食のロマンが広がってる…!わざわざ行きたい!編集部選・注目の一棟貸切宿

2024.12.29 17:05

“サステナブルな行動”のバトンをつなげていく、リレー連載企画「#TSUNAGU100」。生態系保護の聖地として注目されている「佐渡島」。それだけではなく、無農薬農業の取り組みも盛んであり、自然に配慮された環境づくりが島全体で行われています。今回は農園が集まる佐渡の西三川地区にある「Andante 葡萄農家の宿」に宿泊し、佐渡島の食もまるごと体感。サステナブルな暮らしを送るHALUさんがその様子をレポートします。

「Andante 葡萄農家の宿」に滞在

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「Andante(アンダンテ)」は1日1組を迎える農家宿。オーナー夫婦がヨーロッパの農家民宿を旅する中で感じた、その土地の恵みを味わい、人々の暮らしを感じながら生きることの大切さを、佐渡の土地を通じて伝えていきたいと思い、2020年にオープンしました。ワイン醸造を目標に醸造用ブドウの栽培を行うオーナーが作る、ワインとともに楽しめる食事も魅力です。
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車で向かうと周りが緑に囲まれた中に、まるで隠れ家のように宿がぽつんと急に現れました。一棟貸切宿のためプライベート空間の中で、ゆっくりと過ごすことができます。
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古い家を改修して農家民宿としている施設内は木材を多用。どこか懐かしさを感じる温かみのある空気が漂います。
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客室には、掘り炬燵風に1段下がったリビングルームがあり、コーナーソファでくつろげることができます。ホームシアター設備つきのため、好きな映像配信サービスなどを流し、思い思いの時間を過ごすことが可能です。
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奥に進むとハンモックと寝室が2部屋。最大6名まで宿泊できるのですが、例えば2家族で訪れても十分に満足できる広さです。
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客室に入ってすぐの棚にはシーン別(sunrise、sunset、 dinner 、midnight)にセレクトされたレコードが飾られています。
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滞在した日は雨。チェックインを済ませて、友人たちとほうじ茶を飲みながら雨のシトシトとした自然のBGMとレコードを聴きながら談笑。
部屋に備え付けの キッチンにはオーガニックのほうじ茶と緑茶が備えられていました。佐渡の竹細工で作られた竹製のフィルターでドリップを楽しむという体験もすることができます。過ごしていると、いよいよ夕食の時間。次第においしい香りが漂ってきました。

ヨーロッパを旅した夫婦が奏でる、佐渡島の食材をふんだんに使ったディナー

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アンダンテでの夕食はポルトガル料理をベースとした創作料理で、佐渡島の旬の恵みを感じながら、その日その時の旬の素材とワインに寄り添うメニューを用意してくれます。
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当日私たちがボトルで頼んだくまコーラは、新潟県佐渡市在住のフランス人であるジャン・マルク・ブリニョ氏が北海道のワイナリーと共同で造るナイアガラ・スパークリングワインです。
「くまコーラ」という名前は、ジャン・マルク・ブリニョ氏のあだ名が「くま」であることに由来しており、「コーラのようにグビグビ飲んでもらえるワイン」という意味が込められています。その名前の通り、爽やかで柔らかい喉越しで、身体にすっと入ってくるとても飲みやすいワインでした。ワインクーラーも木の木目を生かした素敵なもので、細部へのこだわりを感じます。
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今回はお酒好きの女子3人(+子供1人)での女子旅。滞在中は雨が降っていて湿度があり、チェックイン後はずっと宿でおこもりステイだったので、このさっぱりとした喉越しのお酒がより一層美味しく感じました。
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1品目のアペリティフ「墨イカと枝豆の春巻き」は今まで食べた春巻きの中でもパンチのある味で、ワインのピリっとした炭酸とのペアリングが最高でした。
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佐渡島産ワラサと季節野菜のサラダ仕立て。1つ1つ丁寧な味付けで野菜の繊細な旨味が感じられる一皿です。
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日本ではなかなか味わうことのない、「カルネ・デ・ポルコ・アレンテジャーナ」は、ポルトガル南部のアレンテージョという地方に伝わる郷土料理で、豚肉と貝を一緒に煮込んだ料理。新潟県産豚とアサリが使われた一品です。トマトベースですが、そこに普段はあまり馴染みのないスパイスが複雑に絡み合って、異国をしっかりと感じられます。そこに少しバーベーキューソースのような味もして、なぜか懐かしさもある、そんな一品でした。
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締めはポルトガル風タコ飯、「アローシュ・デ・ポルヴォ」。そのままでもとても美味しかったのですが、レモンを絞ることでこれまた異国の味!
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お腹と嗅覚、味覚が満たされた食後は、シーン別に用意されたレコードのmidnightをかけながら各々自由タイム。私は本棚にある本を手にとり、読書タイムを楽しみました。
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オーナーの選書は心に沁みる本ばかりで、宮沢賢治のことば集『自然をこんなふうにみてごらん』は自然と生き物の多様性が魅力の佐渡島で読むにはピッタリの本でした。
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プロジェクターで子どもと一緒に動画をみたり、ハンモックに揺られてみたり、ゆったりとした滞在を満喫することができます。
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宿にチェックインする前に購入したヴィーガンバナナチョコケーキをみんなでパクリ。音と香りと共に、心地よい夜時間は深まって行きました。

