

<薬屋のひとりごと>筆坂監督が語る、アニメーション作りへの思い 「本当に彼女たちがいるように作る」

いよいよアニメ「薬屋のひとりごと」(毎週金曜夜23:00〜、日本テレビ系/ABEMA・ディズニープラス・FOD・Hulu・Lemino・TVerほかで配信)2期最終回の放送も間近!毒と薬に執着を持つ薬屋の娘・猫猫(マオマオ)と謎多き美形の後宮管理者・壬氏(ジンシ)が宮中で巻き起こる様々な難事件に挑む物語。ミステリーならではの魅力はもちろん、個性豊かなキャラクターが人気の「薬屋のひとりごと」で、第2期から監督を務める筆坂明規監督にお話を聞き、そのヒットの理由に迫る。
キャラクターの“人生”を描きたい
――TVアニメ「薬屋のひとりごと」2期がまもなく最終話の放送となります。あらためて本作の魅力はどんな点にあると思いますか。
やはり日向夏先生の原作の面白さです。主人公の猫猫が個性的かつ、高い能力で次々に問題を解決していく中に、爽快さがあると思っています。かつ、他のキャラクターそれぞれに個性があり、その関係性もすごく気持ちがいい。なので、アニメーションでは、原作の魅力を損なわないように描きつつ、その関係性もきっちりお見せしたい。また、謎解きの話では、原作同様に解決する際のカタルシスはしっかり伝えようと思っています。
――アニメーション制作で、とくに大事にしていることを教えてください。
猫猫、壬氏、高順、2期で言えば子翠/楼蘭、小蘭など⋯すべてのキャラクターを大事にしています。彼女たちが、この世界の中でしっかり息づいているように感じてもらいたい。本当に彼女たちがいるように見せたいんです。彼女たちにも、自分たちの人生があって、それぞれの関係性、社会を築いて生きている。そういうキャラクターへ肉薄した質感をアニメーションで見せたいと常日頃思っています。
彼女たちの“日常感”も伝えたかった
――その点で、これまでで印象的な話数、エピソードはありますか?
2期の主軸は猫猫と壬氏の関係性が一つ、もう一つが猫猫、小蘭、子翠の関係性です。この2つの軸を2期24話の中で育てていきました。そこはすべてのエピソード、話が全部大事で、どれも欠けてはいけないものでした。
ただ、あえて個人的に好きなエピソードを挙げるとすれば、30話(「みたび、水晶宮」)です。水晶宮に猫猫が乗り込んで、梨花妃の侍女頭・杏(シン)と対決する回。1期からの謎が伏線になっている面白さがあるし、杏の想いには共感してしまうところがあり、好きですね。
――「湯殿」(37話)、「氷菓」(39話)など、猫猫、子翠、小蘭のシスターフッド的なお話も可愛くて素敵でした。最終話を観たあとに見返したくなりますね。
気が置けない感じというのか、そうした話数は彼女たちが一緒に登場した時の距離感や空気感を大切にしました。それぞれの話し方やそのテンポ、表情、身体の仕草など、そういったところですね。もし、今ここに3人がいたら、自然な空気で楽しんでいる、という日常感も伝えたかったんです。
――ちなみに監督が、お話に出てきた猫猫や壬氏、子翠、小蘭以外で特に好きなキャラクターは?
羅漢や羅半など、羅の一族が好きです。少し…いやかなり普通の人たちとはずれているんですが、突き抜けた一芸に優れているのが面白くて、魅力的です。そのズレ具合もかわいらしいので、全然憎めないんです。
作画マンは演技者である
――アフレコ現場の印象などを教えてください。猫猫役の悠木碧さん、壬氏役の大塚剛央さんの魅力は?
お2人とも、シチュエーションにおける感情の引き出しがとにかく多いんです。同時に、原作・脚本を読み込んでらっしゃるからアフレコに臨まれる時の演技プランが非常に的確で、高い質のものを用意してくださっています。ただ申し訳ないことに、アフレコのタイミングで画が間に合っていないことが非常に多かったんです。現場では、こちらから絵の説明やディレクションすることがあるんですが、そんなときでもお2人のお芝居の反射神経がとにかく素晴らしかったです。ギアの入れ方が繊細で、“何速あるんだろう!”と感じるほどでした。
――すごいですね⋯!
シーン全体のプランはそのままでも、キャラクターの表情を声優さんのお芝居に合わせて変えることはよくあります。そうした相互作用がないとみんなで作り上げている感じが希薄になりますし、実際僕らにとって声優さんのお芝居は刺激だらけなんです。
――本作はキャラクターが振り返るシーンが際立って美しく感じています。一方、猫猫と壬氏のシーンもそうですが、向き合って感情が発露する数々の場面も素晴らしかったです。
ありがとうございます。先ほどのとおり、僕はキャラクターを個々の人間として描きたいんです。であれば、その感情の発露の仕方がキャラクターの中でブレないことが大事であると思っています。そして、ブレないだけではなくて、今この瞬間きっと猫猫ってこんなふうに喜ぶよね、怒るよねという部分に注力したいんです。それを一つひとつのシーンでちゃんと丁寧に描くことで、人間同士の感情の交換が描けると思っているんです。
――いまアニメーション作りの醍醐味は、どんなときに感じていますか。
最初に入ったスタジオの代表が、今でもすごく尊敬してる人。でも師匠と言うと怒られるので、本人には言えないんですが(笑)。僕は最初作画マンだったのですが、その方に言われたのが作画マンは“画を描く仕事ではなく、演技者である”ということですね。要は、僕らは絵描きだけど、同時に演技者=役者でなければいけないと言われまして。絵描きから演出に仕事が変わっても変わることなくその言葉はずっと自分の中で大切にしています。脚本家、音響、役者、背景、色彩、撮影など、一流のプロフェッショナルが集まって、自分の表現や発想を膨らませて互いに影響し合いひとつの映像を作っていく。それができることがアニメーション作りの楽しみ、醍醐味だと思っています。
■取材・文=河内文博
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