拡大続くヨーグルト市場 構造的課題をチャンスに

近年、酪農乳業界が頭を悩ませている構造的な課題に対し、解決の糸口としてヨーグルトの役割が期待されている。コロナ禍以降、在庫の積み上がりが続く脱脂粉乳に対し、いかに消費を拡大するかが焦眉(しょうび)の業界課題となっている。一方、健康志向は根強く、最近では「免疫」が再び注目のキーワードとして浮上。各社個別の機能性に特化した商品も次々と上市、もともと健康イメージのあるヨーグルトへの注目が高まり、食のシーンで広がり始めた。課題をチャンスに転換する試みが期待されている。
食シーンの拡大
生乳を原料とする牛乳・乳製品は、特定の製品を作ると副産物が生じる。チーズを作るとホエイが生じ、バターを製造すると脱脂粉乳も同時にできる。現在、バターの需要はインバウンド消費の影響もあって旺盛で、家庭用・業務用ともに堅調に推移している。しかし、一緒に作られる脱脂粉乳の需要は低調で、26年度末には数カ月分に当たる在庫量が積み上がる見通しだ。この事態に、業界・国を挙げての削減対策が毎年行われているが、対症療法にとどまっており、根本的な解決の道はまだ半ばだ。
そこで注目されるのが、ヨーグルトの食シーンでの拡大だ。脱脂粉乳の最大の用途はヨーグルトで、生産量の約4割が使われる。ヨーグルトの消費量拡大で、構造的な課題に一石を投じることが期待されている。ヨーグルト市場自体は、25年秋冬以降は回復基調にあり、各社から様々な機能性表示食品の上市も続いている。ただし、消費者の生活防衛意識は根強いものがあり、大容量のプレーンヨーグルトや、4連タイプのカップタイプへの引き合いは強く、高付加価値の機能性商品と「消費の二極化」が顕在化しているのが実情だ。
機能性を訴求
そうした中、今春は新たな食べ方の提案をひもづけた商品が見られ始めた。チチヤスは、3月から「凍らせて食べるチチヤスヨーグルト」を東日本で先行発売。そのままでの喫食はもちろん、冷凍庫で凍らせたときにベストなおいしさを楽しめる設計にした。近年は「二季化」と呼ばれるほどの酷暑・残暑が常態化しているが、栄養面でもアドバンテージのあるヨーグルトの喫食シーンは広がりを見せそうだ。夏場の熱中症予防としてヨーグルトを訴求する取り組みは、業界団体も25年夏から取り組んでおり、水分補給だけにとどまらない、「水分保持」機能を持つヨーグルトの強みをアピール。必要な栄養が取れることはもちろん、朝食に集中していた喫食シーンの拡大も期待できる。構造的な業界課題を新たな食シーンを生む力に変えられるか、注目される。
(日本食糧新聞・小澤弘教)
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