また帰ってきたくなる。五臓六腑に染み渡る身体に優しい朝ごはん

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翌日、目を覚ますと前日の雨の際には感じられなかった、リビング一面の窓から望む緑が美しい朝でした。朝も早起きして支度をしていると、美味しい香りが客室へ届いてきました。
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朝食も1つ1つが丁寧で、夜とは異なり、ごま味噌や醤油などを味付けとした和食が味わえます。心身から温かく、ほぐれていくような、昔ながらのホッとする朝ごはんです。普段せわしない日々が続く中、より丁寧に暮らしを送りたいと思えました。
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肌寒い朝に、土鍋の炊き立てのごはんに、せいろで調理された蒸し野菜、そしてお味噌汁が沁みました。居心地が良すぎて、もう1泊ゆっくりしたいと思っているうちに、あっという間にチェックアウトの時間に。
夕食や朝食は事前予約制で、予約出来る日が限られているので、宿泊する際は確認してみてください。また、長期滞在にも使えるキッチンはありますが、調味料や調理器具の用意はないので、オプションでの朝食・夕食がある時の滞在が断然おすすめです。

今回の滞在では遭遇することが出来ませんでしたが、タイミングがあえば飼い猫の猫ちゃん、ミントとアニス(ハーブとスパイスの名前がまたこの宿にぴったり)にも出会うことが出来るようですよ。

ゆったりと過ごすひとときが贅沢に感じられる宿

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「アンダンテとは、「歩くように、ゆっくりと」という意味。歩み続けるペースを少し落としていつもよりじっくりと目の前の出来事にむきあう。そんな場所になればという願いを込めて宿に名前を付けました」。

チェックインした時の手紙に記載されていたこの言葉1つ1つが心に沁みた、アンダンテでの滞在。
ゆったりとしたひとときを楽しめる時間こそが貴重だと感じられる宿です。

自然を活かした農業が盛んな今注目の「佐渡島」

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今回宿泊した「アンダンテ」があるのは、新潟県西方のに位置する日本海に浮かぶ離島「佐渡島」です。佐渡は東京23区よりも約1.5倍大きく、沖縄に次ぐ広さを誇る日本最大の離島。雄大な自然と豊かな生物多様性が魅力の一つ。佐渡島には約8000種もの生物が生息しており、その数はイギリス全土や屋久島、ニュージーランド全土にも匹敵します。この豊かな生物多様性が評価され、生態系保護の聖地として注目されています。

また、佐渡島は「トキの舞う島」として知られ、現在も多くのトキが国中平野を中心に生息しています。
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佐渡のもう一つの魅力は、自然環境を活かした農業。地元の方に聞くところによると、2007年から始まった減農薬や無農薬農業の取り組みは、島全体に広がり、現在では600ヘクタールを超える(東京ドーム126個分)農地が環境配慮型農業に転換されています。
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こうした農薬や化学肥料に頼らず、自然の循環を重視した農業は、環境保全型農業のモデルとしてされており、この農業環境と多様性のある食材を求めて移住者が年々増えているそうです。今回滞在した宿泊施設「Andante」のオーナーも佐渡島の魅力に魅了され、2015年に移住したひとり。
アンダンテのような宿泊施設に滞在すれば、佐渡の自然と旅の延長線上にある佐渡での日常を深く感じながら心も体もリフレッシュできることでしょう。

日常の忙しさから離れ、ゆっくりと自分と向き合う旅は、きっと新たなエネルギーを与えてくれるはずです。佐渡の恵みを感じながら自分と向き合い、心を満たす特別な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?

Andante(アンダンテ)葡萄農家の宿
住所:新潟県佐渡市 大倉谷 672-3
宿泊料金:素泊まり1室2名 12,100円〜(季節によって変動あり)
     朝食 1,650円 (税別) / 夕食 3,850円((税別) ※ワイン別途(ボトルのみ)

わたし、身近な誰か、地球にもいいコト起きる“サステナブルな行動”をここからつなげていこう!
暮らしにいいコトの循環“サステナブルな行動”が一人でも多くの人につながってほしい、という思いを込めた、リレー連載企画「#TSUNAGU100」。
“サステナブルなモノやコト”を、みんなで共有していきましょう!

こちらのレビューはInstagramでもご欄いただけます。「#TSUNAGU100」のタグを覗いてみてくださいね。
writer / HALU

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