伊藤健太郎が語る“関西の人のあたたかさ”。「北新地のスナックで一人飲み」を楽しむ意外な素顔とは?

2026年5月28日(木)~31日(日)に、近鉄アート館にて上演される舞台『赤坂檜町テキサスハウス』。本作は、戦後間もない、まだ焼け跡が残る赤坂・乃木坂にあった「テキサスハウス」を舞台に、メディア創成期を生きた人々の濃密な人間模様を描く物語です。主人公・永六輔を演じる伊藤健太郎さんに、作品の見どころや関西での思い出、滞在中の意外な過ごし方についてお聞きしました。
( Index )
「自分なのかっ!?」から始まった主演への挑戦 個性豊かな人々が繰り広げる人間模様が見どころ 人のぬくもりを感じられる関西の雰囲気が好き「自分なのかっ!?」から始まった主演への挑戦
主演オファーを受けた際の率直なお気持ちを教えてください。
最初の素直な感想は「自分なのかっ!?」と思いました。永六輔さんのイメージと僕は、あまり重なる部分がないと思っていたので、最初は少し驚きました。でもだからこそ、自分とかけ離れた役柄を僕に求めてくださるっていうのは、役者冥利につきるというか。すごく嬉しかったですね。
伊藤さんから見た永六輔さんはどんな印象の方ですか?
永さんが若かった頃、僕はまだ生まれていないので、リアルタイムで活躍を拝見することはなかったのですが、今回、舞台をやらせていただくということで、改めて映像などを観させてもらいました。
僕が言うのもおこがましいですが、本当にお話がうまいですよね。真剣なお話はもちろん、たわいもない雑談でも聞き入ってしまう。何だろう、人の心をつかむ力をお持ちの方だなというのが、一番の印象です。
そういった永六輔さんの魅力も舞台で大切にしていきたい部分でしょうか?
演じさせていただくうえでは、僕が魅力だと感じた部分は大切に丁寧に演じていきたいですね。特に永さんは、「上を向いて歩こう」や「見上げてごらん夜の星を」などを手がけた作詞家でもいらっしゃいます。人に言葉を届けるということを、すごく大事にされていた方だと思うので、言葉の使い方やテンポ、声のトーンなど、近づけられる部分はできる限り近づけていきたいなと思っています。

永六輔さんの江戸っ子口調は、毒舌のなかに愛情が感じられていいですよね。
そう、だから聞いていて嫌な感じがしない。そこがきっと、永さんの人柄であり魅力だと思うので、トレースしていきたい部分ですね。
個性豊かな人々が繰り広げる人間模様が見どころ
戦後間もない時代が舞台となっていますが、その時代を知らない世代にどんなことを伝えたいですか?
今回の舞台では、赤坂・乃木坂にあった「テキサスハウス」というアパートに、当時メディアで活躍していた人や、活躍を夢見る人たちが暮らして、さまざまな出来事が繰り広げられます。
令和の時代では想像できないような状況なのですが、人と人との距離の近さや、昭和の頃の日本の良さがあったのではないかと感じています。SNSを介したつながりが当たり前になった現代では、気軽に人とつながれる一方で、関係が表面的になってしまう側面もあると感じています。だからこそ、この作品を通して、昔の良き部分を今の時代を生きる人たちに届けられたらと思っています。
戦後の混沌とした時代背景も相まって、独特の熱を帯びた作品になりそうですね。
当時、テキサスハウスに住んでいたのは、メディア関係者からプロ野球選手まで、ありとあらゆる業種の人たちだったそうです。きっと個性豊かな面々だったのだろうなと想像しています。共演者のみなさんも、それぞれ個性のある素敵な方々ばかり。それぞれの個性を活かすことで、当時のテキサスハウスのような雰囲気を出せるのではないかと思っています。
今回のメンバーだからこそ、作り上げられる舞台があると感じているので、本番を楽しみにしていただけたらうれしいです。

人のぬくもりを感じられる関西の雰囲気が好き
伊藤さんにとって関西はどんなところですか?
それこそ昭和の時代の、古き良き日本が残っている場所だと感じます。すごくアットホームで、人と人との距離が近いですよね。東京はどちらかというと、“他人は他人”っていう、ドライな空気が強いですけど、大阪とか関西地方には人のぬくもりのようなものが根強く残っているなと感じます。そこがすごく好きです。
以前もお店でたまたま隣にいた年配の男性が、「一緒に飲みに来てたっけ?」というくらい気さくに話しかけてくれて。僕も楽しくて、つい会話が弾みました。お酒が入っているのかなと思っていたら、その方、ソフトドリンクしか飲んでいなかったんです(笑)。そういうところも含めて、素敵だなと思いますね。

関西の街に出かけることも多いんですか?
泊まりで関西に来たりすると行きますね。スナックが好きなので、ふらっと一人で入ることも多いです。この前は北新地のスナックに行きました。居心地の良さそうな好みのお店を探しながら、一見で入っていくんです。
地元のお客さんとたわいもない話をしたり、カラオケしたりするのが心地良くて。そういう時間のなかで、関西ならではの人情やあたたかさを実感しています。
最後に、最近「あんなぁ」と誰かに話したくなったエピソードを教えてください。
ウニってご存じですよね?

海にいるウニですか?
はい。ウニって海の中にたくさんいるじゃないですか。でも、どうやって繁殖するのかって、知らなくないですか? それで、調べてみたんです。ウニにもオスとメスがいて、繁殖期になると海中にそれぞれが新しい命の種を放って、それがたまたま出合うことでウニになるんですよ。すごくロマンチックな生き方してるんだなって、ちょっと感激しました。
知りませんでした! でもなぜ、ウニの生態に興味を?
海が好きでサーフィンもするんですが、海仲間が海の写真を送ってくれて。そこに大量のウニが写っていたんですね。ウニって食べるとおいしいけど、海の中にいる姿っておいしそうには見えないよね、という話になって。そこから「そもそもどうやって増えているんだろう?」と気になって調べたら、思いがけない仕組みに心を動かされて。ここ数日は、いろんな人にこの話をしています(笑)。

ドラマや映画、舞台など、さまざまな作品で活躍中の伊藤さん。人情味あふれる関西の人と街が好きだと語り、思い出のエピソードを笑顔で話してくれました。人と人との関わりやぬくもりを大切にする伊藤さんが演じる永六輔さんを通して、時代を超えて伝わる“人々の熱”を感じられそうです。
赤坂檜町テキサスハウス
公演日:2026年5月28日(木)~31日(日)
会場:近鉄アート館
料金:全席指定8,800円
写真/松井ヒロシ 取材・文/内山真紀
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