アニメ「チ。 ―地球の運動について―」第13話が放送

<チ。>ないことを証明する“悪魔の証明”、取り出される拷問器具に「視聴者にとっても拷問すぎる」と戦慄

2024.12.24 10:00
アニメ「チ。 ―地球の運動について―」第13話が放送

アニメ「チ。―地球の運動について―」(毎週土曜深夜11:45-0:10、NHK総合/Netflix・ABEMAで配信)の第13話「『自由』を」が12月21日に放送された。本作は魚豊による同名漫画を原作としたアニメ作品。地動説の可能性を信じ、証明することに自らの信念と命を懸けた者たちの物語が描かれていく。バデーニ(CV.中村悠一)を逃がすために、ノヴァク(CV.津田健次郎)に挑んだオクジー(CV.小西克幸)。もたらされた最悪の展開に視聴者から悲鳴が上がった。(以降、ネタバレが含まれます)

オクジーの精神性を映したような夢の中

前話からの続きであるオクジーとノヴァクの対峙。津田が演じるノヴァクの怖さ、中村が演じるオクジーの緊張感により、空気の張り詰める感覚が視聴側にもリアルに伝わってくる。バデーニを逃すための命を懸けた10分間の時間稼ぎ。ノヴァクを追い詰め、「死ぬ怖さなんて、この世を肯定する怖さに比べたら軽いものだ」と言い放ったオクジーのセリフは印象的だった。

オクジーにとって、天動説で肯定される現世は少し前まで絶望しかない世界だった。しかし、地動説に出会えた今は、この世に希望と期待を持っている。諦めて、再び絶望の世界を生きるのは死ぬことよりも怖いことだったのだろう。剣をへし折られながらも命を捨てる覚悟でノヴァクを追い詰めるオクジー。しかし、勝負の軍配はオクジーに上がったものの、ノヴァクの部下が駆け付けたことでオクジーは矢に貫かれ、重傷を負ったまま捕縛されてしまう。

そして、次からの夢のシーンは不思議なものだった。大学の教室らしき場所で目を覚ましたオクジーは、彼の研究主題である地動説について話すため、雲を突き抜けてそびえる塔へと司祭に誘われる。司祭との話は哲学的で明確な答えを導けるものではなかったが、地球を見ようとする塔の高さは人の探究心の深さ、知的好奇心を求めるようにできている人間の精神設計、規範に縛られない自由への欲求。そうした意味を探ることができる。

このシーンは、謎だったオープニングの答え合わせでもあった。オープニングでわずかに映っていた、塔の露台で話す若い青年と司祭。あれはこのときのオクジーの夢だったのだ。姿は第4話で見た若いときのオクジー。代闘士にならず、大学に進んでいた世界線のような夢だが、こうした夢を見ること自体、オクジーには探究者、研究者としての精神性が備わっていたのかもしれない。

ないことを証明する“悪魔の証明”、取り出される拷問器具に戦慄

一週間後、オクジーは異端審問官の治療所で目を覚ます。オクジーから情報を引き出すための延命措置だった。そこでノヴァクは仕事の前に、オクジーになぜ異端が現れるのかを問いかける。決して敬虔とは思えないノヴァクだが、じっと善良に生きていれば天国に行けるということは信じている。異端審問官の仕事も、悪魔を刈り取るための仕事というわけか。だからこそ、ノヴァクにはオクジーが答えた「自由への憧れ」が本当に分からないのだろう。しかし、オクジーのような異端には拷問の痛みは通じないというのは分かる。

そこで連れてこられたのがバデーニだった。オクジーの決死の戦いもむなしく、バデーニも捕縛されてしまっていた。ノヴァクはオクジーを拷問することで、バデーニの口を割らせようとする算段だった。ただ、これまでの異端への対処と違うのは、罪の証言を得るよりも、10年前から取りこぼしていた異端が受け継ぐ研究資料の完全な消去だった。

しかし、地動説の研究資料はバデーニが全て焼却処分したあと。存在しないことを証明するのは、悪魔の証明と呼ばれるものだ。ノヴァクが取り出す拷問器具に、戦慄が走る。一方で、ノヴァクが指摘したバデーニの嘘をついているという感情は本当のことなのか。隠した協力者、ヨレンタのことなのか。それとも手紙に関わることなのか。貧民層の人間に接触していた理由もいまだ分からないままであり、切れ者のバデーニがあっさり捕まったとも思えないが…。

あまりにも絶望的な幕引きとなった今話には、「来週がしんどすぎるの確定」「ここで終わるか、悪魔すぎるぞ」「視聴者にとっても拷問すぎる」など、悲痛な叫びが上がっている。

◆文=鈴木康道

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