長 佐藤正樹
2026.07.08 06:25
提供:繊研plus

今、供給量が多すぎて、洋服の価値が下がっています。私が若かった80年代はちょうどDCブランドブームで、その当時、私たちが主戦場とするニットの国産比率は40%弱でした。しかし、中国をはじめ海外に生産拠点が移り、15年後には横編みニット製品の輸入品が99%を占めました。
一方、供給数は1億枚から今では6億枚に増え、ニットの国内販売額は私が理事長を務める日本ニット工業組合連合会が発足した50年前の1兆674億円に対し、現在は3200億円で3分の1以下に減りました。量は売れていても1枚当たりの単価が安くなっているという現状があります。
色々な協会団体で会長を務めているため、様々な方と話す機会があります。そこで「皆さん、今年ニットを買いましたか?」と聞くと、70%を超える方が「一枚も買っていません」と答えるのです。洋服をたくさん買って持っているからでしょう。バブル経済崩壊後の40年間、とんでもない枚数を供給し続けた結果です。これからは需要と供給のバランスを見直し、適正な量を作って売っていく必要があります。
工場を残し、産業を守るためには、ストーリーが重要になります。原料や糸作り、染色、ブランドへのこだわりを追求し、憧れが生まれるような背景を語れる物作りが大切になるはずです。世界で最高のニットを目指して作る職人が、仕事にプライドと夢を持てる環境を整備していかなければと感じています。
(佐藤繊維社長 佐藤正樹)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。
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