

牛乳の消費拡大に新たな動き 厳しさの中に光明も

生産コストの上昇など、生乳を生産する酪農を取り巻く環境は厳しさが続いているが、牛乳消費拡大に向けた新たな動きが活発化している。最近では「A2ミルク」の話題や、新容量の登場など、付加価値の高い製品によって市場の選択肢は増加。消費者性向も変化し、乳業メーカーを中心に商品・コミュニケーションの新展開が進む。将来の生乳生産基盤の維持に向けて、明るい兆しが生まれ始めた。
全国でイベント
毎年6月は、酪農が盛んな地域では新しい青草が伸び、乳牛が存分に食(は)み始める時期にちなんで、1日の「牛乳の日」を皮切りとする「牛乳月間」だ。今年も各地で業界の枠を超え、イベントや期間限定店などが行われた。最近はSNSが奏功し、酪農家と直接コミュニケーションをとる土壌も生まれているようだ。
8月からは2年ぶりとなる飲用向け生乳取引価格(乳価)引き上げに伴い、牛乳の価格改定が始まる。大手メーカーらは需要の底上げを図るが、特に注目されるのが、今年で創業100周年を迎えた雪印メグミルクの取り組み。同社は、市場分析から1リットルタイプの飲み残しに注目。新容量750ミリリットルタイプを今春から関東地域で発売した。実際、スーパーマーケットの売り場では500ミリリットルタイプの動きが堅調なこともあり、食品ロス削減も期待される。飲用促進では、初めての牛乳体験を楽しめるよう「ハッピーファーストミルク」と題したキャンペーンを進めるなど、各ライフステージに寄り添うブランド確立を進める。さらに同社は大手各社が瓶牛乳から撤退する中、展開を堅持。情緒的価値の訴求に加え、新たにライオンと共に瓶のプラぶたをアップサイクルする協業も始めている。
新工場も建設
成分無調整牛乳市場ではA2ミルクが配荷を伸ばすなど、売り場も多様化してきた。オーストラリアやアメリカなど海外では定着しており、日本でも近年メディアやSNSで話題となるケースが増えている。オイシックス・ラ・大地は、日本初の認証付きA2ミルクの販売を始めた。
また、海外からの注目も高まっている。台湾と香港からの旅行客が「日本で一番飲みたいもの」のトップに牛乳を挙げるなど、新鮮さとおいしさは国外からお墨付き。輸出では、森永乳業は北海道にロングライフ(LL)牛乳を中心に生産する新工場を建設するなど意欲を見せる。酪農家からは、「これ以上生産者が減ると需要をまかないきれない」との声も上がる。需要の拡大は焦眉の急だ。
(日本食糧新聞社・小澤弘教)
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